- 2010/07/27 掲載
Yahoo! JAPANが米グーグルの検索エンジンを採用、変更に伴う影響個所を説明
これまでヤフーは米Yahoo!の独自のエンジンを日本仕様にカスタマイズしていたが、米国がマイクロソフトのBingへと切り替えるのに合わせて、変更を迫られていた。
日本のヤフーはソフトバンクから40%の出資を受けており、米ヤフーは第2位の株主。今回の発表で、米国とは違う独自路線をさらに進めることになった。
ヤフーによれば、今回の契約の対象は、Yahoo! JAPANの検索サービスにおける検索エンジンおよび検索連動型広告配信システムのサービス提供を受けることに限定されているという。
そのため、Yahoo! JAPANは、検索ページや検索サービスを今後も自ら運営していき、従来と使い勝手が変わることはないという。

上図のうち、本件により影響を受けるのは、ウェブ検索と検索連動型広告のみ(右図の赤枠と青枠の個所)。Yahoo! JAPANで上位にある関連検索キーワードやコンテンツ連携などはそのまま残る。
検索連動型広告においても、広告主が希望するキーワードに値段を付け、オークション形式により広告の掲載可否や順序を決定する場である「マーケットプレイス」を、これまでどおりYahoo! JAPAN独自のものとして維持していく。
そのため、Yahoo! JAPANとグーグルは、広告と検索サービスを含むすべてのサービスにおいて、今後も競い合う関係であることに変わりはないとヤフー側では強調している。
というのも、ある調査によれば2010年6月時点の日本の検索市場におけるヤフーのシェアは53%、グーグルのシェアは42%、2社合わせて9割超を占める。米ヤフーはグーグルと提携しようとしたものの、米司法省により断念させられた。米マイクロソフトも反対していた。
ただし、今回の日本でグーグルエンジンを採用する点については、日本の公正取引委員会に既に相談をしており、問題ない旨を確認しているとしている。
Bingではなく、グーグルを選んだ理由として、「今日現在既に、確固たる日本語環境の検索エンジンと検索連動型広告配信システムを保有しており、且つ、その機能も現時点ではベストであるとの結論に至った」とした。
そのほか、Yahoo! JAPANが、オークション、ショッピング等をはじめとする諸サービスに関して日々更新されるデータをグーグルに対して提供する。このデータは、グーグルの検索精度向上に役立てられる。
また、ソフトバンクモバイルへのモバイル検索へのエンジンの提供はこれまで通り続けていく。
現時点では、検索エンジンと検索連動型広告配信システムの切り替えの時期については未定。今後、詳細を協議のうえ決定するとしている。
発表では以下のようなFAQも公開されている。
Q1: Googleとの提携範囲はどこなのか?
A1: 今回の契約の対象は、ウェブ、画像、動画、モバイルの4領域における、検索エンジンおよび検索連動型広告配信システムのサービス提供を受けることに限定されています。
Q2: Googleとの競争関係はどうなるのか?
A2: GoogleはYahoo! JAPANに対して検索エンジンを提供いたします。一方で、ヤフー! JAPANはユーザー向けにフィットするよう、YST/YSMと同様にYahoo! JAPAN独自の調整を加えながらGoogle の検索サービスをカスタマイズいたします。これはYahoo! Japan のサイト上で検索サービスがどのような外観になり、利用者がどのように検索を体験できるかといったことも含まれます。その結果、利用者はYahoo! Japan のサイト上で、引き続きGoogle のサイト上とは違う体験をすることができると考えられます。
Google はさらに、ヤフー! JAPANに対して、検索連動型広告配信システムを提供します。すなわち、Googleの技術が、Yahoo! JAPANによる検索連動型広告の提供、ターゲット及びレポートをバックエンドで支えることになります。一方で、ヤフー! JAPANは引き続き広告の獲得や広告キャンペーンの展開を独自に行います。また、両社の広告主および広告のデータ、検索サービス利用顧客や価格に関する情報は完全に分離して保持されます。 今回の取引を通じて、お互いの広告と検索におけるイノベーションにさらに拍車をかけ、その他の企業も巻き込みながら検索サービス以外の分野も含めてより厳しく競合してまいります。
Q3: 契約の期間、更新権はどうなっているのか ?
