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- 2014/11/04 掲載
ドワンゴ ニコニコ担当者が明かす、85万人超のオンラインイベントを支えたITインフラ
最大規模のユーザー体験共有を目指したカウントダウンイベント
「Akamai Digital Media Conference 2014」で登壇した吉村氏はニコニコ生放送の配信システムのインフラ部分を担当しており、ニコニコ生放送の特徴を次のように説明する。
「まず視聴者がストリーミング映像上に匿名でコメントを書くことができること。書かれたコメントを元に配信者と視聴者がリアルタイムでやり取りすることもできる。またゲーミフィケーションを利用したコメントのNGフィルタが共有されており、悪意ある書き込みを数多くするユーザーのコメントはNGになりやすい。そうした仕組みを設けることで、NGコメントが流れないようにしている」
ドワンゴでは2013年末、ニコニコ生放送上で「ニコニコ年越し!小林幸子カウントダウンLIVE~オープニングアクト:ダイオウグソクムシ~」というカウントダウンイベントを企画した。
当時ニコニコ生放送で流行っていたダイオウグソクムシの映像を流し、その後、メインプログラムである歌手、小林幸子さんのLIVEを見ながら、視聴者全員で年越しのカウントダウンをしようというものだ。トータルで約15時間放送されたという。
「このLIVEを、ニコニコ生放送を能動的に観に来ているユーザーだけでなく、サイト上で他の動画を観ているすべてのユーザーにも見せたいというリクエストが会長の川上から上がってきて、2013年10月中旬にプロジェクトが発足した」
ニコニコ動画には、動画を観ている全ユーザーに突然、同じ映像を流す“ニコ割(ニコニコ割り込み)”という仕組みがあり、“時報”という呼称でも親しまれている。今回のイベントではこのニコ割を使って、年末のカウントダウンが始まる瞬間に、ニコニコ動画のサイトに滞在している全視聴者に生放送を一気に流し、コメントしてもらって盛り上がろうというものだ。
「本来時報は映像エリアの上部に流すが、今回は画面全体を“乗っ取って”、全視聴者に生放送を流すことを考えた。今までにない最大規模のユーザー体験の共有を実現しようという試みだった」
大規模ユーザーの生放送に対応するため新たな動画配信技術を採用
「従来ニコニコ生放送の配信システムはPHPで書かれていたが、現在はScalaで作り直しており、今回のカウントダウンイベントは、そのScalaで作り直した部分を利用して配信した。実際に配信を行うに当たっては技術的な検討をしたが、サイト上の全ユーザーに見せるとなると、生放送で普段利用しているAkamai RTMPというプロトコルのサービスでは、帯域が十分ではなかった。そこでAkamai HDS(HTTP Dynamic Streaming)/HLS(HTTP Live Streaming)という新たなサービスの提案をしてもらった」。
そのサービス特性は、RTMPよりも多くの帯域を利用できるので、ユーザー数が増えても対応可能なこと、またユーザー側の利用帯域などに応じて配信映像の画質を自動選択できること。
「しかしAkamai HDS/HLSにも課題はあった。RTMPの利用時は、CDN(Contents Delivery Network)でコンテンツを配信した時の遅延が約5秒だったが、Akamai HDS/HLSでは20~25秒と長くなり、さらにあるユーザーは20秒、また別のユーザーは30秒といったように、ユーザーによって遅延のバラつきも大きかった。これではカウントダウンイベントとの相性は非常に悪い。そこで3つの工夫を行った」
【次ページ】カウントダウンイベントとの相性を考えて実施した3つの工夫
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