- 2025/11/04 掲載
 
「できるだけ頑張ります」が口癖だった社員を「デキる人材」に変えたキーエンス流KPI
慶應義塾大学経済学部卒業後、2009年にキーエンスに新卒入社。マイクロスコープ事業部の営業を担当。2010年新人ランキング1位を獲得。その後、2012年下期から3期連続で事業部営業ランキング1位を獲得し、マネージャーに就任。その後、本社販売促進グループへ異動、営業戦略立案・販売促進業務を担当。2015年キーエンスを退職し、三菱UFJリサーチ&コンサルティングに転職。小売、医薬、建設業界の戦略策定、新規事業戦略策定に従事。2016年にキーエンスに戻り新規事業の立ち上げに携わる。2020年アスエネに参画。2025年、Exgrowthを創業。スタートアップのグロース支援に係るアドバイザリーを提供。著書『仕組み化がすべて』『数値化の魔力』『入社1年目の戦略』
単なる数値管理ではない、「KPI」が秘める可能性
多くの組織ではKPIは「面倒な数字の管理」程度にしか認識されていませんが、組織と個人の両方に革命的な変化をもたらす可能性を秘めています。単なる数値管理ではなく、仕事の質を根本から変える「思考のフレームワーク」なのです。
ここでは、私自身の経験を交え、KPIがもたらす5つの本質的なメリットをご紹介します。これらを理解すれば、なぜ世界中の優良企業がKPIにこだわるのか、そしてなぜあなたもKPIを活用すべきなのかが明確になるはずです。
メリット1:客観性
数字は嘘をつきません。「たくさん電話しました」ではなく「電話を156件かけました」という事実。これにより、感情論ではなく、事実に基づいた議論ができます。
私がコンサルタント時代に叩き込まれたのは、「ファクトベース」という考え方です。上司に言われた一言がとても印象的でした。
「君が私と対等に話すとすると何が重要だと思う? ファクトベースで話すしかないよ」この言葉は示唆に富んでいます。ファクトベースで話すしかないと聞くと、厳しく聞こえるかもしれませんが、ファクトベースで話せば、上司とも対等に話せるのです。
メリット2:比較可能性
数字になっていれば、さまざまな比較が可能になります:
- 自分の先月との比較
 - チーム内での比較
 - 他チームとの比較
 - 業界平均との比較
 
これにより、自分の立ち位置が明確になり、改善の方向性が見えてきます。
メリット3:早期の問題発見
月末になって「目標未達でした」では手遅れです。しかし、KPIを daily(日次)や weekly(週次)で追っていれば、早期に問題を発見できます。
たとえば、月の第1週で架電数が目標の70%しかなければ、すぐに対策を打てます。第2週から巻き返せば、月間目標は達成可能です。
メリット4:成功パターンの発見
データが蓄積されると、成功パターンが見えてきます:
- 「火曜日の午前中はコンタクト率が高い」
 - 「1回の電話を3分以内に終えると、架電数が増えて結果的に成約も増える」
 - 「面談の前日にリマインドメールを送ると、キャンセル率が5%下がる」
 
これらの発見は、感覚ではなくデータに基づいているため、再現性があります。
メリット5:公平な評価
KPIに基づく評価は公平です。「あの人は上司に気に入られているから評価が高い」といった不満が生まれにくくなります。数字は誰に対しても平等だからです。 【次ページ】職場トラブルの根源「期待値ギャップ」を解消
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