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- 2016/05/31 掲載
EC向けネット決済市場もアマゾンが牽引!急拡大する「ID決済」と「後払い」
クレカ利用比率が約6割、日本はコンビニ収納代行が強い
一方、老舗大手モールの売り上げの伸びは鈍化しており、市場は徐々に成熟してきた。また、中国の伸びなどに比べれば、国内市場の成長は続いているものの、各決済事業者は「期待するほど拡大していない」とう声もある。ただ、成長したサイトが新たなECサイトをオープンさせるなど、コマースのすそ野は着実に広がっている。
こうした中、TIプランニングでは2015年のEC決済市場を推定。CtoC決済など、経済産業省のデータに反映されていない分野も含むと、2015年は14兆8,836億円規模になる。そのうち、クレジットカード決済が60%弱、代引きが14%強、コンビニ収納代行が8.36%、キャリアビリングが6.85%、プリペイドカードが5%強の市場になるとみている。
項目 | クレジットカード | 代引き | コンビニ収納代行 | キャリアビリング | プリペイド | その他 | 合計 |
金額(億円) | 88,673 | 21,130 | 12,528 | 10,271 | 7,593 | 8,641 | 148,836 |
クレジット決済市場:大手企業5~7社が牽引する
クレジットカード決済は、国内のEC決済でもっとも利用されている決済手段だ。近年は、葬儀や不動産、医療化粧品、新業態など、これまでクレジットカード決済等のサービスが行われていなかった領域でも利用が進んできた。EC決済を行う加盟店と決済事業者との契約形態には「直接加盟店契約」と「包括加盟店契約」に分けられる。直接加盟店契約は各種決済手段に関して、サービス提供者との契約をそれぞれの事業者と個別に行い、売上代金の入金は各事業者から個別に行われる。
一方、包括加盟店契約はサービス提供者との契約を決済代行事業者が代行して行う契約形態だ。審査、加盟店契約、決済・入金処理までを一括して決済代行事業者側で行うため、利便性の高いサービスとなっている。
現在、クレジットカード決済に関しては、GMOペイメントゲートウェイ、ベリトランス、ソニーペイメントサービス、ペイジェント、ソフトバンク・ペイメント・サービスなど、5~7社の大手決済代行事業者を経由した取引が圧倒的に多い。
国内には100を超える決済代行事業者が存在している。近年では手数料無料やスピーディーな審査、簡単にサイトに組み込めるコード決済を提供する企業もあるが、安定してオペレーションをまわすこと、システム対応の許容などの安心感を求める企業が多いため、それほど既存のプレイヤーにとって脅威になっていない状況だ。
たとえば、手数料無料のサービスとして一時期話題をさらったSPIKE(スパイク)は、2016年4月から100万円まで決済手数料無料の条件を、10万円に引き下げ。いわば大幅な改悪となったが、これは日本のEC決済代行市場の勢力図を表している。
SPIKEは20万アカウントを突破しているが、簡単にアカウントが作れるため、実際の稼働率や利用金額は、主要な決済代行に比べると少なく、手数料収益のベースとなる大手企業の獲得でも苦戦していると思われる。そんな中、2016年4月に、EC決済代行事業、リアル店舗決済事業、家賃決済事業、電子マネー事業を行うペイデザインの買収を発表しており、今後は巻き返しが期待される。
さらに、海外では簡易に決済機能をウェブサイトに組み込める「Stripe(ストライプ)」などのコード決済(開発者向け決済サービス)が注目されているが、国内で提供される「Yahoo!ウォレット FastPay」、「WebPay」、「VeriTrans Air」などのサービスは苦戦を強いられている状況だ。
実際、ある企業の担当者は、「日本の場合は、ECサイト構築サービスやカート経由の申し込みが確立されているため、ごく一部の開発者しか利用しないコード決済サービスのニーズは少ない」とコメントしている。
【次ページ】ID決済サービスは、アマゾンが拡大を牽引
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