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  • 2015/05/29

客に注文を付ける美味しいビジネスモデル:人を動かす極意

むかし話のネゴスターに学ぶ人を動かす極意

500円でランチが食べられる「ランチパスポート」の売り上げが好調だ。いわゆるレストランのガイドブックなのだが、パスポートを提示することで700円以上の、中には通常価格が1,000円を越えるランチが味わえることが人気の秘密。発祥は高知県で今まで20を越える都道府県や地域で発行されている。一方、30食限定やオーダー時間の制限、一冊に付き一食限りや有効期限、売り切れ御免などの制約があり、中にはランチパスポート用に作った原価の安いメニューがあるなどの問題点も指摘されている。まるで「安く食べられるのだから我慢してください」と言わんとするその姿勢。どちらが客なのかわからないと言う声も聞かれそうだ。このようにいろいろと注文の多いレストランもあるようだが、このフレーズ、どこかで聞いたような気がする。

中森 勇人

中森 勇人


中森勇人(なかもりゆうと)
経済ジャーナリスト・作家/ 三重県知事関東地区サポーター。1964年神戸生まれ。大手金属メーカーに勤務の傍らジャーナリストとして出版執筆を行う。独立後は関西商法の研究を重ね、新聞雑誌、TVなどで独自の意見を発信する。
著書に『SEとして生き抜くワザ』(日本能率協会)、『関西商魂』(SBクリエイティブ)、『選客商売』(TWJ)、心が折れそうなビジネスマンが読む本 (ソフトバンク新書)などがある。
TKC「戦略経営者」、日刊ゲンダイ(ビジネス面)、東京スポーツ(サラリーマン特集)などレギュラー連載多数。儲かるビジネスをテーマに全国で講演活動を展開中。近著は「アイデアは∞関西商法に学ぶ商売繁盛のヒント(TKC出版)。

公式サイト  http://www002.upp.so-net.ne.jp/u_nakamori/

くしゃくしゃになるほどの恐怖を味わう

 注文の多いレストランと聞いて思い出されるのは児童文学者として有名な宮沢賢治が著した「注文の多い料理店」だ。

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 話のあらすじを紹介したい。森に狩猟にやってきたイギリスのブルジョア青年2人は獲物を捕まえられない上、山が嵐の様相を呈してきた。やがて、山の案内人は姿を消し、連れていた猟犬は2匹とも泡を吹いて死んでしまったのだという。しかし、彼らは自分の置かれている危機的な立場を忘れ「2千4百円の損害だ」などと、金持ちの割にセコイ会話を繰り返す。山の雰囲気は益々、異様になっていき、急いで宿へ戻ろうとするものの案内人がいないので帰路が分からない。途方に暮れたときに青年たちは西洋風の一軒家「西洋料理店 山猫軒」を見つける。

 2人はいそいそと店内へと入り、ある注意書きに気が付く。「当軒は注文の多い料理店ですからご承知ください」とあったが、お坊ちゃま育ちの2人は「流行っているから注文が多く手間取るのだ」と好意的に捉える。扉を開けると、そこには「髪をとかして、履物の泥を落とすこと」とあり、以後は扉を開けるごとに注意書きが現れる。「金属製のものを全て外すこと」や「衣服を脱ぐように」、やがて酢の匂いがする香水をかけさせられたり、と不思議な注文ばかり。最後には「壷の中の塩をもみ込んでください」とあり、2人はようやく自分たちが料理を食べる方ではなく、料理の素材として食べられる存在であることに気付く。

 しかし、時すでに遅し。後戻りをしようと後ろの扉に向かうが、頑として開かない。恐る恐る前の扉のカギ穴を覗くとギラリと光る目玉が二つ。成す術のない2人は顔をくしゃくしゃにして泣くしかなかった。そのときだった。彼らの背後から扉を蹴破って、すでに死んだはずの2匹の犬が現れ、前の扉に向かって突進していくではないか。どうやら飼い犬たちは扉の向こうにいる“ばけ猫”と格闘しているようだ。しばらくするとレストランは建物ごと姿を消し、そこへ山の案内人が現れ、2人は無事都会へと帰っていった。しかし、くしゃくしゃになった顔だけは戻らなかったのだと言う。

 さて、このお話、宮沢賢治は何を言いたかったのだろうか?

【次ページ】「無茶ぶり」というビジネスモデル

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