- 2026/10/05 06:10 掲載
仮想化の王者VMwareが「AI工場」に激変?ブロードコムが握る“企業AIの急所”とは
VMwareが激変? Mumbaiで見えた“AI工場”への転身
インド・ムンバイで2026年9月29~30日、VMwareの技術者向けイベント「VMware Explore on Tour Mumbai」が開かれた。会場はジオ・ワールド・コンベンションセンター。VMwareの公式ブログによると、プレナリーは立ち見が出るほどの盛況で、ハンズオンラボ(Hands-on Labs)は常に満席、会場で受けられる認定試験の枠もすべて埋まったという。ムンバイで主要テーマとなったのは、VMware Cloud Foundation(VCF)のプラットフォーム管理、ネットワークセキュリティ、そしてモダンアプリケーション開発だ。ムンバイは世界各地を巡回するExplore on Tourの最初の開催地であり、10月20~21日には東京での開催も予定されている。
ただし、今回の主役である「VMware AI Factory」は、ムンバイで発表されたわけではない。発表の舞台は、2026年8月31日に米ラスベガスで開幕した旗艦イベント「VMware Explore 2026」だ。米ブロードコムはそこでAI Factoryを「VMware Private AI Cloudのソフトウェア定義型の基盤」と位置付け、ベアメタルのサーバから最初のAIモデルを動かすまでの時間を「数週間から数時間に短縮できる」と打ち出した。
つまりムンバイは、ラスベガスで示された新戦略を、現場の技術者が実装・運用するレベルへ落とし込む最初の場となったわけだ。
それにしても、VMwareといえばサーバ仮想化の代名詞である。物理サーバを複数の仮想マシンに分ける技術で、長年企業システムを支えてきた。ブロードコムは2023年にVMwareの買収を完了し、翌2024年1月には製品ラインアップを4つに集約するなど、事業の再編を進めてきた。
そのVMwareが、なぜ今になって「AI工場」を名乗り始めたのか。そしてブロードコムは、VMwareをいったい何の会社に変えようとしているのか。
AI Factoryとは? GPUを買うだけではAIは動かない
VMware AI Factoryは、単なるGPU仮想化製品ではない。AIインフラの構築からモデルの導入、運用、ガバナンスまでを一貫して扱う構想だ。ブロードコムのVCF部門で最高製品責任者(CPO)を務めるポール・ターナー氏は、発表にあたり「企業はデータのある場所でAIを動かしたいと考えている。しかし、metal to model(ハードウェアからモデルまで)の道のりは遅く、複雑で、費用がかさむ」と指摘した。
実際、企業がAIを本番稼働させるまでには長い工程がある。まずGPUを調達し、サーバ、ストレージ、ネットワークを組み上げる。次にKubernetesなどの実行環境を整え、GPUドライバやAIソフトウェアを設定したうえで、ようやくAIモデルを配置できる。セキュリティを設定し、稼働後もアップデートや監視が続く。GPUを買っただけでは、AIは動かないのだ。
AI Factoryは、この工程を自動化するという。ハードウェアの準備からソフトウェアの展開、ライフサイクル管理までを自動で処理し、vSphereやvSANからKubernetes、GPU関連のソフトウェアまでを一気通貫で整える。ハードウェアはシスコやデル・テクノロジーズなどの認定サーバから選べる。さらにMetalSoftとの提携により、物理サーバのプロビジョニングを「数週間から数分」に縮めるとしている。
もう1つの特徴が、構築にあたる「Day 1」だけでなく、稼働後の「Day 2」の運用まで取り込んだ点だ。VCFの公式ブログは、AIの運用ではパッチ適用やアップグレード、モデルのバージョン管理、フレームワークの移行が、単発のプロジェクトではなく「継続的に重なり合うサイクル」になると説明する。
ターナー氏は、AI Factoryによって「最初のモデルまでの時間短縮、予測可能なプライベートクラウドのコスト、AIトークノミクスのより良い制御」が得られると強調する。AI競争は、もはやモデル性能だけの勝負ではない。大量のAIを安定して生産・運用する「工場」を誰が握るかという競争になり始めている。 【次ページ】AI Factoryとは? GPUを買うだけではAIは動かない 【次ページ】GPUだけじゃない、「AIの3大コスト」を全部管理
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