0
いいね!でマイページに保存して見返すことができます。
ラーニングコモンズ(コワーキング)スペースの連載、第一弾の事例が2013年にオープンしたShakeHandsである。広島市の県庁からも徒歩5分の繁華街で、取材時は広島カープの25年ぶりの優勝への期待が高まるにぎやかな街中に、このコワーキングスペースがある。この事業の代表者市川氏は広島に強い郷土愛を持ちながら、地域振興に役立つようなビジネス拠点としてコワーキングスペースShakeHandsを立ち上げた。連携する仲間を増やしながら期待と正念場の3年目を迎えたところでの話を聞いた。
ShakeHandsはどのようなコワーキングスペースなのか
広島市は人口117万人あまりの大都市である。バス、ブランチ(支店)、橋、いわゆる3Bが多いという特徴に加えて、被爆地としての側面もある。広島県の人口が漸減傾向にあっても、広島市が増えているのは、外国からの訪問客が多く、歴史的に見るべき建造物、世界遺産があるからに他ならない。
その広島市の中心地、県庁にほど近いところに、一大繁華街「紙屋町」がある。そのさらに中心にあるのが、今回ご紹介するコワーキングスペース「ShakeHands」だ。広島バスセンターから徒歩4分、広島電鉄紙屋町東駅から徒歩3分、アストラムライン本通駅から徒歩3分の所にあり、この好立地で総面積128平米の空間をコワーキングスペースとして提供している。
ShakeHandsは、レンタルオフィスやシェアオフィスのように、机や電源を貸すだけの場所ではない。「ここに集う人々が個別に仕事だけを行うだけでなく、ともに情報交換やコミュニケーションをとりながら、新しい価値を創り出す」というコンセプトを掲げて2013年にスタートした。代表者は市川育夢氏、3CO社が運営企業である。
ShakeHandsはどういう思いから生まれたのか
代表の市川氏は、大学卒業後に食品関連の商社に就職した。その当時から、地域振興に興味を持ち、イベントなどに積極的に参加していたが、その多くは単発のイベントであって、「横に広がりを持てていない」と感じていたようだ。そのため、イベントの内容には共感はできるものの、実際に地域振興に役に立っているのか、そして自分は参加しているだけでいいのかという葛藤が徐々に強くなっていったそうだ。また、ただ聞くだけのセミナーではなく、同じ意識の人たちとつながり、集まって話し合いたい。そんな思いが後押しして、それならばということで、一念発起、脱サラしてShakeHandsを立ち上げた。
3年目を迎えるShakeHandsだが、「まず事業を立ち上げるとしても、開業する場所探し、そしてその資金確保が最初の関門でした。不動産屋、そして金融機関にお願いをしにいきましたが、当時はまだコワーキングスペースという存在に理解が薄い状況でした。喫茶店でもない、レンタルオフィスでもない、図書館でもない、しかも周囲に同様の事業がありませんでしたので、場所を借りるにも、そして金融機関にも説明するのに苦労しました」(市川氏)と当時を振り返る。
最終的には、広島という地元愛、つまり地域を盛り上げたいという強い思いがこの困難な事業の立ち上げを結実させた。
【次ページ】やっぱり「アナログな関係=人」が重要
関連タグ