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  • 2015/12/21 掲載

ディズニー映画製作の秘密、グリム童話「白雪姫」をどうブラッシュアップしたのか?

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昔話をモチーフにした作品を多く映画化してきたディズニー。今から約70年前、世界初の長編アニメーション映画「白雪姫(Snow White and the Seven Dwarfs)」を製作した。この映画は「AFIアメリカ映画100年シリーズ(アニメーション部門)」の第1位に輝き、公開当時には6100万ドルの収益を上げ、その後もデジタル化によるニューバージョンの公開で4000万ドルを記録。アニメーション界にも多くの影響を与え、日本の巨匠、手塚治虫氏をして「本作を50回以上見た」と言わしめる名作である。ディズニーはなぜ、いくつものヒット作品を生み出すことができたのか? ディズニーならではのブラッシュアップ術を紹介しよう。
中森 勇人

中森 勇人


中森勇人(なかもりゆうと)
経済ジャーナリスト・作家/ 三重県知事関東地区サポーター。1964年神戸生まれ。大手金属メーカーに勤務の傍らジャーナリストとして出版執筆を行う。独立後は関西商法の研究を重ね、新聞雑誌、TVなどで独自の意見を発信する。
著書に『SEとして生き抜くワザ』(日本能率協会)、『関西商魂』(SBクリエイティブ)、『選客商売』(TWJ)、心が折れそうなビジネスマンが読む本 (ソフトバンク新書)などがある。
TKC「戦略経営者」、日刊ゲンダイ(ビジネス面)、東京スポーツ(サラリーマン特集)などレギュラー連載多数。儲かるビジネスをテーマに全国で講演活動を展開中。近著は「アイデアは∞関西商法に学ぶ商売繁盛のヒント(TKC出版)。

公式サイト  http://www002.upp.so-net.ne.jp/u_nakamori/

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ディズニー流3つのブラッシュアップ術とは?

ディズニー流3つのブラッシュアップ術

 ディズニーが製作した長編アニメーション映画「白雪姫(Snow White and the Seven Dwarfs)」は、原作のファンタジー化、キャラクターの性格付け、人材の活用という3つのブラッシュアップ術を駆使して製作されている。

 まずは1つ目のブラッシュアップ術を紹介する前に、原作について触れておこう。「白雪姫と7人の小人達」の原作は言わずと知れたグリム童話「白雪姫」で原話はドイツの民話とされている。白雪姫にはモデルが存在し、1554年にブリュッセルにて21歳の若さで身罷った(みまかった)、マルガレータ・フォン・ヴァルデックだとされている。

 夭折の理由としては父であるフィーリップ4世がローマ皇帝に囚われた際の身代わりとしてブリュッセルに送られ、異邦での暮らしでの気苦労からと言われているが、マルガレータの美貌に嫉妬した義母、カタリーナによる毒殺という疑惑がぬぐえない。

 マルガリータを城から追い出したのが義母の策略だとされていることから、毒殺の信ぴょう性が高いとドイツの郷土史家エックハルト・ザンダー氏は後に語っている。また、この逸話に当時近郊にあった廃坑に小人が住み着いたという話が結びつき、童話の原型が出来上がったとエックハルト氏は解説。 まさにドラマに出てきそうなストーリーなのだが、グリム童話は原話をさらにデフォルメし、義母は三度に渡り白雪姫の暗殺を企てている。

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「白雪姫と7人の小人達」のオープニングメッセージ
 一度目は物売りに扮して訪問し、商品である編んだ紐で絞殺未遂、二度目は魔術を使って拵えた櫛で術殺(未遂)、三度目には毒を仕込んだ林檎で毒殺しようとした。しかも、それ以前にも王女が幼少のとき、狩人に殺害を依頼。忍びないと感じた猟師が山に置き去りにするというところから話が始まっている。

 物語ではこれらの策略が露呈した義母が結婚披露パーティーで真っ赤に灼けた鉄の靴を履かされ、王子や白雪姫の目前で死ぬまで踊り続けさせられるという残酷なオチまで付いている。一方、「白雪姫と7人の小人達」には現実の生臭さや残酷さが一切出てこない。

 義母を人間ではなく魔女に仕立て、三度の暗殺は毒リンゴの一件のみ。さらに森の動物たちが危機を知らせるなどのファンタジーで生臭さを覆っている。他にも童話では仮死状態の白雪姫を運ぶ際に小人がつまずき、喉にひっかかっていた毒リンゴを吐き出すのに対し、ディズニー作品では王子のキスで息を吹き返すというロマンチックな展開となっている。このような原作のエグさをファンタジーでブラッシュアップするところは、まさにディズニーマジックといったところだ。

 さらに、原作では目立たない小人の存在に注目。廃坑に居ついた存在の小人を、ダイヤモンド堀りをするというきらびやかな設定に置き換えた。7人にドク(=先生)、グランビー(= 怒りん坊)、ハッピー (= ご機嫌)、スリーピー (= 寝坊助)、バッシュフル (= 恥ずかしがり屋)、スニージー (= くしゃみ)、ドーピー (= おとぼけ)とネーミングと性格をマッチさせ物語に広がりを持たせることに成功している。

 もう一つ特筆すべきなのが、優秀な人材の活用だ。本作の監督であるデイヴィッド・ハンドは「バンビ」をはじめ多くの作品を、「ピノキオ」の監督であるベン・シャープスティーンは「ダンボ」や「シンデレラ」、「ふしぎの国のアリス」など、ディズニーの名作を世に送り出している。

 また、10年ぶりの公開となる「スターウォーズ/フォースの覚醒」はルーカスフィルムの買収で、空前のヒット作であるトイストーリーやアカデミー賞を受賞したファインディングニモはピクサー・アニメーション・スタジオの子会社化で製作が実現した。

【次ページ】ライバルさえも利用するディズニーのしたたかさ

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