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- 2014/09/29 掲載
ブレずに熟考する「鳴かず飛ばず戦略」でビジネスが化ける~中国春秋時代の戦略に学ぶ
むかし話のネゴスターに学ぶ人を動かす極意
中森勇人(なかもりゆうと)
経済ジャーナリスト・作家/ 三重県知事関東地区サポーター。1964年神戸生まれ。大手金属メーカーに勤務の傍らジャーナリストとして出版執筆を行う。独立後は関西商法の研究を重ね、新聞雑誌、TVなどで独自の意見を発信する。
著書に『SEとして生き抜くワザ』(日本能率協会)、『関西商魂』(SBクリエイティブ)、『選客商売』(TWJ)、心が折れそうなビジネスマンが読む本 (ソフトバンク新書)などがある。
TKC「戦略経営者」、日刊ゲンダイ(ビジネス面)、東京スポーツ(サラリーマン特集)などレギュラー連載多数。儲かるビジネスをテーマに全国で講演活動を展開中。近著は「アイデアは∞関西商法に学ぶ商売繁盛のヒント(TKC出版)。
公式サイト http://www002.upp.so-net.ne.jp/u_nakamori/
キーワードは「3年」
ところが途中で燮は殺され、荘王は首都に戻った。しかし、これ以降、荘王は政治を放置して宴会三昧の日々。「文句を言うヤツは首をはねる」と聞く耳を持たなかった。家臣は呆れ返ったものの命が欲しいものだから忠言する者は現れず、ただ見守っていた。
しかし、3年目にしびれを切らした重臣、伍挙(著名な軍師 伍子胥の祖父)が王に向かって「ある鳥は3年間、全く飛ばず、全く鳴かずにいました。この鳥の名は何と言うのでしょうか」と謎かけで忠言を行った。
これに対して荘王は「その鳥は一旦飛び立てば天まで届き、一旦鳴けば人を驚かせるだろう」と言い放ち、その後も放蕩を繰り返した。その後、大夫(高官)である蘇従が死を恐れずに諌め、これを期に荘王はそれまでの行動が擬態であることを明らかにした。
実は荘王、3年間に渡り、無能で愚かなフリをする事で家臣をだまし、人物判定をしていたのである。命を顧みず忠言をした伍挙と蘇従に国政を任せ、以前から目を付けておいた人物を新たに数百人登用。これとは逆に悪臣として数百人を誅殺した。
この故事から周囲の目を欺き、機会を待つ戦略を「鳴かず飛ばず」と言うようになったとされる。この逸話の後も中国では斉の名君と呼ばれている威王(紀元前356年~320年)も同様の戦略を用いた。
威王は放蕩を繰り返すあまり、家臣に「わが国には大鳥がいて、王庭にとどまっておりますが、この3年間鳴くことも飛ぶこともしません。この大鳥はなんでしょうか」と言わしめた。
威王も忠言の後、大夫の褒章と処罰を行ったと言われている。しかも威王の場合はこの後、6年間も放蕩三昧だったというから驚かされる。都合9年、「ちょっと長すぎやん!」と突っ込みたくなってしまうが、まあ相場としては「擬態は3年が限度」といったところではないだろうか。
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