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- 2016/10/07 掲載
ハウステンボス 澤田社長「将来の三ツ星・四ツ星ホテルは『ロボットホテル』になる」
ロボットはビジネスをどう変える?(3)
ロボットの導入で30人弱の従業員が1年で9人に
──「変なホテル」(詳細は前編を参照)については、この1年でかなりの成果があったとお聞きしています。詳しく教えていただけますか?澤田氏:大きな成果がありました。1年前は30人弱の従業員がいたのですが、16人、12人と減り、この6月には10人まで減りました。今月から9人体制になります。さらに半年後(2017年3月)には、6人まで減らします。この6人は朝昼晩のシフト勤務と、休みを含めての人数ですから、実質的には1人か2人で済んでしまいます。
ただし掃除については、いまもロボットで全部できていません。ロボットで9割ぐらい掃除をやらせ、残り1割は人間が補う必要があります。ゼロになりませんが、それでも5人強の人手が1人で済むようになります。現在、導入中の清掃ロボットも9割以上カバーします。少しだけ人間がチェックしてあげれば、これで99%になります。
──たぶんロボットを導入していく中で、やり残しがある部分はありますよね。
──「変なホテル」では、ベッドメイクや水回りなどの掃除も、ロボットでやらせようとお聞きしたのですが?
澤田氏:トイレや風呂場など、水回りをロボットで掃除できるように開発を進めています。これも端から端まで100%ピカピカにすることはできませんが、まあ9割ぐらいロボットでやって、あとは人がサーっと拭き掃除をすればよいだけのことです。それで10分の時間が1分に短縮できればOKです。
──これらのロボットも、先ごろ立ち上げたロボット会社「ハピロボカンパニー」で開発しているのですね。
澤田氏:そうです。建設費を除いて、最もコストがかかるのが人件費と光熱費です。中でもフロントと掃除にお金がかかっていました。これらをロボットに変え、さらに生産性を上げました。芝刈りロボットも導入しましたが、バッテリがなくなったら、自分で充電器に戻ってくれて、健気ですよね(笑)。寒かろうが、暑かろうが、よく働いてくれて、本当にかわいい奴ですよ。窓拭きロボットも一生懸命に掃除をしています。開業時は6種類82台だったロボットが、16種類182台まで増えました。
電子台帳や音声入力、指紋認証を駆使! 顔認証も実験中
──「変なホテル」は1年が経ち、いろいろなことが見えてきたと思います。何か変わった点はありますか?澤田氏:最初はフロントで日本語しか喋らなかったロボットを、日英韓中4か国語に対応させ、人員削減のためにチェックイン方法も変えました。宿泊カードを電子台帳にしたり、音声入力システムを導入したのです。パスポートでの認証も、いまシステムを構築中で、年内にできると思います。
顔認証はフロント登録ではなく、部屋の前での登録と開錠方式にしました。またスマホから自分の顔を登録し、フロントでロボットがお客様を認識するシステムの実験もスタートします。ただし顔認証は、光の具合によって、たまに誤認識することがあります。そこで、どういう認証方式が良いのかを確認する実験を行います。私の感覚では指紋認証のほうが誤認識しないため、よいような気がします。指紋でもドアは開きますし、顔認証にこだわる必要はありません。すでにHTBでは会員向けに指紋認証で決済ができるようになっています。
──そうなると指紋認証で、ホテルのチェックインから部屋の出入り、決済までを一元的に管理できてしまうわけですね。
【次ページ】 100棟を目標に「変なホテル」を世界展開、「秘境」目指しエネルギー分野へも投資
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