開閉ボタン
ユーザーメニュー
ユーザーメニューコンテンツ
ログイン

  • 会員限定
  • 2018/08/23

米国で「電動キックボード」が大流行、しかし次々に破壊される

米国は公共交通の課題を抱えている。たとえばロサンゼルスでは公共交通が全体をカバーしきれていない。これを埋めるために「最寄駅から自宅まで」のラストマイル移動を提供する動きがある。ウーバーなどのライドサービスもその一つだが、このところ急速に広がりを見せるのが電動キックボード(electric scooter)の存在だ。ところが今、電動キックボードへの反発が広がり、ビジネス存続の危機に陥っているという。

米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住のジャーナリスト。同志社大学卒、ボストン大学コミュニケーション学科修士課程修了。テレビ番組制作を経て1990年代からさまざまな雑誌に寄稿。得意分野は自動車関連だが、米国の社会、経済、政治、文化、スポーツ芸能など幅広くカバー。フランス在住経験があり、欧州の社会、生活にも明るい。カーマニアで、大型バイクの免許も保有。愛車は1973年モデルのBMW2002。

photo
米国では電動キックボードがラストマイルソリューションとして注目されているが、ビジネスとしての課題は多い
(出典:Lime)

「乗り捨てOK」な電動スクーターの登場

関連記事
 Bird、Limeの2社は、電動キックボードの貸し出しサービスとして注目を集めている。

 国の交通協会によると2017年末の時点で全米に存在する電動キックボードの数は10万台に達した。

 自転車などのシェアサービスと電動キックボードは、「返却場所の有無」が異なる。自転車の場合は所定の駐輪場に返却するケースがほとんどだが、電動キックボード貸し出しサービスのうち44%が「ドックレス」、つまり返却場所がない。小型の電動キックボード故にGPSとスマホアプリで場所を特定するだけで、利用後は道端に乗り捨てても構わないとするサービスが多いのだ。

 電動スクーターそのものは今後も需要が増えると予測されている。グランド・ビュー・リサーチによると、電動キックボード市場は2015年には148億ドル規模だったが、2024年には380億ドル規模に成長する見込みだ。電動であることで自転車よりも疲労しない、エコフレンドリーであり、手軽に利用できることなどが成長要因と見なされている。

photo
製品種別電動キックボード市場、2014年-2024年(100万米ドル単位)
(図版:グランド・ビュー・リサーチによるデータをもとに作成)


電動キックボード業界第1位のLime

 業界1位であるLimeは2017年の設立直後から注目を集め、今年7月、ウーバーやアルファベットから3億3500万ドルの投資を受けたことを発表。特にウーバーは社内に電動キックボードや自転車を扱うセクションを新たに設けるなど、サービスにラストマイル・ソリューションの一環としてのエコバイクを提供することに熱心だ。

画像
BirdとLimeのライド数(Limeのライド数は電動自転車や通常の自転車のライド数を含む)
(図版:Crunchbase News掲載のデータをもとに作成)

 Limeではすでに「600万回のライド達成」を公表している。ただしLimeは電動キックボードに特化した会社ではなく、電動自転車や通常の自転車貸し出しも同時に行なっている。

Limeを猛追するBird

 そのLimeを猛追するのが数ヶ月遅れて発進したBirdだ。シリコンバレーの投資家からの協力もあり、今年だけですでに2回の資金調達に成功、3月に1億ドル、7月には3億ドルを調達し、現在の企業の時価評価額は20億ドルに達した。

 Birdは現在全米30都市でサービスを展開、フランス・パリでもサービスを開始し、欧州、中東、アジアなどへ進出する世界戦略を打ち出している。Birdは電動スクーターに特化しており、全米の都市への営業活動に熱心だ。



 電動スクーターは非常に安価な交通手段でもある。Birdでは1回の乗車ごとに1ドルの固定料金に加え、1分あたり15セントという料金設定となっている。Birdの場合はさらに「低所得者に対しては1ドルの固定料金を免除する」というサービスを打ち出しており、顧客獲得に向けてのキャンペーンを繰り広げている。

【次ページ】電動スクーターの破壊行為が拡大、なぜ?

スタートアップ・ベンチャー ジャンルのトピックス

スタートアップ・ベンチャー ジャンルのIT導入支援情報

PR

ビジネス+IT 会員登録で、会員限定コンテンツやメルマガを購読可能、スペシャルセミナーにもご招待!