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  • 2013/07/05

クラウド導入は大胆かつ慎重に、東京海上グループと三井物産における次世代IT基盤戦略

クラウド元年と呼ばれた2010年から3年余りが経過し、これまでオンプレミスを重視してきた日本の大手企業の中にも、クラウド導入に向けた取り組みを本格化させる企業が次々にあらわれている。東京海上日動火災保険と三井物産は、そうした中のリーダー的な存在だ。セキュリティやプラットットフォームの信頼性に対する厳重な検証を重ねつつ、基幹系システムを含めたクラウドの利用範囲の拡大を指向している。東京海上日動火災保険の理事 IT企画部長 稲葉 茂 氏と三井物産 理事 IT推進部長 前川 一郎 氏が語った。

フリージャーナリスト 小山 健治

フリージャーナリスト 小山 健治

1961年生まれ。システムエンジニア、編集プロダクションでのディレクターを経て、1994年よりフリーランスのジャーナリスト、コピーライター。企業情報システム、BI、ビッグデータ、IT関連マーケティング、ストレージなどの分野を中心に活動中。著書に、「図解 情報・コンピュータ業界」(東洋経済新報社)、「One to One:インターネット時代の超マーケティング」(IDL)、「CRMからCREへ」(日本能率協会マジメントセンター)などがある。

大手企業にも浸透し始めたクラウドファースト

 少し前までクラウドといえば、オンプレミスよりもコストを抑えられるというメリットばかりがクローズアップされてきた。また、クラウド化の対象となるシステムは、Webサーバやグループウェア、ファイルサーバなどの周辺業務が中心で、基幹業務システムの移行にまで踏み込むケースはきわめて少なかった。

 ここにきて、そうした状況が大きく変わり始めている。システムを開発・更新する際にクラウド利用を第一に検討する「クラウドファースト」の考え方が、日本国内でも広がってきているのである。

 ERP大手のSAPがクラウド対応に大きく舵を切ったことも大きい。すでに「SAP Business Suite」「SAP HANA One」「SAP Business All-in-One」「SAP BusinessObjects ビジネスインテリジェンスソリューション」「SAP Rapid Deployment Solutions(RDS)」「SAP Afaria」など、多岐にわたるSAPソリューションがAWS(Amazon Web Service)上での本番稼働運用が認定されている。これにともない、基幹系まで含めたシステムの全面的なクラウド化に向けて、多くの企業が動き始めた。

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東京海上日動火災保険
理事
IT企画部長
稲葉 茂 氏
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三井物産
理事
IT推進部長
前川 一郎 氏
 AWS Summit Tokyo 2013のDay2オープニングキーノートにゲストスピーカーとして登壇した東京海上日動火災保険の稲葉茂氏と三井物産の前川一郎氏は、日本の大手企業の中でも特に積極的なクラウド重視の姿勢を示している業界のキーマンだ。

 東京海上グループでは、次世代ITの基盤としてクラウドを位置づけている。

「ビジネススピード、コスト構造、変化への対応力への期待がグループ内で高まっており、クラウドのビジネスメリットを見過ごすことはできません」と稲葉氏は語る。

 一方の三井物産も、今後の自社のIT基盤のあり方を示す「ITランドスケープ」というビジョンを2010年に策定し、クラウドへの取り組みを本格化させた。

 「三井物産の社員が活動する現場は世界に広がっています。そんな彼らを支え、リアルタイムにつないでいくグローバル・ネットワークの構築とクラウド活用は、ITランドスケープにおける重要な柱になっています」と前川氏は語る。

約1年をかけてクラウドの信頼性を検証

 もっとも、そんな両社といえども、決して勢い任せでクラウド導入を進めているわけではない。

「大切なお客さまのデータをお預かりしている以上、クラウドについても厳密な調査・確認を行う必要があります。セキュリティ対策はもとより、クラウド自身が“信頼できる環境”を備えているかどうかを見極めることが大切なのです。そこで私たちは第三者機関レポートを確認するとともにAWSセキュリティチームと協業しながら、約1年間をかけてコンプライアンス、ガバナンス、リスクマネジメント、冗長性、一貫性、プライバシーなどを多面的に評価してきました。また、ITシステム構築・運用に関する社内ポリシーを再評価し、クラウドによって“何を達成するべきか”を明確化しました」という稲葉氏の言葉からは、金融機関ならではの慎重な姿勢を見て取ることができる。

【次ページ】一歩ずつ足場を固めながら順を追ってクラウドの利用範囲を拡大

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