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  • 2018/02/11

BPRとは何か? 基礎からわかる進め方の基本と事例 (2/2)

国内企業の3つのBPR事例

 BPR導入企業は多数あるが、ここでいくつかの導入事例を紹介する。

・シックスシグマによるBPR事例

 製造業を営むA社はバブル崩壊後、ボトムアップの改善だけによる組織全体の生産性向上だけでは事業継続が困難だと判断し、BPRによる間接業務の抜本的な生産性向上を図った。

 それに伴い、経営改革推進本部を新設し、自社用に開発したシックスシグマを導入。この際シックスシグマを手法とした理由は、トップダウンで改革を進められるためだ。シックスシグマを社員に教育し、その基本であるDMAIC(Define,Measure,Analyze,Improve,Control)というフレームワークを利用して各プロセスにおけるムダを徹底して排除した。

 また、モチベーション向上のため、経営者が現場を何度も訪問し、同時に表彰制度も導入した。改革をプロセス・イノベーションとバリュー・イノベーションに分けて定義し、それについてのベストプラクティスの研修なども実施。これにより、企業は年間数千億円のコスト削減効果を得たほか、社内コミュニケーションが向上したという事例になる。

・シェアードサービスによるBPR事例

 市場環境の変化によって、中核事業の売り上げが急激に悪化したB社は、事業構造の変革が必要だと認識しBPRを実施。社員能力転換による組織力強化と、グループ全体の間接業務の効率化を目指した。

 まず、人事・総務などの間接業務を提供するシェアードサービス専門の子会社を設立。これにより、グループ全体の統治による組織横断的な業務標準化を可能とした。これにより、グループ全体で間接コストの大幅削減に成功している。

・SCM(サプライチェーン・マネジメント)による導入事例

 仕入れから販売までの各プロセスを一つのつながり(チェーン)としてとらえて最適化を図る経営手法、サプライチェーンマネジメント(SCM)によってBPRを実現した事例もある。

 業績好調時こそ大規模な改革を要すると判断したC社は、成長・収益の双方のバランスを重視しつつ、「国際的な拠点の再編成を含む大規模な事業プロセスの改革」と「IT 技術を駆使した個別の業務プロセスの改革」の2軸を掲げて抜本的な改革を進めた。

 主要部門である制御機器部門では、国際的な拠点の再編成に100億円を投資。1000人規模の移動を、1人もリストラせずに実現。また、対話、教育、研修を充実。中国拠点では、グローバル拠点であるという認識を徹底し、モチベーション向上を図った。また、その前段階では、グローバルで統一的な品番体系の整備も行っている。

 その結果、製造固定費数十億円の圧縮を達成し、改革への投資を3年で回収した。

 その他、より実践的な事例については以下を参考にしていただきたい。

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BPR成功の要因と失敗の要因

 では最後に、紹介した事例のようにBPRを成功に導く要因は何か、あるいは失敗に終わる要因は何かまとめる。

 まず成功要因だが、全体でBPRを推進するために、BPRの必要性、目的などを事前に共有することが重要である。また、社員の積極的な協力を誘発するため、モチベーション向上を図るなど、ボトムアップアプローチも必要だ。

 加えてBPRを推進する過程で、インフラ整備と呼ばれるような業務改革に沿う新ルールの策定、データベースの見直しなどの基盤整備を行う必要もある。全社的な目的の共有化、そして浸透化させることがポイントといえるだろう。

 なお日本能率研究所の調査によれば、プロジェクトで実現成功したポイントは上から順に3つ、「プロジェクトの目的やゴールの明確化、関係者への継続した周知」「トップの強いリーダーシップの発揮」「事業戦略との関連付け」となっている(図5)。

画像
図5:BPRプロジェクトの成功ポイントとして実現できているもの(n=89)
(出典:株式会社日本能率協会コンサルティング「『BPR(業務の抜本的改革)』に関する実態調査報告書」


 では一方で、BPR導入における失敗要因とは何か。

 一つは、BPR推進における目的およびゴールが理解できていないこと。現状を変えようと「とりあえず」で始めても、期待した成果は得られず、ムダな混乱を社内にもたらす。

 また、全社的な視点のみでBPRを進めることも失敗の原因となりうる。ERP導入にしてもSCMにしても、現場がその重要性を理解できず、また実際に現場に即していないものであればやはり混乱や「改革疲れ」が起こるだろう。

 日本能率協会の調査を見ると、反省点の上位には「企画案は作成できるが、実施が難しく成果に結びつかなかった」「プロジェクト責任者やトップの方針が定まらず、プロジェクト方向性・範囲が右往左往した」「部門単位の小粒な改善にとどまってしまった」と並ぶ(図6)。

画像
図6:BPRプロジェクトの反省点(n=89)
(出典:株式会社日本能率協会コンサルティング「『BPR(業務の抜本的改革)』に関する実態調査報告書」


 以上の成功要因・失敗要因を押さえた上で、企業にプラスの効果をもたらすBPRを意識して進めることが重要だ。BPRは全社的な取り組みになるので危機的環境下でしかなかなか成功しないのも事実だ。経営陣がどれだけ危機意識をもって主導的に進められるかが大きなカギを握ることになる。ERPパッケージに限らず、さまざまなITツールを駆使しながら取り組んでいただきたい。

〔参考文献〕
『リエンジニアリング革命―企業を根本から変える業務革新』、マイケル ハマー (著),‎ ジェイムズ チャンピー (著),‎ 野中 郁次郎 (翻訳)、日経
『民間企業等における効率化方針等(業務改革(BPR))の国の行政組織への導入に関する調査研究』三菱UFJリサーチ&コンサルティング
『「BPR(業務の抜本的改革)」に関する実態調査報告書』、日本能率協会コンサルティング

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