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2016年12月12日

連載:「デジタル革新」実践企業のノウハウ

野中常務に聞く、リコーの「ビジュアルコミュニケーション」挑戦とそれを支えるDNA

いま世間で騒がれている「デジタルトランスフォーメーション」というキーワードは、デジタル技術を用いた顧客価値の創造に他ならない。まず自社の技術の差別軸を用いて、競争力のある商品をつくることが大前提だ。しかし単にそれだけでは成功しないことも事実だ。「特にソリューション事業では、顧客の“お困りごと”を聞き出し、商品の価値を高めていくことが重要だ」と語るのは、リコー 常務執行役員 ビジネスソリューションズ事業本部 副事業本部長の野中 秀嗣氏だ。同社は、得意な画像・プリンティング領域のみならず、最近ではビジュアルコミュニケーション領域にも進出している。新たな価値創造を目指すリコーの新展開について、経営コンサルタントの野間 彰氏が切り込んだ。

(聞き手:アクト・コンサルティング 取締役 経営コンサルタント 野間 彰)

後編はこちら

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リコー
常務執行役員 ビジネスソリューションズ事業本部 副事業本部長
野中 秀嗣氏


リコーの新規ビジネスと事業領域の拡大を支えた新人時代

野間氏:まずは野中様のご経歴から教えてください。

野中氏:今回の話に大きく関係するのですが、私がリコーに入って初めて担当したのがファクシミリ(FAX)でした。ファクシミリの黎明期に入社し、これから情報システムが必要な時代になると思いましたので、自ら手をあげて担当になりました。まず東南アジア市場を担当したのですが、何もないところからのスタートでしたので、代理店づくりから始めました。

 当時、リコーのファクシミリの海外展開はOEMブランドでしたが、自社ブランドの展開も考えていた時期でした。そのため、私は営業やマーケティングの基本を勉強するために、国内に一旦戻って営業をやりました。2年後に、今度は米国でリコーブランドのファクシミリ事業の立ち上げを担当し、そこで直販・ダイレクトサービス体制づくりを経験しました。

野間氏:すべてがゼロからの立ち上げですよね。それはすごい財産になりましたね。

野中氏:そうですね。当時のファクシミリは1台400万円ほどで、冷蔵庫のように大きな機械でした。また、まだファクシミリについてあまり知られていない時代であり、当時私は入社1年目の新入社員にもかかわらず、大手企業の部長クラスのところに行くわけです。そこでファクシミリとは何か? という話から始めました。その後、ファクシミリは年々進化し、小型化され、価格もこなれてきました。

 そんな経験を経て、1992年にはオランダにあった欧州の統括会社に赴任したのですが、そのときのミッションが欧州において複写機の「デジタル化」を推進すること。日本ではデジタル複写機「imagio」が大ヒットしていましたが、当時欧州ではまだアナログ全盛だったのです。その後、欧州で直売体制を持つ世界的な老舗企業の買収に成功し、商品・販売の両チャネルが手に入ったこともあり、デジタル事業は軌道にのりました。

 欧州で事業を拡大したのち、2000年に米国に向かいました。その頃には複写機もデジタル化・ネットワーク化されていたため、単なる複写機のモノ売りではなく、ネットワークプリンタ・スキャナー・ファクシミリの機能も併せ持つデジタル複合機としてソリューション販売も進めることになりました。当時から、リコーのデジタル複合機はオープンプラットフォームで、さまざまなアプリを展開できたのです。現地のお客様の要望にすぐに対応できるように、一部の開発部隊を現地に移管して、パートナーと協業してローカルな開発体制を築きました。

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(クリックで拡大)

リコーのビジネスの変遷と新事業への取り組み。アナログからデジタルへ、ITサービスへの拡大、さらにビジュアルコミニュケーションへの展開も


 リコーのデジタル複合機がネットワークにつながると、お客様から「サーバやパソコンなども一緒に面倒をみて欲しい」というご要望をいただくようになり、ITサービスも展開しました。次は「全社のプリント環境を任せたい。うちの会社にとって最適なプリンティング環境を提供して欲しい」という話になり、いまでいう「MPS」(Managed Print Services)体制を欧米でつくりました。MPSとは、お客様に最適なプリント環境の設計・構築から運用・保守、そして更なる改善のための分析までをワンストップでご提供するものです。1枚印刷すればいくら、という契約形態が多いですね。お客様は煩雑な複合機の管理業務から開放され、本来の業務に集中していただけます。その仕組み・ノウハウをアジアパシフィックに逆展開したのです。

野間氏:するとMPSは、欧米のほうで先に展開していたのですか?

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アクト・コンサルティング
取締役 経営コンサルタント
野間 彰氏


野中氏:ええ、そうです。面白いことに欧州が1番進んでいましたね。1995年頃からMPSをやっていましたよ。そのノウハウを全世界に展開するために、米国でプロジェクトを組み、ディストリビューターも買収しました。その頃、MPSの考え方が最も浸透していない国が日本だったのです。逆に米国は合理性があり、そこでMPSの展開が図れたことは良かったと思っています。

野間氏:事業の立ち上げという、一番辛くて大変な仕事ですが、面白い仕事をずっと続けてこられたわけですね。

【次ページ】 リコーが考える「デジタルトランスフォーメーション」と、その背景にあるDNA

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