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  • 2018/10/18 掲載

ITリーダー必読、日本で「決定的にIT人材が不足する」5つの真実

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IT人材の不足がいわれて久しい。ビジネスのデジタルトランスフォーメーション(DX)が進む中、事態はさらに深刻になっている。この状況を打開するためにITリーダーが考えるべき選択肢と2018年に踏み出すべき一歩とは何なのか。それに対してガートナー リサーチのバイス プレジデント 兼 最上級アナリスト、足立 祐子氏は「バイモーダルなIT組織の構築と人材育成を軸に据えるべきだ」と説く。その理由とは。


日本の技術者が「オフショア化」している

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ガートナー リサーチのバイス プレジデント 兼 最上級アナリスト、足立 祐子氏
 デジタルビジネスに舵を切らなければならないにもかかわらず、多くの企業は「人材がいない」という問題に直面している。

 もともと日本のIT技術者の数はそれほど多いわけではないが、この課題は日本に限った話ではない。世界中が同じ課題を抱えている。世界レベルで人材の獲得競争が起きている中で、日本は特に劣勢に立たされているのだ。

 その結果として、日本の技術者のオフショア化が進んでいる。「オフショア化」というと、かつてのベトナムや中国などの技術者を使うことをイメージするかもしれない。

 「米国、イスラエル、ドイツなどに比べると、日本の技術者は技術力があって生産性が高い割に、単価が安い。そのため、デジタルにおけるオフショアのロケーションとして見ることができる」と足立氏はいう。

 つまり日本人技術者がもともと少ないにもかかわらず、日本にいる技術者に、日本企業の仕事をしてもらえない状況が生まれているのだ。

ITリーダーが押さえておくべき、IT人材に関する5つの真実

 この「人材がいない」という状況を正しく把握するために、足立氏は5つの項目を検証してみせた。

(1)「人材が枯渇している、もっと技術者を育てなければならない」

 日本では総務省が、2025年までに100万人のIT人材を新たに育成する方針を打ち出している。

 「ただし、人材は不足しているが、ただ育成すればよいかというと少し違う。現状としてIT人材が『偏在』していることが問題だ」と足立氏は指摘する。

 ガートナーの調査によると、ユーザー企業にいるIT技術者とIT企業にいるIT人材の数を比べた場合、圧倒的にIT企業のほうへ人材が偏っている。
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人材不足感の正体は「偏在」
 また、IT企業のIT人材を年齢層を見てみると、2006年には20代・30代が中心だったのが、2016年のデータでは40・50代の比率が上がっている。

 さらに地域で見ると、IT技術者は東京・千葉・神奈川などの首都圏に集中しており、その他の地方ではIT人材が採れなくなっているというのが現状だ。

 「総数はそこそこいるが、偏在しているためにうまく稼働していない人、能力を持っているのに発揮できていない人がいる。新たに増やしていくことも必要だが、この人たちをどう稼働させていくかも考えなければいけない」と足立氏は話す。

(2)「これからはデジタルの時代だ。既存IT人材は不要になる」

 ガートナーの展望では、2023年までの5年間、企業のレガシーシステムの90%が使い続けられると予想している。つまり、新しい人材の育成も必要だが、同時に既存のIT人材もしばらくは必要だということだ。

 「ただし、今から5年が過ぎた後からは、おそらくシステムが入れ替わっていく。そのため、ものすごい勢いでレガシーの技術者は必要なくなっていく。その時に入れ替わりをうまくやっていかないといけない」と足立氏は指摘する。

(3)「既存IT人材はデジタル化の意識が低い。新しい血を入れなければならない」

「IT企業の中堅以上の人は、デジタルに対して前向きではなく、本人たちにやる気がない」と思われていることが多い。

 ガートナーの調査では、一人ひとりにデジタルプロジェクトに関わりたいかどうかを聞くと、「関わりたい」という人は53%と半分程度しかいない。しかし、デジタルプロジェクト経験の有無で分けて集計してみると、1度でも経験が「ある」人の86%は「デジタルプロジェクトに関わりたい」と答えているのだ。

 「デジタルへの士気が低いと決めつけるのではなく、何か小さなものでもいいのでデジタルプロジェクトを経験する機会を設けてみてほしい。そこで、意識が変わる可能性がある」と足立氏は語る。

【次ページ】なぜバイモーダルITに取り組むべきか?
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