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  • 2017/11/10 掲載

ビットコインは滅びるのか? 早大 野口教授らがブロックチェーンの未来を大胆予想

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ビットコインやICOなど、デジタル通貨に注がれる視線がアツい。投資対象としてはもちろん、新たな資金調達の仕組みとしても注目されている。しかし、利用者のすそ野が広がってきて、さまざまな課題や技術上のほころびも目立ち始めている。今後デジタル通貨はどのように進化するのか。一橋大学名誉教授 早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問 野口悠紀雄氏、Kraken マネージング・ディレクター・ジャパン 宮口 礼子氏、BitFury Group アジア 取締役会長 ジョージ・キクヴァッズ氏、そしてモデレーターを務めた楽天 テクノロジープラットフォーム統括部 ブロックチェーン事業開発室長 岡本健氏というデジタル通貨のエキスパートたちが、その将来像を展望する。

フリーライター 井上 猛雄

フリーライター 井上 猛雄

1962年東京生まれ。東京電機大学工学部卒業。産業用ロボットメーカーの研究所にて、サーボモーターやセンサーなどの研究開発に4年ほど携わる。その後、アスキー入社。週刊アスキー編集部、副編集長などを経て、2002年にフリーランスライターとして独立。おもにロボット、ネットワーク、エンタープライズ分野を中心として、Webや雑誌で記事を執筆。主な著書に『キカイはどこまで人の代わりができるか?』など。

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「Rakuten FINTECH CONFERENCE 2017」の模様。テーマは「ブロックチェーンの進化とDigital通貨」。

何が違う? ビットコイン、電子マネー、銀行発行の仮想通貨

 一言で「仮想通貨」といっても、その種類はさまざまだ。

 野口氏は、代表的な電子的な支払手段として、「電子マネー」「ビットコイン」「銀行が発行する仮想通貨」の3種類を挙げ、それぞれの相違点を以下のように説明する。
「電子マネー」「ビットコイン」「銀行が発行する仮想通貨」の相違点
・電子マネーと銀行が発行する仮想通貨には(企業や国家といった)管理主体が存在するが、ビットコインにはない。

・ビットコインと銀行が発行する仮想通貨は流通で再利用できるが、電子マネーは1回しか使用できない。

・電子マネーと銀行が発行する仮想通貨は価格が固定されているが、ビットコインは価格が変動する。
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「電子マネー」「ビットコイン」「銀行が発行する仮想通貨」の相違点。最も重要な違いは管理主体の有無だ。

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一橋大学名誉教授
早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問
野口悠紀雄氏
 野口氏は、「これらの中で最も重要な違いは、管理主体の有無だ」と強調する。

 管理主体がないビットコインは、インターネット上など、パブリックなP2P(Peer to Peer)で運営され、誰でも参加できる。それにも関わらず、信頼が最も必要とされる「通貨」として取引されている点がブレークスルーなのだ。

「銀行が発行する仮想通貨もP2Pで運営されるが、これに加入する仮想通貨(の運用)には、自由に参入できない。管理主体である銀行が採用する技術は『プライベート・ブロックチェーン』と呼ばれる。これに対してビットコインは『パブリック・ブロックチェーン』だ。同じ仮想通貨でも、両者は根本的に異なる。この点が重要なポイントだろう」(野口氏)

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楽天
テクノロジープラットフォーム統括部 ブロックチェーン事業開発室長
岡本健氏
 モデレーターを務めた楽天の岡本健氏は、ビットコイン周辺の動向として「いまビットコインの分岐が起きているが、本当に大丈夫なのか? という声も聞かれる。ただし結果的に分裂が起きても、非中央集権的な組織において、民主的な一定の合意が成立したことは意味があるかもしれない」とし、各パネリストに意見を求めた。

 ビットコインに次ぐ時価総額を有する仮想通貨「イーサリアム」(Ethereum)を中心に、17種類の仮想通貨取引を行うKrakenの宮口礼子氏は、取引所の立場から意見を述べた。

 同氏は米国でMBAを修得したのち、ビットコインのマイクロファイナンスにおける可能性に興味を持ち、2013年にPayward(現Kraken)に参加した人物だ。

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Kraken
マネージング・ディレクター・ジャパン
宮口礼子氏
「我々は多種多様な仮想通貨を扱っているが、どの仮想通貨に価値があるかは、パブリックが決めることだと思っている。ユーザーに対して不要な不安を抱かせないよう、民主的に決まったことを(取引所として)ニュートラルな立場で淡々と伝えるスタンスだ。それは今でも変わっていない」(宮口氏)

 「EXONUM」と呼ばれる、世界有数のブロックチェーン・プラットフォームを提供するBitFury Groupで、取締役副会長を務めるジョージ・キクヴァッズ氏は、「ビットコインの世界には独占的なグループは存在しない。エコシステムのなかで、常に色々な議論と評価が行われているのが特徴だ。パワフルで(価値の暴落があっても)回復力が強く勢いもある」と語った。

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BitFury Group アジア 取締役会長 ジョージ・キクヴァッズ氏
 ただし、キクヴァッズ氏は「ハードフォークには、注意が必要だ」との見解を示す。

 ハードフォークとは、仮想通貨のルールを変更する際に新ルールを適用することで、以前の互換性が失われることを指す。現在問題となっている「分岐」も「ハードフォーク」の1つだ。

「システムは安全でなければならない。そのため、我々はスマートにスケールアップしたいと考えている。つまり『ゆっくりと急ぐこと』が重要だ。ビットコインの世界では、柔軟に意見を述べて投票できることが、強力なエコシステムの要素になっている」(キクヴァッズ氏)

 これを受けて岡本氏も「民主的に物事が決まっていくことに、ビットコインとブロックチェーンの価値がある」との見解を示した。

【次ページ】むやみな規制がICOをだめにする

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