• 会員限定
  • 2017/02/20 掲載

コーセーのマーケティングは、ITではなく「徹底した消費者目線」を重視する

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
記事をお気に入りリストに登録することができます。
あらゆる企業でマーケティングが課題となっているが、化粧品メーカーのコーセーも例外ではない。同社 執行役員 宣伝部長 北川一也氏は、「マインドシェア」を最大化するマーケティング戦略を展開しているという。また、化粧品市場でNo.1のポータルサイト「@cosme(アットコスメ)」を運営するアイスタイル 取締役 兼 CCO 山田メユミ氏は、@cosmeを分析することで、化粧品業界の最新動向が見えてくると語る。SNSの浸透で大きく変化する、化粧品業界の生活者コミュニケーション最前線とは。

執筆:フリーランスライター 吉田育代

執筆:フリーランスライター 吉田育代

企業情報システムや学生プログラミングコンテストなど、主にIT分野で活動を行っているライター。著書に「日本オラクル伝」(ソフトバンクパブリッシング)、「バックヤードの戦士たち―ソニーe調達プロジェクト激動の一一〇〇日 」(ソフトバンクパブリッシング)、「まるごと図解 最新ASPがわかる」(技術評論社)、「データベース 新たな選択肢―リレーショナルがすべてじゃない」(共著、英治出版)がある。全国高等専門学校プログラミングコンテスト審査員。趣味は語学。英語と韓国語に加えて、今はカンボジア語を学習中。

photo
化粧品業界のマーケティングはどんな方向に進んでいるのか
(画像:©tamapanda(たまぱんだ) – Fotolia)



コーセーが重点を置く「マインドシェアの最大化」とは

画像
コーセー
執行役員
宣伝部長
北川一也氏
 近年、宣伝・マーケティング活動といえば、マーケティング・オートメーションやビッグデータなどITを活用した効率重視の傾向が出現しているが、コーセーではそれらにとらわれることなく、徹底して消費者目線に立つことを基本方針としている。

 消費財のコモディティ化が進んだ、と北川氏は語る。メーカーやブランド間の商品の違いを感じづらくなっている。しかし、家電や日用品などに比べれば、化粧品の商品の差が小さいと受け止められる割合が低い。相対的にブランドがモノをいう化粧品分野においては、商品のブランド価値を高めることが重要だと同氏は訴える。

 ここで同社がめざしているのは「マインドシェア」の最大化だ。デジタル大辞泉を引くと、以下のように解説されている。

特定のブランドまたは企業が、消費者の心の中でどの程度好ましい地位を得ているかを比率の形で示したもの。一位挙名率や純粋想起率などの知名度シェア、購入意向率やイメージ得点シェアなどが用いられる。

 たとえば、代表的な消費財にはビールがあり、生活者の多くは頭の中に特定のブランドを思い浮かべる。これはマス広告で大量露出すれば達成できるとこれまでは考えられてきた。しかし、化粧品にはこの手法は適用できないと同氏は語る。生活者によって得たい満足が異なるため、高い投資対効果が得られないのだ。また、最近の生活者はスマートフォンなどで商品の評判をチェックする習慣がついており、マス広告だけで化粧品を購入しなくなっているという。

企業の「存在理念」とマーケティング戦略は一致しているか?

 ここで改めて北川氏はコーセーの存在理念を紹介した。それは「英知と感性を融合し、独自の美しい価値と文化を創造する」である。

 化粧品開発において最も重要なのは「安心・安全」だが、付加価値として、英知(intelligence)と感性(sensuousness)のバランスを取りながら訴求することが求められるという。

 左脳的要素として効能、効果、機能などがあり、右脳的要素として感性、官能などがある。どちらに偏いても商品の成功はおぼつかず、それは宣伝・マーケティング活動においても例外ではない。

 この理念を受けて、コーセー宣伝部はどのような活動を展開しているか。2010年から同部門で陣頭指揮を執る北川氏が掲げているのは、「売り上げを作れる宣伝部」である。

 同社では宣伝活動全体の設計・立案からメディアの選定と発注、広告・販促物の制作、店舗設計・施工などすべてのプロセスを社内で実施。約60名の部員で担っている。ワンストップで宣伝・マーケティングを行える体制を生かして、たとえば広告と店舗などできるだけ連動した活動を努めているという。

【次ページ】コーセーとWebプロモーション

関連タグ

関連コンテンツ

オンライン

アップデートに振り回されない 今やるべきSEO

今回は、累計約2,000社とのSEO取り組み実績のあるSpeeeが、アルゴリズムアップデートに強くなるためのSEOというテーマでセミナーを開催します。 24年3月に約4ヶ月ぶりとなるコアアルゴリズムアップデートが実施されました。 また同時に new spam policies の発表を行い、スパムアップデートも実施しています。 複数のシステムを調整しており通常のコアアップデートより複雑で、完了まで1ヶ月(通常は1?2週間)におよぶことが想定される、と公表されています。 アルゴリズムアップデートは、様々な業界やコンテンツの広範囲に影響を与えておりますが、Googleは上記以外にも大小様々なアップデートを実施しております。 Googleがアップデートを行う背景には、「より良い検索体験を提供する」という使命を実現する、というのがございます。 その使命の実現のため、時代の潮流を踏まえた新たな概念を取り入れたり、またAIなどの最新技術を用いたりしながら、日々バージョンアップを図っております。 今回のセミナーではまず、直近実施されたアルゴリズムアップデートを中心に、Googleが近年実施したアップデートの変化の傾向、及びGoogle自身やその関係者の発信内容を読み解きます。 それらを踏まえて、Googleがどのようなサイトを評価するのか、自社サイトでどのような方針のもとSEOを進めていくべきなのかを解説します。 ご参加いただいた方には、特典としてSEOヘルスチェックシートをご用意していますので、ぜひご参加ください。

あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます