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2017年11月18日

現金お断りのロイホと現金のみのサイゼ、どっちがスゴいか? 実際に行って比較した

11月6日、ロイヤルホストを運営するロイヤルHDが「現金お断り」の新型店をオープンした。人手不足に対応し、レジ締めを無くして業務を効率化するためにキャッシュレスに特化したという。一方で、同じくファミレスのサイゼリヤは、頑ななまでに現金精算を貫く。両者の精算スタイルの違いは戦略の違いでもある。ロイホとサイゼ、どちらに勝機があるのだろうか。実際に両店へ行き、それぞれのオペレーションを探ったところ、面白い違いが見えてきた。

執筆:フリーライター 渡邉 幸子

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ロイヤルホスト実験店の「GATHARING TABLE PANTRY 馬喰町」。タブレットで注文が行える



ロイヤルホスト、馬喰町の「現金お断り」実験店は繁盛

 実際にオープン3日後の11月9日にロイヤルホストの新型実験店の「GATHARING TABLE PANTRY 馬喰町」に訪問してみた。店舗名こそ異なるものの、ロイヤルHDは「検証した成果をロイヤルグループ内へ反映していく予定」としており、成果が出れば既存店にも展開される見込みだ。

 さて、いざ行ってみると、この現金お断りの店がソーシャルで話題になったことで、取材班や来店客が多かった。馬喰町という土地柄、サラリーマン客がほとんどだ。15時のオープンに訪れると、44席の座席のうち6割は席が埋まっていた。入店後も次々と新規客が来店する。店はむき出しコンクリート製のテーブル。客層はサラリーマンで話し声は聞こえるものの、静かな店内だ。その店内を店員がテキパキと動き回っている。

 さて、今回比較の対象とするサイゼリヤは、ご存知のようにイタリアンがメインの低価格ファミレスだ。筆者もよく利用するが、どこの店も常に繁盛している。ただし値段が安いということから、若めの客層で騒々しい。今回訪れた千葉市の検見川浜店では、話そうにも相手の声が聞こえないほど。ドリンクバーとソファ席があるため、かなり長居をする客もいる。こちらも店員はテキパキと動き回っている。

キッチンの数に大きな開き

 人員配置を比較して見てみよう。実験店舗の馬喰町店はホールが3人、キッチンが3人いた。これは通常よりキッチンが1人多いとのこと。現金精算を廃止したことで、ピーク時7人で店を動かすところが、5人で済むという。人件費が抑えられ、さらにはレジ締めの店長業務がなくなることで、接客に労力を割くことができるようになる。

 ホールの3人はオープン3日にも関わらずテキパキしており、かなり慣れた様子だ。店構えは奥にあるキッチンからすべての客席が見渡せるようになっており、死角がないため効率よく水のサーブや配膳などを行うことができる。

 馬喰町店は、現金精算を廃したがゆえに、接客に力を入れているという。実際に入店時には「当店はキャッシュレスチャレンジの店で現金は使えないのですがよろしいですか?」という案内がなされ、着席してからもかなり丁寧にタブレットオーダーの操作方法を教えてくれる。

 その後も、配膳などを効率よく行ってくれ、バランスよく店員が動いている。タブレットには「CALL(店員)」のボタンがあり、呼ぶこともできるが、それほど店内は広くないため、直接声をかけることも可能だ。

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GATHERING TABLE PANTRYの仕組み


 一方、今回訪れたサイゼリヤは、広々とした店舗なだけあって、店員は4人以上いる。店員のコールはテーブルに備え付けのボタンで行う。コールボタンを押さなければやってくることはない。そして混雑している時間帯だと、オーダーと配膳だけでホールスタッフはかなり忙しそうだ。そのため水もセルフサービスで、接客というものはほぼないに等しい。

 しかし、サイゼリヤには大きな特徴がある。それは店舗から見えないところで、実はキッチンスタッフが1名ですべての調理工程をさばいているのだ。1日に6万円分の調理を処理するという。温めるだけ、盛り付けするだけのセントラルキッチン方式とはいえ、1人でできるオペレーションというのはかなり考え込まれているといっても良いだろう。

馬喰町店はキャッシュレスのため接客重視

 そして、肝心の精算だ。馬喰町店は事前に確認された通り、タブレットの「会計」をタップすると、楽天Payのリーダーおよび精算用のiPhoneを持って店員がやってくる。そこでクレジットカードなら差し込んで、電子マネーならかざして読み取りだ。精算は一瞬だった。そしてカードの領収書とオーダーの領収書を2枚、持ってきてくれた。

 これはオペレーションとしてどうなのか。確かにキャッシュレスで、その分、「おもてなし」に力を注ぐことができる。しかし入店時のキャッシュレスの説明、タブレット操作の案内、サーブと配膳、キャッシュレス会計、そして領収書を取りに戻るなど、かなりスタッフは慌ただしく動かねばならない。

 実際、馬喰町店では7割が埋まっているだけで、スタッフが息つく暇なく動き回っており、それなりの負荷がかかっているようだった。これはかなりホールスタッフを選ぶ業務内容だと感じられる。かなり慣れた様子のスタッフだったが、それでも楽天Payカードリーダーの電波が悪いということで、少し精算がもたついていた。毎回この説明をしなければならないのも店員にとっては小さなストレスだろう。

 ロイヤルHDは「キャッシュレスにすることで負担を軽減し、そのぶんおもてなしに注力する」と発表していたが、接客はやや過剰気味かもしれない。しかし会計はテーブルで行うことができ、レジがない上にレジ列もないとすれば、客としてはかなり楽なことは事実だ。

【次ページ】サイゼリヤのレジは何がスゴいのか?

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