- 2025/11/08 掲載
キーエンスが活用、売上不振のお悩みも最強「診断ツール」で原因が丸わかり
慶應義塾大学経済学部卒業後、2009年にキーエンスに新卒入社。マイクロスコープ事業部の営業を担当。2010年新人ランキング1位を獲得。その後、2012年下期から3期連続で事業部営業ランキング1位を獲得し、マネージャーに就任。その後、本社販売促進グループへ異動、営業戦略立案・販売促進業務を担当。2015年キーエンスを退職し、三菱UFJリサーチ&コンサルティングに転職。小売、医薬、建設業界の戦略策定、新規事業戦略策定に従事。2016年にキーエンスに戻り新規事業の立ち上げに携わる。2020年アスエネに参画。2025年、Exgrowthを創業。スタートアップのグロース支援に係るアドバイザリーを提供。著書『仕組み化がすべて』『数値化の魔力』『入社1年目の戦略』
前編はこちら(この記事は中編です)
問題の原因を特定するための“最強ツール”
チームの成果が出ないときこそ信頼を築くチャンスであり、そのためには原因を明確に説明できることが重要です。では、どうすれば原因を明確に特定できるのでしょうか。
答えは「KPI」にあります。
多くの人は、KPIを単なる行動管理ツールだと思っています。「今日は電話を50件かけた」「訪問を10件した」という記録を取るためのものだと考えがちです。たしかに、行動記録もKPIの重要な機能の1つです。
しかし、KPIの真の役割は別のところにあります。
KPIは、問題の原因を特定するための「診断ツール」の役割も果たします。
医者が患者を診察する場面を想像してください。患者が「体調が悪い」と言っても、それだけでは診断できません。そこで医者は、体温を測り、血圧を測り、血液を検査して、必要に応じてCTやMRIで画像を撮ります。これらの検査データによって初めて、病気の原因が特定できます。
ビジネスもまったく同じです。「売り上げが上がらない」「目標が達成できない」という症状だけでは、原因はわかりません。しかし、KPIという検査データがあれば、どこに問題があるのかが一目瞭然になるのです。
「数値化」することで問題の所在が明確になる
KGI(最終成果)が達成できないとき、多くの人は「なんとなくうまくいかなかった」「市場環境が悪かった」「運が悪かった」といった曖昧な分析で終わってしまいます。しかし、KPIがあれば、どこに問題があったのかが具体的に理解できます。なぜならば、KPIは成果に至るまでのプロセスの数値化だからです。
たとえば、料理を考えてみましょう。「美味しい料理ができなかった」という結果だけでは、何が悪かったのかわかりません。しかし、以下のようなプロセスを記録していれば、改善につなげられます。
- 材料の品質:鮮度保持率80%(やや古い)
- 下ごしらえ:15分(レシピでは30分推奨)
- 火加減:強火10分(レシピでは中火15分)
- 調味料:塩小さじ2(レシピでは小さじ1)
問題は明確です。材料がやや古く、下ごしらえが不十分で、火が強すぎて、塩が多すぎた。これらを改善すれば、次は美味しい料理ができるはずです。
KPIもまったく同じ役割を果たします。最終成果(美味しい料理)に至るまでのプロセス(材料選び、下ごしらえ、調理)を数値化することで、問題の所在を明確にします。 【次ページ】数字は語る──とある営業チームでの具体例
人材管理・育成・HRMのおすすめコンテンツ
人材管理・育成・HRMの関連コンテンツ
PR
PR
PR