- 2011/07/06 掲載
ビッグデータの問題解決にはデータ量の管理だけでは不十分--米ガートナーが見解
しかし、ビッグ・データでは、当面の課題に重点が置かれていることで、近視眼的な判断につながる場合もあり、変化するビジネス・ニーズに合わせてIT担当者が環境を拡張し、適応させていく上で、企業の情報アーキテクチャの障害となることがあるという。
データへの適切なアクセス環境の提供とデータ品質の維持管理の両方について制御が困難になってきたとき、情報管理者はデータの量のみを重視しがちだが、焦点を絞り込み過ぎると、ビッグ・データの他の局面への対応に2~3年を要する大規模な再投資が必要になる恐れがあると、ガートナーは警告している。
「情報管理に関する今日の取り組みやテクノロジは、ビッグ・データに関するすべての動きに対応できるところまで追い付いていないのが現状です。情報管理者は、情報管理のあらゆる局面に対処するプランを立てて、データへのアプローチを根本から考え直さなければなりません。ビッグ・データと呼ばれる、さまざまな情報源へのアクセスに対する企業ニーズの高まりは、情報管理者にとって、企業が情報を利用する環境を変革する機会でもあります。ただし、そのためにITリーダーは、ITユーザーであるビジネス部門と、ビッグ・データの利用における課題について意思の疎通を図りながら、一定レベルの管理統制力と調整力を維持する必要があります。意思疎通が不十分な場合、ビッグ・データの利用は大きな問題となり、コンプライアンスに関するリスクやコストの増加、連携されていない孤立した情報環境のさらなる増加につながります」(ガートナー リサーチ担当バイス・プレジデント、マーク・ベイヤー氏)
ガートナーでは、ビッグデータでは、以下の点に注意する必要があると指摘している。
企業が使用しているシステムでのデータ量の増加は、トランザクションの件数および従来型の他のデータ・タイプ、また新しいタイプのデータなどが原因となっている。データ量が多過ぎるということは、ストレージの問題であると同時に、分析においても大きな問題となりうる。
多様性
IT担当者は常に、大量のトランザクション情報を解釈し判断に生かすという課題と向き合っているが、現在は主にソーシャル・メディアとモバイルに由来する分析すべき情報のタイプが増加している。これには、表形式データ (データベース)、階層型データ、ドキュメント、電子メール、メータリング・データ (センサなどから得られる測定データ)、動画、静止画、オーディオ、株価データ、会計トランザクションをはじめとする数多くのタイプが含まれる。
速度
データのストリーム、構造化されたレコード生成、アクセスおよび配布における可用性などが関係している。速度には、データが生成されるスピードと、これらのデータをニーズに合わせて処理するスピードの両方の意味合いがあるという。
ガートナーは、ビッグ・データは大きな課題であるとしつつも、ビッグ・データを活用するとともにそのパターンを明らかにすることで、ビジネスにおいて質の高い意思決定に役立てることこそが本当の課題であると指摘。取り組みへのヒントとして次のようなことを挙げている。
「テキスト、ソーシャル、コンテキストなど新しい形のデータを使って、いわゆるパターン・ベース・ストラテジでビジネスの意思決定を支援するパターンを明らかにしようとしている企業にとって、膨大なデータを管理する能力はコア・コンピタンスの1つです。変革を推進するパターン・ベース・ストラテジでは、パターンを明らかにしていくプロセスのあらゆる局面を有効活用します。これが新しいビジネス・ソリューションをモデリングする基盤となり、企業は変化に適応することが可能になります。この「パターンの発見 - モデリング - 適応」のサイクルは、例えばソーシャル・コンピューティング分析やコンテキスト・アウェア・コンピューティング・エンジンなどのさまざまな媒体を使って補完していくことができます」(ガートナー バイス・プレジデント兼最上級アナリストのイヴォンヌ・ジェノヴェーゼ氏)
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