- 会員限定
- 2011/09/15 掲載
グローバルサプライチェーンにおけるローカル工場の役割、日本HP昭島工場のPCサーバ生産に学ぶ
中堅・中小企業市場の解体新書
HPが「MADE IN TOKYO」にこだわるわけ
「MADE IN TOKYO」、この意味は、日本のユーザーに一番近いコンピュータメーカーでありたいという同社のポリシーだ。要求基準が世界的にも厳しい日本のユーザーに対応するためには、東京にその生産拠点を持つことが必須という考えによるものである。
このように同社が(少なくとも表向きは)日本を特別視するには2つの大きな要因がある。1つは日本市場の大きさだ。もう1つは、日本がシェア1位をなかなか取れない地域だからだ。日本国内のPCサーバ市場では、シェア1位の座を譲らないNEC(総合台数)の存在がある。打倒NECを目指し、日本HPはNECの最も得意としている中堅・中小企業(SMB)市場を攻略しなければならない。
そのためには間接販売における生産と物流の拠点を日本に置くことが必須であると考えた。日本特有の細かなカスタマイズニーズや短納期に対応するためには、生産現場に技術を理解したスタッフを置くことが必要だった。そして物流拠点は大消費地である首都圏に置くことが求められたのである。
昭島工場はそうした日本HPの戦略拠点となる場所だ。技術スタッフ数十名を生産ラインに張り付かせ、日々求められるユーザーのカスタマイズに対応したキッティング作業を実施している。このことは、販売チャネルが中堅・中小企業の細かい要求に応じる速度を短縮化することに成功した。そして販売チャネルの同社に対する信頼関係の向上も合わせて実現されたという。
「MADE IN TOKYO」は、単なる組立の短期化だけでなく、日本企業の求める世界的にみても高い要求に、いかに早く製品に反映させられるかを同時に果たすことが目的だったのである。
日本HPのPCサーバにおける3つの生産方式
ここで、同社のPCサーバの3つの生産方式、CTO(Configure To Order)、BTO(Build To Order)、BTS(Build To Stock)について、それぞれの特徴を説明しておこう。1.CTO(Configure To Order):注文仕様生産
ユーザー企業の希望スペックにもとづいて生産する「注文仕様生産」と呼ばれる方法だ。日本国内のCTO製品はすべて昭島工場で生産される。すべての組み合わせはユーザーの注文次第で作り上げられる。外食でいえば「Subway」のようなイメージだろうか。同社の直販Webサイト「HP DirectPlus」で提供されるダイレクトパートナー(直販のスタイルだが、ダイレクトパートナーという販売店に商流が流れる)のモデル製品は、すべて昭島工場で生産されることになる。昭島工場の生産量は日本国内のHPサーバの実に半分を占めている。
2.BTO(Build To Order)標準製品注文
注文があってから、シンガポール、中国で生産し、それを持ち込んで作るもっとも一般的な生産方式だ。外食でたとえるなら、「モスバーガー」に似た方式といえるだろう。ただ、日本ではほとんど行っていない生産方法となる。
3.BTS(Build To Stock)計画生産
ある程度見込みのある製品をあらかじめ大量に作り置きしておく方法だ。外食にたとえれば「マクドナルド」のような生産方式だが、現在日本ではほとんど行っていないという。
【次ページ】生産拠点が日本にある利点
関連コンテンツ
関連コンテンツ
今すぐビジネス+IT会員にご登録ください。
すべて無料!今日から使える、仕事に役立つ情報満載!
-
ここでしか見られない
2万本超のオリジナル記事・動画・資料が見放題!
-
完全無料
登録料・月額料なし、完全無料で使い放題!
-
トレンドを聞いて学ぶ
年間1000本超の厳選セミナーに参加し放題!
-
興味関心のみ厳選
トピック(タグ)をフォローして自動収集!
投稿したコメントを
削除しますか?
あなたの投稿コメント編集
通報
報告が完了しました
必要な会員情報が不足しています。
必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。
-
記事閲覧数の制限なし
-
[お気に入り]ボタンでの記事取り置き
-
タグフォロー
-
おすすめコンテンツの表示
詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!
「」さんのブロックを解除しますか?
ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。
ブロック
さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。
さんをブロックしますか?
ブロック
ブロックが完了しました
ブロック解除
ブロック解除が完了しました