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  • 2018/12/19 掲載

仕事の質が劇的向上、トヨタの社員が行っている「紙1枚」仕事法

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「ビジネス書を読んだり、セミナーに参加したり、たくさん学んではいるものの、仕事に活かせている実感がない……」と感じたことがあるビジネスパーソンは、多いのではないだろうか。学びを仕事に活かせない理由の一つが、「学んだことをすぐ忘れてしまう」からだ。『すべての知識を「20字」でまとめる 紙1枚!独学法』の著者・浅田すぐる氏は、「紙1枚」書くだけで学んだことを忘れないフレームワーク、名付けて「1シート・ラーニング・システム」を提唱している。なぜ、「紙1枚」書くことが必要なのだろうか。また、それは一体どのようなものなのだろうか。浅田氏に語っていただいた。

「1枚」ワークス株式会社 代表取締役 浅田すぐる

「1枚」ワークス株式会社 代表取締役 浅田すぐる

愛知県名古屋市出身。トヨタ自動車(株)入社後、海外営業部門に従事。米国勤務などを経験したのち、 6年目で同社のグローバル企業ウェブサイト管理業務を担当。その後、(株)グロービスへの転職を経て、独立。現在はビジネスコミュニケーションをテーマにした企業研修・講演・コンサルティングなどを多数実 施。自社独自の教育プロ グラム“「伝わる」思考×「1枚」の型 1sheet Frame Works”という1 年間のスクールプログラムは、日本全国から受講者が集まる人気講座となっている。デビュー作『トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術』(サンマーク出版)は、2015年年間ランク4位、世界5カ国翻訳の ベストセラー・ロングセラーに。

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「紙1枚」書くだけで学んだことを忘れない学習法とは?
(©metamorworks - Fotolia)

なぜ、学んだ内容を忘れてしまうのか?

「いやー、この本は本当に面白い!」
「感激した! こんな知的興奮に満ちたセミナーは初めて!」
「この教材は、人生を変えるレベルの凄いコンテンツ!」

 仕事上、あるいは個人的な向学や趣味ということでもかまいません。あなたは、これまでの学習経験のなかで、こうした感想を抱いた書籍やセミナー、教材やコンテンツ等に出会ったことがあるでしょうか?もしあるのだとしたら、追加で質問をさせてください。

具体的には、どのような内容でしたか?
何を学んだのでしょうか?
どんなところに感動しましたか?

 私はこれまで、企業研修やワークショップ等を通じ、 8000名以上の社会人の方々にビジネススキル教育を行ってきました。著作の累計発行部数も35万部を超えていますので、日常的にさまざまな背景を持つビジネスパーソンと接する機会があります。


『すべての知識を「20字」でまとめる紙1枚!独学法』
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 したがって、先ほどの質問を数多くの方に投げかけてきたのですが、残念ながら、書籍名や人名、あるいはメソッドの名前は出てきても、それ以上の具体的な中身が答えとして返ってくるケースは、あまり多くありませんでした。

今となっては、何を学んだかほぼ忘れている

 あなたもこの1行に、少なからず心当たりがあるのではないでしょうか。 とはいえ、「多かれ少なかれみんな同じ状態なのだろう」と高を括り、これまであまり問題視はしてこなかったかもしれません。「一生懸命学んだが、今となってはほとんど忘れてしまいました」では、仕事に活かすスタートラインにすら立てていません。いったいなぜ、こんな不毛なことが起きてしまっているのでしょうか?

 私は1人の学習者として、また学びを提供する側の立場としても、長年この問いについて探求し続けてきました。その中で見出した理由は、次の3つです。

「学び」が「学び」になっていない

まず1つめは、時代的な文脈から導かれる原因です。できるだけシンプルに理解してほしいので、あえてヒトコトで言ってしまいますが、現在は、「学び」が「消費」になっている時代です。

 たとえば、特に21世紀に入って以降、テレビ番組のほとんどが、「何かしらためになる」という「学び要素」がないと、コンテンツとしてそもそも成立しない状態になってしまいました。「ただただ面白いだけ」のバラエティ番組は次々に淘汰され、「面白くてためになる」クイズ番組やニュース解説、情報番組ばかりになってしまった。

 また、インターネット上には、ありとあらゆるテーマについて学べてしまうテキストや動画が、情報洪水のごとく溢れかえっています。まるで水を飲むような気軽さ、ハードルの低さで学ぶことができてしまう。その結果、学びという行為自体が価値を落とし、随分とお手軽な「消費」行為になってしまいました。

 「3日前の晩御飯に何を食べたか?」と聞かれても、大半の人は答えられません。その時は「美味しい」と連発していた食事内容だったとしても、その行為が消費である限り、ほとんどのことはあっという間に記憶から消えてしまうのです。

 この質問文を、「3日前に何を学んだか?」にしてみましょう。あなたは、この問いに答えることができるでしょうか。その場で欲求を満たし、充足したら早々に「消えて」しまう。「消費」として学ぶことが日常化している時代においては、学んだ内容=いちいち覚えていない、忘れてしまうのが当然という価値観が主流となってしまうのは、致し方ないことなのかもしれません。

 その場限りの、受動的な欲求充足ではなく、明確な目的を設定し、その目的を達成するべく、能動的に学んでいく。「投資」型の学習を実現するためのカギは、目的の明確化です。

自分の言葉で咀嚼していないものは、使えない

 なぜ、私たちは、学んだことを忘れてしまうのか。2つめの原因は、比喩的にいえば、「咀嚼していないから」。言い換えると、「思考整理」しながら、学んでいないから。要するに、著者や講師の言っていることを、そのまま鵜呑みにしているだけ。 そんな学習スタイルだから、記憶に留めることができないのです。

 たとえば以前、ある読書好きの受講者の方に、「あなたの人生を変えた本は何です か?」と質問する機会がありました。かえってきた答えは、経営学の巨人・ドラッカーの名著の1つである『経営者の条件』(ダイヤモンド社)でした。そこで、具体的に何を学んだか聞いてみたのですが……。返答内容は、「仕事の本質が学べたんです」「とにかくよかったんです」「ぜひ読んでください」といった発言ばかり……。いっこうに具体化する気配がありませんでした。この方の読書は、「著者特有の言葉をただ頭に入れているだけ」という状態になってしまっていたのです。

 このように、能動的なインプットができないと、本のキーワードを噛み砕き、自分なりに再構築して話すことができなくなってしまいます。本やセミナー、ネット動画等で学んだキーワードをただ振りかざしているだけでは、仕事に活かすことにはなりません。それどころか、受動的に知識を詰め込んだだけの状態なので、しばらく時間が経てば忘れてしまいます。

 1つめの、「目的の明確化」同様、今回も端的にキーワード化しておきましょう。自分なりに咀嚼すること、すなわち、 「思考整理」しながら学ぶ

【次ページ】長すぎる物事は覚えていられない

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