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  • 2013/05/22 掲載

SNIA会長 ウェイン・アダムス氏:ストレージの工業化・仮想化・Flash化がさらに加速する(2/2)

アマゾンも絶対の存在ではない

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──SNIAではCDMIという標準化も推進しています。SDSの中で、CDMIはどのような位置づけになりますか。

 CDMIはオブジェクトデータとメタデータを交換するための標準です。仮想化ストレージといったレベルより上位のデータ交換やサービスの相互接続で利用されるものです。SDSにおいても、アプリケーションによって、速度やIOPS(1秒あたりのアクセス回数)が要求されるストレージや、容量が優先されるストレージが考えられますが、これらのストレージ特性の違いを異なるクラウドサービスを利用したり、組み合わせることでSDSを構成しようとした場合、CDMIの出番があると思います。

 なお、仮想化によるストレージやネットワークの管理レイヤをもうひとつ押し上げた「Software Defined Data Center」という業界の動きもあります。仮想化サーバ、仮想化ネットワーク、仮想化ストレージなどを統合的管理する仮想化ソフトウェアによって、データセンターの機能を仮想化するというものですが、サーバ、ストレージなどクラウドサービスプロバイダをまたがったようなIaaS環境や自社の物理的リソースと、SDNを組み合わせて仮想的なデータセンターを構築します。

画像
Software Defined Data Centerの考え方をイメージにしたもの
(出典:SNIA)


──SDSやSoftware Defined Data Centerという考え方について、業界の動きはどうでしょうか。

 小さいベンダーやプロバイダの動きは早いですね。オープンソースを利用したSDS関連のソリューションを提供する企業やベンチャーは増えています。IBM、HP、EMCといった大手ベンダーもそのようなソリューションや技術を持つ中小ベンダーを買収したりして、SDSやSDデータセンターへコミットしてきています。

Flashストレージの活用はTCOで考える

──話は少し変わりますが、SSDなどのFlashストレージの動向について教えてください。ストレージの市場でFlashメモリの利用や普及は進んでいるでしょうか。

 Flashストレージの特徴は、レイテンシが少なくIOPSが大きいことです。ただし、現状では一般的なストレージのアクセスにおいて、47%のIOPSが占める記憶容量分布は全体の1%に過ぎないというデータもあります。また、平均的なハードディスクに対するSSDのバイトあたりのコストは30~40倍というデータもあります。

 つまり、アクセス頻度の高いデータや処理に必要な記憶容量はそれほど大きくなく、大量のデータを保管するような用途には磁気ディスクの優位性が保たれています。これらのことから、現状ではストレージの用途に応じた普及が進んでいる状態といえます。

 たとえば、個人向けのノートPCやタブレットではSSDの利用はごく一般的です。データの保存など容量が重視される目的では、依然としてハードディスクが利用されています。

 しかし、データセンターのストレージにおいては、キャッシュやトランザクション処理に特化した応用分野では、間違いなくSSDのニーズが高まっています。ソーシャルサービスやファイナンス系のシステムでは、キャッシュやトランザクションへの要求が高いからです。

 さらに全ストレージのうち、5%をFlash化することで、パフォーマンスを125%向上させながら、設置面積を60%、消費電力を75%、コストを52%削減するハイブリッド・アレイという考え方が登場しています。すべてをFlash化するのは時間がかかるかもしれませんが、劇的な変化をもたらす可能性があるものとみています

 そのため、SNIAでは、NVM(Non-Volatile Memory) Programming技術部会が、不揮発性メモリをプラットフォームとしたストレージの実装技術や標準化について検討しています。この作業部会には、IBM、HP、富士通、EMC、Dellなど多くのベンダーからの参加があります。6月には、PCIeボード型のFlashストレージに関する性能評価に関する指標について発表できるかもしれません。

アマゾンも絶対の存在ではない

──クラウドサービスにおいて、アマゾンの存在感が増していると思います。どのような評価をなさっているか率直なご意見をお聞かせください。

 まず、非常に成功している会社だと思います。EC2やS3というサービスはビジネス効率の改善にも寄与していると思います。多くの企業がSLA重視の観点からプライベートクラウドを利用しながらも、DRやアウトソーシングという点で、アマゾンのようなサービスの利用価値を見出しています。

 この新しい市場については、たとえば日本ではNTTのような大手の通信事業者やISPなども類似サービスを展開してきています。そのような市場を開拓した、また他の企業にそれを気づかせたという意味でも特筆すべき企業でしょう。

 しかし、それは新しい競争も生んでいます。アマゾンとて絶対の存在ではなく、アプリケーションのレベルならGmailやOffice 365のようなサービスのほうが優位でしょう。市場の変化は常に続きますしITの適用範囲も広がっているので、アマゾンもいまの地位を維持し続けるのは大変だと思います。

(執筆:中尾真二、聞き手・構成:編集部 松尾)


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