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  • 2013/05/22 掲載

SNIA会長 ウェイン・アダムス氏:ストレージの工業化・仮想化・Flash化がさらに加速する

アマゾンも絶対の存在ではない

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クラウド、ビッグデータといったIT業界の新しいトレンドは、企業におけるITインフラやソリューションビジネスにも変化をもたらしている。それは、データセンターの役割や意義にも影響を与えているようだ。とくに、データワークロードの急速な拡大は、ストレージ業界に新しいニーズを喚起している。ストレージ業界の国際的な団体であるSNIAの会長であるウェイン・アダムス氏に、SDNやSDS(Software Defined Storage)、Software Defined Data Centerといった業界のトレンド、Flashの動向、アマゾンの存在感などについて、単独インタビューを実施した。

ITインフラの「工業化」が進展、「データ工場」に

 SNIA(Storage Networking Industry Association)は、最新技術の研究や標準化のとりまとめ・認定プログラム、国際会議の運営などを行っているストレージベンダーの業界団体だ。非営利団体だが、IBM、EMC、HP、日立、富士通、NEC、マイクロソフト、オラクルといった大手ベンダーをはじめ400以上の企業が会員となっている。会長のウェイン・アダムス氏との一問一答は以下の通り。

photo
SNIA
会長
ウェイン・アダムス氏
──アダムス会長は「ITインフラの工業化(Industrialization)」が進んでいると指摘されていますが、この意図について教えてください。

 多くのかたが、グーグルやマイクロソフトのインターネットデータセンターの写真を見たことがあると思います。人があまりいない「データ工場」のようなイメージです。

 それを、一般的なテクノロジーやオープンソースプロダクツを利用して、安価なビルディングブロックとして実現することを「ITインフラの工業化」と呼んでいます。このビルディングブロックには、サーバやOSだけでなくストレージやネットワークなどもすべてパッケージ化されているので、企業はデータセンターの機能を一定の品質を持った製品としてすぐに使えるようになります。

 わかりやすい形態としては、PODと呼ばれるようなコンテナ型のデータセンターがあります。企業が必要とするITインフラを、要求に応じてサーバ、ストレージ、ネットワーク、必要なOSやアプリケーションを統合化した状態で、ビルディングブロック単位で提供するというソリューションです。これを「ITインフラの工業化」と呼んでいますが、そういった動きは業界全体で注目されています。

──工業化されたITインフラは、クラウドとして提供されることが前提となるのでしょうか?

 企業のニーズ次第だと考えています。コンテナ型のデータセンターをそのまま提供することも可能ですが、サーバ、ストレージ、ネットワークなどを仮想的なビルディングブロックとしてクラウドサービス(IaaSなど)として提供することもできます。

 データを保存する国を指定したい、DRなどの目的でデータを地理的に分散させたい、ITインフラごとプールしておいて必要に応じて使いたい、といった応用の場合、オンプレミスとしてもクラウド型が向いているでしょう。

 また、従来型のデータセンターでは、専用の業務システムを載せてしまうと変更が容易ではありませんでした。しかし、工業化されたITインフラ、つまり共通化されたビルディングブロックによるクラウド環境ならば、システムの変更や交換は大きな問題にはなりません。工業化とクラウドを組み合わせると、応用範囲は広がると思います。

──一方でベンダーごとの統合化インフラは主流にはほど遠いとの見解も示されています。その真意を教えてください。

 ITインフラの工業化は、オープンプラットフォームを利用した共通のビルディングブロックが単位となるので、マルチベンダーの市場として広がっていますが、統合インフラ(Converged Infrastructure)では、ベンダーロックインが避けられません。

 そのため、ベンダーごとのシステムが乱立しやすく、いまのところ、市場に統合インフラへの動きはあまり起きていないと言えます。ただし、限定された環境でのシステム自動化、管理の効率化という面での統合インフラの需要は高いと思われます。

ネットワーク同様、ストレージでも仮想化が進む

──ネットワークの世界はSDN(Software Defined Networking)による仮想化が進んでいます。ストレージの世界でも同様のことが進んでいるのでしょうか。

 おっしゃるように、SDN(Software Defined Network)ではOpenFlowのようなプロトコルをベースにオープンソースコミュニティを中心とした標準化が進められています。

 OpenFlowやSDNについてはOpen Network Foundationやアプリケーション開発やOpenFlow APIについてはOpenDayligntプロジェクトなどがその活動をしています。ストレージについては、たとえば、OpenStackプロジェクトをベースにNovaやSWIFTというプロジェクトが動いています。

 一方、ストレージの分野でもSoftware Defined Storage(SDS)という考え方があります。SDSでも、管理プレーンとデータプレーンを分けて考え、データプレーンは、ブロックストレージ、ファイルストレージ、Hadoopなどのオブジェクトストレージなどさまざまなタイプのストレージによって構成され、管理プレーンによって仮想的なボリュームやストレージプールとして機能させることができます。物理レイヤは、一般的なハードディスクドライブや各社のストレージ製品、SSD製品などになります。

──SDNでは、仮想化を実現するためにOpenFlowスイッチなど、比較的低いレイヤから適用できる標準的なプロトコルを利用しています。SDSでは、それに相当するような標準はあるのですか?

 共通化が進みつつあるところですが、いずれにしても下位レイヤにおいては一般的なSCSIインターフェイスなども利用可能です。

画像
Software Defined Storageでは制御プレーンが仮想化とストレージ効率を実現する
(出典:SNIA)


 また、直接の仮想化技術ではありませんが、OpenStackのNovaやSWIFTもストレージのクラウド化のための標準として機能します。CINDERというブロックIOによる仮想化ボリューム管理のオープンソースソフトウェアのプロジェクトもあります。

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