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  • 2022/06/15 掲載

Inflection AIとはいかなる企業か?グーグル子会社・リンクトイン創業者が起業のワケ

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グーグル傘下のAI企業「ディープマインド」の共同創業者とビジネスSNS「リンクトイン」の共同創業者らが、新しいAI企業を設立した。同社が目指すのは、人間とコンピューターの会話を可能にするAIの5年以内の実現。この分野は、マイクロソフトなどの大手企業も多大な投資を行っており、数あるAI開発分野の中でも特に注目度が高まっている。新会社の登場を含め、この分野をめぐる最新動向を探ってみたい。

執筆:細谷 元

執筆:細谷 元

バークリー音大提携校で2年間ジャズ/音楽理論を学ぶ。その後、通訳・翻訳者を経て24歳で大学入学。学部では国際関係、修士では英大学院で経済・政治・哲学を専攻。国内コンサルティング会社、シンガポールの日系通信社を経てLivit参画。興味分野は、メディアテクノロジーの進化と社会変化。2014〜15年頃テックメディアの立ち上げにあたり、ドローンの可能性を模索。ドローンレース・ドバイ世界大会に選手として出場。現在、音楽制作ソフト、3Dソフト、ゲームエンジンを活用した「リアルタイム・プロダクション」の実験的取り組みでVRコンテンツを制作、英語圏の視聴者向けに配信。YouTubeではVR動画単体で再生150万回以上を達成。最近購入したSony a7s3を活用した映像制作も実施中。
http://livit.media/

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人とコンピューターの会話が「5年以内」で可能に?
(Photo/Getty Images)

AI開発の新会社「Inflection AI」設立

 2015~2016年にかけて囲碁の世界トップ棋士らを次々と破り一躍有名となった囲碁AI「AlphaGo」。このAIを開発したグーグル傘下の「ディープマインド」の共同創業者の1人が、新たなAI企業を設立したとして注目されている。

 ディープマインドの共同創業者は、現CEOのデミス・ハサビス氏、シェーン・レッグ氏、ムスタファ・スレイマン氏の3人。今回新AI企業を設立したのは、3人の中で最も若いスレイマン氏(37歳)だ。

 企業名は「Inflection AI」。人間とコンピューターの会話を可能にするAIの開発を目指す。現在、人間がコンピューターに対し特定の動きを命令するには、プログラミング言語の利用が必須となっているが、このAIでは自然な言語によってコンピューターを動かすことができるようになるという。スレイマン氏は、「5年以内にほぼ確実に可能になる技術だ」と主張している

 ディープマインドと同様に、Inflection AIもスレイマン氏含め共同創業者は3人。スレイマン氏に加え、ビジネスSNS「リンクトイン」の共同創業者で、ビリオネアとして広く知られるリード・ホフマン氏、元ディープマインドのAI研究者だったカレン・シモンヤン氏が共同創業者に名を連ねる

 最新の報道によると、スレイマン氏が新会社のCEO、シモンヤン氏がチーフサイエンティストを担うことが明らかになっている。

 一方、ホフマン氏は現在フルタイムで勤めるシリコンバレーの老舗ベンチャー・キャピタル「Greylock」での役職を継続するという。

 また、CNBCの報道によると、GreylockはすでにInflection AIへの投資を行っているほか、今後はマーケティング、ネットワーキング、雇用サポートなどの「インキュベーション」機能を提供することも計画しているとのことだ。

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AlphaGo企業創業者とリンクトイン創業者がタッグを組んだ
(Photo/Getty Images)

「Inflection AI」の具体的な事業計画とは?

 Inflection AIが開発を目指すAIに関して現在までに分かっているのは、人間と機械の会話を可能にするAIということ。どのような分野に応用されるのか、具体的な計画は明らかにされていない。

 しかしスレイマン氏の関心領域を探っていくと、どのような分野が対象となるのか推測することは不可能ではない。

 まず、スレイマン氏がディープマインド時代に深く携わっていたヘルスケアや気候変動分野が挙げられるだろう。

 同氏は2016年2月、英国王立医学協会にて、テクノロジーによってヘルスケアサービスの改善を目指す「DeepMind Health」の設立を発表。また、機械学習アルゴリズムを応用したがん治療の研究を進めるため、英国の大学・研究機関との共同の取り組みを拡大した実績を有している。

 さらに、過去には機械学習によりグーグルデータセンターの電力使用の最適化を目指すプロジェクトを率いた。結果、データセンターの冷却に使われる電力を40%削減、建物全体の電力効率を15%改善するなどの成果を生み出している。

 また、TechCrunchが2022年1月に公開したスレイマン氏への独占取材記事によると、同氏の関心対象がバーチャルリアリティー、ゲーム、メタバースにも拡大していることが示唆されている。これらの領域もInflection AIがターゲットとする市場になる可能性がある。

 この記事の中でスレイマン氏は、「近い将来AIがスクリプトやテキストによるレスポンスを生成するだけでなく、計画や予測能力を持つようになり、環境に応じて変化できる存在になるだろう」と指摘。今後はメタバースやゲームのアバター/キャラクターに生命を吹き込むような技術がAI開発の注目分野になるだろうと語っている。

【次ページ】大手マイクロソフトの動向は?

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