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  • 2009/10/02

無料で成功するための3つのパターン--クリス・アンダーソン『Free』を読む2【○○はビジネスになるか(2)】

経営難に直面する老舗新聞社の未来

無料の波は既存のビジネスを圧倒している。コンテンツそのものを商品としている新聞社は世界中で経営難に直面しており、老舗の米ニューヨーク・タイムズ紙でさえ倒産寸前と言われている。だが、アンダーソン氏は、無料の流れはもはや止めることはできないと言う。そして「市場を再定義せよ」「いずれ無料になるものなら、早く自らの手でやれ」と呼びかける。無料であっても、そこから利益を上げる道はいくらでもあるというのだ。

行宮翔太

行宮翔太

ローカルTV記者、全国紙記者を経て、ITやビジネス分野のライティングを手がける。NTTPCコミュニケーションズ運営時のCNET、(株)ガリレオの「Infostand」などで執筆。四半世紀以上前に数年間住んだインドが“IT先進国”になったことを、どうしても信じられない。

利益の出せる無料サービス

 アンダーソン氏の『Free』では、無料サービスながら利益をあげている実例として、ポップスの楽曲を提供する中国の企業を取り上げている。それが、中国の音楽レーベルMicroMuだ。同社は楽曲にクレジットやアートワークまで付け、完全無料でダウンロード提供しながら、ビジネス的にも成功しているという。

 仕組みはこうだ。まず協賛スポンサー付きのイベントなどで、録音は可能な限り安価に行う。協賛スポンサーは個々のミュージシャンに対してでなく、MicroMuにスポンサー料を提供する。また、ミュージシャンは月極でMicroMuにマネジメント料を支払う。こうして運営費をまかいながら、人気のあるミュージシャンを集めたライブコンサートを各地で定期的に開催し、利益をあげているという。音楽を売るレコード会社から、イベント業やエージェント業に近いやり方へと発想を転換したわけだ。

 『Free』は、こうしたビジネスモデルを集めて類型化し、無料の上で成立する3種類のモデルにまとめた。「誰から、何に対していお金を取るのか」という視点から集約したもので、分類と例は以下のようになる。

(1)2者間の直接的なやりとり(DIRCT CROSS-SUBSIDIES)
a)無料でサンプルを提供して、商品を買ってもらう
b)Linuxなど無料のソフトを組み込んだハードを売る
c)携帯電話の契約者に無料通話分を付与する

(2)3者がかかわるやりとり(THE THREE-PARTY MARKET)
a)コンテンツは無料で公開して、広告主からの広告費でまかなう
b)クレジットカードの決済コストが利用者に無料で、売り手が手数料を払う
c)子供の入場料を無料にして、大人だけが入場料を払う

(3)“フリーミアム”(FREEMIUM)
a)Webコンテンツは無料で、印刷物は有料
b)低音質のMP3ファイルを無料提供して、高音質のボックス入りCDを販売する(曲を無料公開したロックバンド「Radiohead」の例)
c)PC間の通話は無料で、PCと電話の間は有料(IP電話サービスのSkypeの例)

 (3)のフリーミアムとは「フリー」と「プレミアム」を組み合わせた造語で「基本部分を無料=フリーにして、付加価値の高い部分を有料=プレミアムで提供する」モデルだ。先のMicroMuは、楽曲をプロモーション素材として無料にし、コンサートやイベントで稼ぐフリーミアムの一種だといえる。

 フリーミアムは、(1)aの「無料でサンプルを提供して、商品を買ってもらう」と似ているが、サンプルが製品全体のほんの一部を無料で提供するのに対し、フリーミアムでは多くを無料にして一部を有料にするという点で異なるという。たとえば、「95%のユーザーが無料の基本サービスを利用し、あとの5%が有料サービスを利用する」といった形だ。

 Freeではもう一つ「金銭の授受を伴わないやりとり」(NONMONETARY MARKETS)を取り上げているが、ビジネスモデルではないので除外した。念のために言及しておくと、労働や成果物を無償で贈与して名声・評価を得るといったものだ。

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