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- 2017/12/21 掲載
ROEとは何か? 計算式や注意点、ROAとの違いなど、基礎を解説
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今さら聞けないROEの基礎知識
ROEが示すものは何か? 企業の評価、株式の銘柄選択という点で欠かせないROEの基本を説明する。●ROEとは
ROEとは「Return on Equity」の略で、「R」は利益、「E」は株主資本を表し、日本語では「株主資本利益率」と訳される。企業の利益には営業利益、経常利益、当期純利益(最終利益)などの段階があるが、ROEでは当期純利益を使う。一方の株主資本は「自己資本」とも呼ばれ、主に株主から集めた資金と利益の蓄積で構成される企業の総資本の一部である。
その計算式は以下の通りだ。
株主資本は借入金などの他人資本と違って返済する必要がない。したがってROEは、企業が独自の資本でどれだけ利益を上げているかという、経営や資本の効率性を示す指標になる。ROEが高い企業ほど株主資本が有効活用されていると言え、それだけ株主の満足度が高まると考えられている。
●ROEで分かること
たとえば、総資産100億円で、1億円の当期純利益を上げているA社とB社があるとする。
A社の株主資本が10億円、B社が50億円とした場合、ROEはA社が10%、B社は2%となり、A社のほうが株主資本を有効活用していることになる。
ただし、単純にROEが高いほうが良いというわけではなく、業種の違いなどさまざまな条件によってROEの高低にはバラつきが生じる。この点については後述する。
ROEが注目される背景
●外国人投資家が重視
旧来、日本の投資家はPER(株価収益率:株価÷1株当たり利益)、PBR(株価純資産倍率:株価÷1株当たり株主資本)、配当利回り(年間配当÷株価)を投資判断の材料にするのが一般的だった。
一方、外国人投資家は、自分が出した資金で企業がどれだけ利益を上げるか、すなわちROEを重視する。高成長企業が配当を行うと、「その分を事業に投資してもっと利益を上げるように」と注文をつけることもあるほどだ。日本市場でROEが投資指標として重視されるようになったのは、海外からの投資が増えたことが一因と考えられる。
●株主重視の姿勢が強まる
外国人投資家の取引高は東証一部全体の6割以上を占めており(2017年11月現在)、株価の動きを大きく左右するようになっている。売買だけでなく保有比率も約3割と、金融機関を抜いて最大の株主だ。そのため市場は外国人投資家の目を強く意識するようになっている。上場企業も同様で、簡単に言うと、外国人投資家の目を意識し、株主重視の姿勢を強めるようになったというわけだ。
一方、安倍政権の肝いりで経済産業省が実施したプロジェクトの最終報告書もこの傾向を強める方向に働いた。2014年に公表された、通称「伊藤レポート」は、「持続的成長への競争力とインセンティブ ~企業と投資家の望ましい関係構築~」と題し、企業と投資家がともに持続的な企業価値の向上を目指すことや、ROEの向上を中長期的に目指して資本コストを上回る価値を創造することなどを提言している。
特に注目されるのは、「8%を上回るROEを最低ライン」と、政府・官公庁の報告書としては珍しく具体的な数値目標を掲げている点だ。このレポートにより、ROEの存在感は大きく高まった。
ROEの注意点
ROEは経営や投資の指標として重視されるようになったが、この尺度を評価する際は、主に次の3点について注意が必要だ。
【次ページ】 ROEで押さえたい3つの注意点や、ROAとの違いなどを解説
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