- 2026/02/13 掲載
【三宅香帆】「説得力」の正体とは?面接もプレゼンも“別人級”──言語化3ステップ
「やばい」しか出てこないのは、あなたの語彙力のせいじゃない
素晴らしい作品に出会ったり、心を揺さぶられる体験をしたりしても、つい「面白かった」「感動した」「やばい」といった言葉しか出てこない──。そんなもどかしさを、「自分は語彙力がないからだ」と感じている人は少なくないだろう。「もともと私が文章講座などで言葉の使い方について教えていると、推しの素晴らしさを語りたいけど語彙力がないからどうやって語ったらいいか分からないという声をよく聞いていました。でもそれに対して、『いや、語彙力じゃないんですよ』ということを伝えたくて、この本を書きました」
文芸評論家の三宅香帆氏 が著書『「好き」を言語化する技術』で指摘するのは、この問題の本質だ。多くの人は語彙力不足だと思い込んでいるが、実際に必要なのは“別のスキル”なのだという。
三宅氏によれば、自分の感情を適切に表現できない背景には、「クリシェ」と呼ばれる定型表現への依存がある。「考えさせられた」「泣けた」といった表現はたしかに間違いではないが、その人だけの視点や体験が伝わらない。重要なのは、そうした表現を使わずに、具体的で個人的な言葉を見つけることなのだ。
【三宅香帆流】自分の言葉を作る、言語化「3ステップ」
では、具体的にどうすれば自分の思いを的確に言語化できるのか。三宅氏が提唱するのは、言語化を「細分化」として捉えるアプローチだ。「私自身はたとえば、自分の好きなアイドルのライブに行って、このライブが良かったという『良かった』という部分をたくさん言い換えるよりも、このライブのどこが良かったのかという『どこ』を細かく上げていった方が、そのライブの魅力って伝わるんじゃないかなと思うんですね」(三宅氏)
三宅氏流の「細分化」のプロセスは、3つのステップで構成される。第一に良かった箇所の具体例を挙げること、第二に感情を言語化すること、そして第三に忘れないようにメモをすることだ。
重要なのは、抽象的な感想ではなく、“具体的”な場面や要素に注目することだ。たとえば映画の感想を述べる際も、「全体的に面白かった」ではなく、「主人公が階段を駆け上がるシーンの音楽の使い方が絶妙だった」といった具体的な指摘の方が、その人の視点や価値観が伝わりやすい。
この言語化のステップは、自分自身への理解を深める効果もある。
「自分の好きなものについて語ると、自分自身が分かってくるなって私は思うんですね。たとえば、自己分析で『自分ってどういう人間なんだろう』って考え始めるとドツボにはまっちゃうと思うのですが、自分がなぜそれを好きか、どういう風に好きなのかっていうことを考えていくと、意外と自分ってこういう人間なんだなとか、ここが人と違うんだなってことが分かると思います」(三宅氏) 【次ページ】【実践】キャリアを動かす言語化(1)転職活動編
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