A3: 検索エンジンと検索連動型広告配信システムの提供をYahoo! JAPANが受ける契約の期間は当初2年ですが、その後Yahoo! JAPANが断らなければ自動的に2年延長されます。それ以降についても双方が合意すれば更新することが可能です。また、Yahoo! JAPANからGoogleにデータを提供する契約の期間は当初2年で、その後原則としてさらに2年間更新されます。それ以降についても双方が同意すれば、2年ずつ更新することが可能です。
Q4: Yahoo! JAPANからデータを提供すると何が良くなるのか?
A4: Googleは現在ロボットによりデータを収集(クロール)していますが、今後はYahoo! JAPANから直接データが提供されるため、更新されたページがより速く検索結果に反映されて、検索のフレッシュネスが上がるとともに検索精度が高まり、ご利用されるお客様の利便性が向上されます。
Q5: 今後のYahoo! Inc.との関係に変化はあるのか?
A5: 今回の変更は検索エンジンおよび検索連動型広告配信システムの提供のみであり、Yahoo! Inc.は引き続き検索サービスおよびその他サービスにおけるYahoo! JAPANの戦略的パートナーであることに変更はありません。現在の資本関係も継続されます。
Q6: 今後の業績に与える影響はあるか?
A6: 短期的には影響はあまりないと思われます。中長期的には、Yahoo! JAPANの検索サービスと検索連動型広告サービスをよりよいものにして、売上を最大化いたします。
Q7: 移行のタイミングはいつ頃ですか?
A7: なるべく早く、検索エンジンおよび検索連動型広告配信システムとも移行できるよう現在詳細を検討中です。
Q8: Yahoo! Inc.がYSTとYSMの切り替えを完了させたら、Yahoo! JAPANへのサポートも直ぐに止めてしまうのか?
A8: いいえ、日本で検索エンジンと検索連動型広告配信システムがGoogleに切り替わるまでは、Yahoo! JAPANの検索サービスの人気を支えているYSTとYSMは引続き開発・運用が続けられます。
Q9: 今回の契約で検索サービスの使い勝手が変わってしまうのか?
A9: 現在ご支持をいただいているユーザーインタフェイスが引き続き提供されますので、お客様の使い勝手は特に変わりません。Yahoo! JAPANはユーザー向けにフィットするよう、YST/YSMと同様にYahoo! JAPAN独自の調整を加えながらGoogle の検索サービスをカスタマイズいたします。これはYahoo! JAPAN のサイト上で検索サービスがどのような外観になり、利用者がどのように検索を体験できるかといったことも含まれます。その結果、利用者はYahoo! JAPAN のサイト上で、引き続きGoogle のサイト上とは違う体験をすることができると考えられます。
Q10: 公正取引委員会には本件について相談をしているのか?
A10: 事前に日本の公正取引委員会に相談をしており、問題なき旨を確認しております。
Q11: 日本の検索サービスにおける競争への影響は?
A11: GoogleとYahoo! JAPANが全く同じ検索エンジンを使ったとしても、Yahoo! JAPANは検索サービスをカスタマイズして提供することが可能であり、また、ユーザーインターフェイスも従来通り独自のものを提供してまいります。従って、Googleや他の競合他社と競合していく状況にはなんら変わりがありません。
Q12: Yahoo!JAPANはかつてYahoo! Inc.以外から検索エンジンの提供を受けたことがあるのか?
A12: Yahoo! JAPANのディレクトリ検索サービスを補完する引継検索のエンジンとして、1998年5月より2001年3月までの期間はgooより、その後、2001年4月より2004年5月までの期間はGoogleより提供を受けておりました。
Q13: Yahoo! JAPANはソフトバンクモバイル(SBM)にモバイル検索を提供していますが、本件を機に何か変わることはありますか?
A13: いいえ、Yahoo! JAPANはモバイル検索サービス、モバイル広告とも、これまで通りSBMに提供してまいります。
Q14: 財務的な影響はありますか?
A14: 利益構造を大きく変えるインパクトはありません。
Q15: 広告売上への影響は?
A15: 過去にも検索連動型広告配信システムを変更した経験がありますが、影響は軽微なものでした。これを契機に今回も同様サービスをより良くし売上の最大化を目指してまいります。
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