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  • 2010/04/05

イノベーションを繰り返しながら地域に根ざすファミリービジネスは日本の救世主となるか?

経済産業省主催 ファミリービジネスと地域活性化セミナーin東京

2010年2月24日、東京商工会議所ビルにおいて、経済産業省が主催する「ファミリービジネスと地域活性化セミナーin東京」が開催された。短期的な利益の追求よりも事業の持続性を最優先するといったファミリービジネスの持つ経営上の特性に加え、地域社会への貢献など、ファミリービジネスが今後の地域活性化において果たす役割や可能性について議論がなされた。不況下の日本経済で生き残りを図る中小企業にとっても示唆に富む内容であったため、ここに紹介したい。

ファミリービジネスから
地域活性化のモデルを探る

 ファミリービジネスとは、一般的には同じ親族による企業経営のことを指し、「同族(家族)経営」などとも呼ばれる。独裁的、経営が不透明といった、あまりよくないイメージで語られることも多いが、こうした見方は一面的なものにすぎない。

 ファミリービジネスでは事業の継続性が最重要視される。経営には、時代に合わせたイノベーションと、優秀ならば一族以外の者でも積極的に後継者とする、「のれんは血よりも重い」という気概を持った事業継承が必要となる。加えて地域社会への貢献が事業の核としてあり、これはときに企業利益を超えた視点から行われるなど、ファミリービジネスは、今後の日本経済を担っていく可能性を秘めている。

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経済産業省
地域経済産業グループ
地域経済産業審議官
塚本 修氏
 セミナー冒頭では、主催者である経済産業省の地域経済産業グループ 地域経済産業審議官の塚本 修氏による挨拶が行われた。

 地域経済そのものや、ものづくりの競争条件が厳しくなる中で、経済産業省としても地域活性化のさまざまなモデルを模索していることを率直に語り、「厳しい局面の中、地域の資源を活用し、地域に根ざして生き残っているファミリービジネスには、地域の活性化を担っていける可能性があるのではないかと感じている」として、地域活性化の面でファミリービジネスから学ぶべき点があるという考えを示した。

ときに心意気で行われる
ファミリービジネスの地域貢献

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プライスウォーターハウスクーパース
パートナー、
ファミリービジネス研究所
理事・事務局長
大澤 真氏
 続いて、「地域活性化とファミリービジネスの役割」と題し、プライスウォーターハウスクーパース パートナーで、ファミリービジネス研究所の理事・事務局長である大澤 真氏が基調講演を行った。同氏はまず、日本銀行に勤務時代、那覇支店長として沖縄金融特区(金融業務特別地区)に関わっていた際の経験を引き合いに、「制度を生かして、したたかに活用する主体がいないと、制度の効果は最大限に発揮されない」とし、その主体として地元の企業、ファミリービジネスに寄せる期待を述べた。

 また日本では雇用でいえば6割、企業数でいえば9割以上がファミリービジネスというファミリービジネス大国であり、海外と比べると、長寿のファミリービジネスが多いという特徴を指摘。実際に、創業100年を超えるファミリービジネスは、アメリカで約800社、欧州でも約6000社だが、日本では約3万社にのぼるという。これは「株主から要求される短期的な収益・成長ではなく、『継続』を重視した経営手法を取っている」ためで、こうしたファミリービジネスの多くは、現在のような不況期を投資や雇用のチャンスと考えているとした。

 そして、陶器製品を製造する京都の町工場から発展した村田製作所や、京都の碍子製造会社から独立して創業した京セラなどを例に、「ファミリービジネスでは、地域固有の伝統や文化がイノベーションの原動力になる」という点に言及した。地域経済とファミリービジネスの関係においては、地域経済の面的な再生や地域ブランドの向上が結果としてファミリービジネスの発展につながるとし、ファミリービジネスが地域経済に関与する1つの理由として、この経済的インセンティブという側面を挙げた。いっぽう、「間違っているかもしれないが」と前置きをした上で、「私の経験では、こうした損得だけでやっているのではなく、本能というか、心意気でやっているという面も強いと感じる」と述べ、企業価値の向上を企図したCSRではなく、地域のリーダー・旦那衆としての本能や心意気で、地域の火を消さないため、地域貢献しているファミリービジネスも多いと説明した。

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ファミリービジネスは、実際にまざまな形で地域貢献を果たしている。経済的インセンティブの見地を越え、地域のリーダーとしての本能や心意気で地域貢献をしている例も多いという


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