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  • 2012/11/02 掲載

東京海上日動システムズ 横塚裕志社長:システムの開発期間を半減にする取り組み

今後のシステム構築はアジャイル開発に集約

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東京海上日動システムズは、東京海上グループの情報システムに関わる企画/開発から保守/運用までを手掛ける情報システム会社だ。同社は2012年、3か年にわたる中期経営目標として、開発期間を従来の半分にする「Challenge50 Start」を掲げた。その狙いや実際の取り組みとはどのようなものなのか。Gartner Symposium/ITxpo 2012において、東京海上日動システムズ 代表取締役社長の横塚裕志氏と、アステラス製薬でコーポレートIT部長をつとめたガートナーエグゼクティブプログラム バイスプレジデント兼エグゼクティブパートナーの重富俊二氏が対談を行った。

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

レッド オウル
編集&ライティング
1964年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学理工学部卒業。89年4月、リクルートに入社。『月刊パッケージソフト』誌の広告制作ディレクター、FAX一斉同報サービス『FNX』の制作ディレクターを経て、94年7月、株式会社タスク・システムプロモーションに入社。広告制作ディレクター、Webコンテンツの企画・編集および原稿執筆などを担当。02年9月、株式会社ナッツコミュニケーションに入社、04年6月に取締役となり、主にWebコンテンツの企画・編集および原稿執筆を担当、企業広報誌や事例パンフレット等の制作ディレクションにも携わる。08年9月、個人事業主として独立(屋号:レッドオウル)、経営&IT分野を中心としたコンテンツの企画・編集・原稿執筆活動を開始し、現在に至る。
ブログ:http://ameblo.jp/westcrown/
Twitter:http://twitter.com/redowlnishiyama

現在のITには“アジリティ”が求められている

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ガートナーエグゼクティブプログラム
バイスプレジデント兼
エグゼクティブパートナー
重富俊二氏
 はじめにガートナーの重富氏は、テクノロジーの変遷について言及し、「テクノロジーは1980年から10年刻みで大きく進化してきている」と指摘した。

 たとえば1980年までのホスト全盛時代に情報システムが主に担っていた機能は集中処理で、その目的はコスト削減だった。それが今ではテクノロジーの中心にクラウドやビッグデータ、あるいはモバイルやソーシャルなどがあり、ITにはビジネスにイノベーションをもたらすことが要求されている。その時に中心となる概念が、“アジリティ(=俊敏性)”だ。

「先がなかなか見通せない昨今、マーケットや顧客の反応をいち早く掴み、システムやビジネスに反映させていくことが非常に重要な経営課題となっている。」(重富氏)

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図:10年刻みでテクノロジは進化している
(出典:ガートナー,2012)


開発期間の半減を目指す「Challenge50 Start」プロジェクト

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東京海上日動システムズ
代表取締役社長
横塚裕志氏
 このアジリティの実現を中期経営目標として掲げ、具体的な取り組みを開始したのが、東京海上グループの情報システムを一手に担う東京海上日動システムズだ。2012年から2014年までの3年間に開発期間を従来の半分にすることを目指す「Challenge50 Start」プロジェクトを立ち上げた。ビジネスのグローバル化、低コスト体質への変革、代理店および顧客接点の強化がその骨子だ。

「Challenge50 Startではシステム開発のスピードを2倍に、逆にいえば開発期間を50%に短縮しようという目標と、ビジネスでいかに効果を上げるかという点に焦点を当てた。スピードが上がれば自然と開発コストも下がる。」(東京海上日動システムズ 代表取締役社長 横塚裕志氏)

 そこで横塚氏は、仕事の品質についての捉え方を大きく変革しよう考えた。これまで同社が掲げていた品質向上の目標は、分母に「生産量」を、分子に「トラブル数」を置いた値を極小化することだった。この時に考えるべきは、いかに生産量を拡大するか、あるいはいかにトラブル数を減らすか、という施策だった。

【これまでの品質評価】トラブル/生産量 ⇒ 極小化

 これを改め、Challenge50 Startでは分母に「生産量」を、分子に「効果」を置いた値に、「スピード」をかけたものをいかに極大化するか、を目指すことにした。

【Challenge50 Startでの品質評価】(効果/生産量)×スピード ⇒ 極大化

 またChallenge50 Startでは、“Learn&Change”を基本スタンスに据え、各部署やチームの主体的な取り組みによって、新しい技術や方法論にチャレンジしている。現在95もの詳細プロジェクトが走っているとのことだ。

「学んでは実践し、あるいは変えて、よりよいものにどんどんしていく。これに会社全体として取り組んでいる。」(横塚氏)

 たとえばスピードアップのためには、システムは“作らないで”作る。つまりクラウドサービスやパッケージソフト、オープンソースソフトウェア、あるいはルールエンジンなどを活用し、自分たちで作る量を減らして効果的なシステムを構築するということだ。さらには汎用化/部品化やアジャイル開発といった方法論も取り入れて、いかに開発スピードを上げるかを追求している。

【次ページ】米国視察によって痛感した最大の問題点

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