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- 2018/08/23 掲載
米国で「電動キックボード」が大流行、しかし次々に破壊される
「乗り捨てOK」な電動スクーターの登場
国の交通協会によると2017年末の時点で全米に存在する電動キックボードの数は10万台に達した。
自転車などのシェアサービスと電動キックボードは、「返却場所の有無」が異なる。自転車の場合は所定の駐輪場に返却するケースがほとんどだが、電動キックボード貸し出しサービスのうち44%が「ドックレス」、つまり返却場所がない。小型の電動キックボード故にGPSとスマホアプリで場所を特定するだけで、利用後は道端に乗り捨てても構わないとするサービスが多いのだ。
電動スクーターそのものは今後も需要が増えると予測されている。グランド・ビュー・リサーチによると、電動キックボード市場は2015年には148億ドル規模だったが、2024年には380億ドル規模に成長する見込みだ。電動であることで自転車よりも疲労しない、エコフレンドリーであり、手軽に利用できることなどが成長要因と見なされている。
電動キックボード業界第1位のLime
業界1位であるLimeは2017年の設立直後から注目を集め、今年7月、ウーバーやアルファベットから3億3500万ドルの投資を受けたことを発表。特にウーバーは社内に電動キックボードや自転車を扱うセクションを新たに設けるなど、サービスにラストマイル・ソリューションの一環としてのエコバイクを提供することに熱心だ。Limeではすでに「600万回のライド達成」を公表している。ただしLimeは電動キックボードに特化した会社ではなく、電動自転車や通常の自転車貸し出しも同時に行なっている。
Limeを猛追するBird
そのLimeを猛追するのが数ヶ月遅れて発進したBirdだ。シリコンバレーの投資家からの協力もあり、今年だけですでに2回の資金調達に成功、3月に1億ドル、7月には3億ドルを調達し、現在の企業の時価評価額は20億ドルに達した。Birdは現在全米30都市でサービスを展開、フランス・パリでもサービスを開始し、欧州、中東、アジアなどへ進出する世界戦略を打ち出している。Birdは電動スクーターに特化しており、全米の都市への営業活動に熱心だ。
電動スクーターは非常に安価な交通手段でもある。Birdでは1回の乗車ごとに1ドルの固定料金に加え、1分あたり15セントという料金設定となっている。Birdの場合はさらに「低所得者に対しては1ドルの固定料金を免除する」というサービスを打ち出しており、顧客獲得に向けてのキャンペーンを繰り広げている。
【次ページ】電動スクーターの破壊行為が拡大、なぜ?
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