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- 2010/07/13 掲載
竹中平蔵氏:クラウド時代は、フラット化ではなくスパイキーに生きるべき
現在は再びフロンティアの時代
折しも講演の開催日が参議院議員選挙の投票日直前(7月9日)ということもあり、竹中氏は冒頭、参議院議員選挙で消費税などの問題が争点となっているが、若干マクロ的な視点ながら、世界経済ではもっと大きな問題が起きていること、日本と海外との政治や企業の考え方のギャップについて述べた。
まず、データセンター業界で話題となっているクラウドコンピューティングがもたらす世界的な動向について、IT業界の中では、クラウドという言葉はさまざまな専門的な定義がされているが、経済学者である竹中氏によれば、クラウドはおそらくアウトソーシングという考え方でとらえることができるとした。したがって、考え方そのものは新しいものではないが、グローバリゼーションの流れと相まって、企業経営や経済に変革をもたらしており、現在は「フロンティアの時代」にあると述べた。
こうしたフロンティアの時代において常に強さを発揮する米国に対して出遅れることが多い日本の違いはどこにあるのだろうか。竹中氏は、「米国のフレデリック・ターナー(Frederick Jackson Turner)という学者が唱えたフロンティア論にヒントがある」という。米国のフロンティア時代は、まさに開拓史の時代であり、新天地に生活圏や経済圏を広げることにあった。米国にはこのポリシーが受け継がれた政府が機能し、国民もリスクをとって挑戦することで、しっかりとリターンを得ようとする姿勢の違いがあるからではないかと主張する。
しかし、そうはいっても、日本は依然として強い経済力を持ち、潜在力も高いと竹中氏はいう。たとえば、トロント大学のリチャード・フロリダ(Richard L. Florida)という都市経済学者が、地球上の夜間の衛星写真から、20~40の光の塊に分類し、それを「メガリージョン」と名付けた。そのメガリージョンは地球上の生産の60%を担い、世界のイノベーションの80%を創出している。そのメガリージョンの中で最もGPDの多い地域が、東京を中心とした地域だったという。
現在は、グローバリゼーションとITによるデジタル革命により、まさにフロンティア時代の再来といえる状態であるが、メガリージョンと呼ばれるような地力がありながら、どちらかというと競争を嫌う日本は、今後どのように振る舞うべきなのだろうか。
【次ページ】メガリージョンでは、フラットではなくスパイキー
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