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- 2007/02/09 掲載
【連載】ナラティブマーケティング:第4回 意味性に気付けば、成熟市場でもヒット商品は生まれる(2/2)
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図3 DUNLOP LE MANS LM703の解読シート
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LE MANS LM703は世界初となる特殊吸音スポンジを装着し、ロードノイズを低減させた自動車用市販タイヤ。住友ゴムグループに所属するダンロップファンケルタイヤのブランドで、2006年1月に発売した。実売価格は1万3,000円前後。ミニバン専用タイヤなど車の形と用途によって、サイズは165/60R14から275/30R20までと豊富なラインナップを揃えている。
ターゲットは、国産中級セダンオーナーであり、静粛性、乗り心地などを主な選択基準としている。
この商品のUSPはタイヤに静粛性を実現したことにある。これにより、タイヤノイズの少ない快適な走行が可能となったことが機能的ベネフィットである。例えば、高速道路でのガッコンガッコンという音はなくなり、車の中は静かになる。そうなると、移動中に音楽や会話を十分に楽しむことができる。言い換えれば、これまでの「車の中はうるさいので、音楽や会話を満足にできない」ということを払拭した(情緒的ベネフィット)。
そしてこれがずっと続くことで、「移動可能なプライベート空間を持つことができる」という精神的ベネフィットが実感できるようになった。我慢しなければいけなかった時間が、充実した時間に変わったのだ。
これらのヒットに共通しているのは、「クルマ」「二日酔い防止」「タイヤ」と成熟市場においてのヒットであった点。前回のヒット商品も、「ゲーム」「シャンプー」「携帯電話」と成熟市場でのヒットだった。
また機能やスペックの新規性でヒットしているのではなく、その意味性でヒットしているのも興味深い。アウトランダーは家族と自分の幸せ、ウコンの力は二日酔いの予防、LE MANS LM703は、新しい空間・時間の創出と、商品の意味づけの新しさでヒットしている。
ここにはやはり意味を重視する消費態度があるのだろう。次回からは、さらに我々の身の周りに起きていることを考察し、消費に何が起きているのかを明らかにしていこう。
![]() 中央大学法学部法律学科卒。オリコミ(現オリコム)、講談社、NTTアド、東急エージェンシー、旺文社を経て、現在フリーマーケティングプランナー。現在は、企業のマーケティング業務をアウトソースで請け負い、プランニング、コンサルティング、組織構築、社員教育などを行っている。 |
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NTTコム、ドコモ、オリンパス、東京ガスの研修で採用された大ヒット商品ガイド。「必要なのは才能より技術」であると謳う村山式メソッドのコンプリートガイド |
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