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  • 2012/08/31

かつてウォークマンにあった“独自価値”とは : 二代目社長の“値上げ”マーケティング(4)

『値上げコンサルティング』の手法

初代社長である父親から紹介された“値上げコンサルタント”の幸田陽一によると、「値上げコンサルティング」には6つの手法があるという。父親から経営を引き継いだ後、赤字に転落してしまったケーキ店「KARIYA」の二代目社長・刈谷修平はこの日、3回目の指導を受けている。現在はその1つ目「相対価値を高める」を学んだところだ。

幸本陽平

幸本陽平

JASISA|一般社団法人日本中小企業情報化支援協議会 会員
幸本陽平事務所 代表

製造業やIT関連業、地方自治体などに対し、マーケティングを中心としたコンサルティングを行うほか、研修およびセミナーの講師として活動している。外資系高級ブランドのマーケティング・販売促進・経営企画を長年担当した経験を生かし、企業がすぐに取り組めるマーケティング施策の導入提案を得意とする。特に社会の問題解決と事業の収益化を同時に目指す「社会問題解決(SIR)マーケティング」を提唱・推進している。中小企業診断士。

かつてウォークマンにあった“独自価値”とは

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「そうです。強みに集中し、他のライバルを上回る何かを提供する。それが相対価値を高める、ということです。あらゆる面でライバルを上回り、すべてのお客さんを満足させる、というのは現実的ではありません。周囲のコンビニにはない本格的なサンドイッチを提供するといったように、少しでも他を上回った、お客さんに“ひっかかる”点があればよいのです。」

 コンサルタントの幸田はケーキ店の二代目社長・修平に熱く語りかける。コーヒーがとっくに空っぽになっていたことに二人とも気づいていなかった。

「…さて、それでは次の、“独自価値”です。」

 そうだ、価値を高める方法は全部で6つあって、相対価値はまだその1つ目だった。

■価値で値上げする
 1. 相対価値
 2. 独自価値
 3. 付属価値

■ズレで値上げする
 1. 人
 2. 時間
 3. 場所


「先ほどの相対価値は“一点集中して、他よりも優れる”ことが目標でした。今度は“独自”、すなわち、他とは比べようがない、ということです。」

 他とは比べようがない?さっきの相対価値では他を一部でも上回ることが大事だと言っていたのに、正反対のような気がする。修平は混乱してきた。

「あの、さっきは一点集中してライバルを上回ることが大事だ、という話だったのに、今度は比べない、というのは意味がわからないのですが。」

「独自価値というのは、比べないのではなく、比べようにも比べる対象がない、ということです。たとえばこんなエピソードがあるそうです。」


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 幸田は一息置いて話しだした。

「昔、ソニーがトップの命令でウォークマンを開発させました。それを売りだそうとしたとき、ソニーの社員を含めてほとんどの人がそんなものが売れるわけがない、と言ったそうです。修平さん、なぜだかわかりますか?」

「えっ、ウォークマンをみんな売れないだろうと予想したんですか?今でもiPodなんかは大ヒットしているのに。そうですねえ、値段が高すぎたとか?」

「いえ、値段ではありません。理由は、ウォークマンが初めて世に出てきたものなので、誰もそれがどんなものでどう楽しいかがわかりませんでした。具体的に言うと、録音の機能がないとか、イヤホンをつなげないと曲が聞けないとか、そういった音楽再生機はこれまでなかったんです。まして、屋外で歩きながら音楽を聞くなんて概念自体がありませんでした。そのため皆が“そんなものを欲しがる人はいない”と思ったんだそうです。」

「へぇ、昔の人は見る目がないですねえ。」


 コンサルティングというと、びっちり勉強させられるようなイメージがあったが、幸田さんの話は例え話が多くてわかりやすい。修平もつい軽口を叩く。

【次ページ】比較対象がなければ安売りされない

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