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  • 2011/10/20

ITが切り開く地方経済(青森県編):苦しい地方経済をどう克服?ITで採算を徹底管理する建設業の好例も

ソーシャルメディアで一次産業アピールへ

本州最北端に位置し、世界的にも有名な「りんご」のほか、数多くの農産物や水産物を提供し、日本の台所を支えているのが青森県だ。3月11日の東日本大震災では青森県の太平洋側にも甚大な被害がもたらされたことは全国的にあまり知られていない。八戸市、三沢市は港施設が壊滅的な被害を受け、八戸漁港・三沢漁港は、船舶はもちろん、周辺の水産加工場の多くが津波による倒壊、浸水により操業不能な事態に陥った。さまざまな逆境に立たされる青森県だが、IT化で再生に取り組む人々も少なくない。ITコーディネータの澤田氏に青森県のIT利活用の現状をレポートしていただいた。

青森県執筆担当

澤田 徳寿(さわだ のりひさ)

NPO法人 ITCあおもり 理事
ITコーディネータ、上級システムアドミニストレータ、行政書士資格を所有。21あおもり産業総合支援センター専門家派遣事業専門家として青森県内中小企業の経営改革支援を実施している。2010年度、2011年度に中小企業IT経営力大賞の認定企業に支援企業が選出された。また、ITコーディネータの全国大会である「ITCカンファレンス2009」において、「気づき事例集ツール」を活用した新しい「気づき事例の活用方法」を実証し、中小企業経営者向けの気づき研修会や経営者研修会の内容が評価され「ツール活用賞」を受賞した。経営者と従業員双方の話を注意深く聞き、相手の気付きを促し、企業の自主的な経営改革へとつなげる「経営カウンセラー」として活躍している。


恵まれた自然を活かした農漁業と観光業

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毎年延べ300万人以上の観光客が訪れる「ねぶた祭り」
 青森県は本州最北端に位置し、人口約140万人(2009年)、50万世帯の人々が暮らし、日本の総人口の1%を占める。県庁所在地は青森市である。

 産業の特色では、まず第一次産業である農業・漁業があげられるだろう。農業では特に、りんご、ながいも、にんにく、ごぼう、カシスは日本一の生産量を誇り、さくらんぼ、だいこん、西洋なし、かぶなども全国屈指の生産量をほこる。日本有数の農業県として、食料自給率は118%にのぼる(農水省 都道府県別食料自給率,2007年)。

 特にりんごは全国収穫量の半分以上を占めるほどで、青森りんごとしてのブランドも確立され、中国など海外輸出も高値で行われている。その一方で、全国収穫量75%以上を誇るにんにくや同じく全国収穫量の9割以上のカシスをはじめ、ながいも、ごぼうは青森県の代表的な農産物ながら、青森県外ではそれを知る人は少ない。

 また水産業についても、青森県は太平洋、日本海、津軽海峡と、三方を海にかこまれ、さらに下北半島と津軽半島に囲まれた内湾である陸奥湾を有す恵まれた環境にある。漁獲量日本一である八戸港のイカを始め、ホタテ貝、ヒラメ、ナマコは全国第2位の漁獲量、天然うなぎは全国第3位の漁獲量をほこる。その他には、小川原湖や十三湖では、シジミ、ワカサギ、シラウオなどがよくとれるが、そのうちでもシラウオ全国漁獲量の8割に上ること、シジミは全国第2位の漁獲量である。しかし、残念ながら農産物と同様にこれらの知名度は今ひとつ高くない。

 さらに、こうした農業や水産業と同様に、自然の恩恵を受けている産業として観光業がある。

 青森県には十和田湖、奥入瀬渓流、八甲田山、世界遺産である白神山地などの自然や、全国的にも有名な青森ねぶた祭りや弘前ねぷた祭り、五所川原立佞武多祭りなどの「ねぶた祭り」があり、毎年延べ300万人以上の観光客が訪れる。その他にも八戸三社大祭、弘前さくら祭り、黒石よされなどの祭りが行われており、四季を通じて自然や祭りを楽しむことができる。

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八戸-新青森の開業に伴い、今は東京から新青森まで3時間20分で行ける
 また、青森県民の悲願であった東北新幹線の八戸―新青森間81.8キロが2010年12月4日営業を始め、東京―新青森間で全線開業した。2011年3月5日には東北新幹線の新たな主役となる新型車両E5系「はやぶさ」の運行により、東京から3時間20分と大幅に時間が短縮された。

 盛岡以北の基本計画から実に38年を経て、首都圏と青森県を結ぶ高速交通の大動脈がつながったことで、観光業を始め、小売業、サービス業は大いに期待が高まったが、不運にも「はやぶさ」運行開始の1週間後に起こった東北地方太平洋沖地震および東日本大震災により、東北新幹線は一部の区間以外は不通となり、開通記念キャンペーンは大きく水を差される形となった。現在では運行ダイヤは通常に戻ったものの、観光客の足は遠のいたままであり観光業界は大きな痛手を被ったままである。

 この東北地方太平洋沖地震だが、青森県の太平洋側にも甚大な被害をもたらしたことは全国的にあまり知られていない。太平洋側の都市である八戸市、三沢市は港施設が壊滅的な被害を受け、八戸漁港・三沢漁港は、船舶はもちろん、周辺の水産加工場の多くが津波による倒壊、浸水により操業不能な事態に陥った。

 また、八戸港は東北地方では宮城県仙台塩釜港に次ぐ工業港・国際貿易港で、青森県内最大規模の港湾であるため、物流もストップし、青森県南製造業の生産、物流は長期にわたって打撃を受けた。青森県の製造業はこの県南地方に集中しているため、この打撃による県内産業における影響は大きく、製造業に関連する他の産業に今も影響は続いている。

【次ページ】厳しい公共事業の中でITを活用する理由

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