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  • 2016/05/31 掲載

EC向けネット決済市場もアマゾンが牽引!急拡大する「ID決済」と「後払い」

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国内のECにおける決済手段には、クレジットカード、代引き、コンビニ収納代行、キャリアビリング、プリペイド(ネットワーク電子マネー、非接触電子マネー)などがある。また、ID紐づけ型のチェックアウト支払い(ID決済)については、モール事業者やSNS事業者、PayPalなどが提供している。今回は、TIプランニングによる独自調査も交えながら、インターネット決済市場の現状と今後の予測について解説したい。

TIプランニング代表取締役 池谷 貴

TIプランニング代表取締役 池谷 貴

編集などの仕事を経て、カード業界誌の版元において、雑誌編集、プランニング、セミナー、展示会などの運営に携わる。電子決済、PCI DSS/カードセキュリティ、ICカード、ICタグなどのガイドブック制作を統括。2009年11月にマーケティング、カード・電子決済、IT・通信サービスなどのコンサルティング、調査レポート・書籍の発行、セミナー運営、ポータルサイト「payment navi(ペイメントナビ)」「PAYMENT WORLD(ペイメントワールド)」などのサービスを手掛けるTIプランニングを設立した。

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2015年のEC決済市場は14.8兆円にのぼる


クレカ利用比率が約6割、日本はコンビニ収納代行が強い

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 国内でもインターネット決済市場が年々拡大している。経済産業省のBtoC-EC市場規模の調査によると、2014年の同市場規模は12兆7,970億円で、前年比 14.6%の増加となった。これに含まれていない市場(CtoC決済など)を加えると、国内のEC市場は14兆円程度の規模になるだろう。

 一方、老舗大手モールの売り上げの伸びは鈍化しており、市場は徐々に成熟してきた。また、中国の伸びなどに比べれば、国内市場の成長は続いているものの、各決済事業者は「期待するほど拡大していない」とう声もある。ただ、成長したサイトが新たなECサイトをオープンさせるなど、コマースのすそ野は着実に広がっている。

 こうした中、TIプランニングでは2015年のEC決済市場を推定。CtoC決済など、経済産業省のデータに反映されていない分野も含むと、2015年は14兆8,836億円規模になる。そのうち、クレジットカード決済が60%弱、代引きが14%強、コンビニ収納代行が8.36%、キャリアビリングが6.85%、プリペイドカードが5%強の市場になるとみている。

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EC決済サービスの市場規模予測
(出典:カードビジネス年鑑,TIプランニング発刊)

項目クレジットカード代引きコンビニ収納代行キャリアビリングプリペイドその他合計
金額(億円)88,67321,13012,52810,2717,5938,641148,836

クレジット決済市場:大手企業5~7社が牽引する

 クレジットカード決済は、国内のEC決済でもっとも利用されている決済手段だ。近年は、葬儀や不動産、医療化粧品、新業態など、これまでクレジットカード決済等のサービスが行われていなかった領域でも利用が進んできた。

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大東建物管理は、2015年8月18日に賃貸住宅に特化したクレジットカード決済代行会社「ハウスペイメント株式会社」を設立。新市場への導入も進んできた

 EC決済を行う加盟店と決済事業者との契約形態には「直接加盟店契約」と「包括加盟店契約」に分けられる。直接加盟店契約は各種決済手段に関して、サービス提供者との契約をそれぞれの事業者と個別に行い、売上代金の入金は各事業者から個別に行われる。

 一方、包括加盟店契約はサービス提供者との契約を決済代行事業者が代行して行う契約形態だ。審査、加盟店契約、決済・入金処理までを一括して決済代行事業者側で行うため、利便性の高いサービスとなっている。

 現在、クレジットカード決済に関しては、GMOペイメントゲートウェイ、ベリトランス、ソニーペイメントサービス、ペイジェント、ソフトバンク・ペイメント・サービスなど、5~7社の大手決済代行事業者を経由した取引が圧倒的に多い。

 国内には100を超える決済代行事業者が存在している。近年では手数料無料やスピーディーな審査、簡単にサイトに組み込めるコード決済を提供する企業もあるが、安定してオペレーションをまわすこと、システム対応の許容などの安心感を求める企業が多いため、それほど既存のプレイヤーにとって脅威になっていない状況だ。

 たとえば、手数料無料のサービスとして一時期話題をさらったSPIKE(スパイク)は、2016年4月から100万円まで決済手数料無料の条件を、10万円に引き下げ。いわば大幅な改悪となったが、これは日本のEC決済代行市場の勢力図を表している。

 SPIKEは20万アカウントを突破しているが、簡単にアカウントが作れるため、実際の稼働率や利用金額は、主要な決済代行に比べると少なく、手数料収益のベースとなる大手企業の獲得でも苦戦していると思われる。そんな中、2016年4月に、EC決済代行事業、リアル店舗決済事業、家賃決済事業、電子マネー事業を行うペイデザインの買収を発表しており、今後は巻き返しが期待される。

 さらに、海外では簡易に決済機能をウェブサイトに組み込める「Stripe(ストライプ)」などのコード決済(開発者向け決済サービス)が注目されているが、国内で提供される「Yahoo!ウォレット FastPay」、「WebPay」、「VeriTrans Air」などのサービスは苦戦を強いられている状況だ。

 実際、ある企業の担当者は、「日本の場合は、ECサイト構築サービスやカート経由の申し込みが確立されているため、ごく一部の開発者しか利用しないコード決済サービスのニーズは少ない」とコメントしている。

【次ページ】ID決済サービスは、アマゾンが拡大を牽引

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