• 2025/11/01 掲載

先輩社員から頼まれた「嫌な仕事」に堂々とNO…デキる社員が守る“鉄の掟”3選

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先輩から頼まれた嫌な仕事を堂々と断れる人と、断れない人の違いは何だろうか。経営戦略論の名著、マイケル・ポーター氏『競争の戦略』から導き出した、売り手優位の条件を職場に応用して浮き彫りになった、仕事を断るために必要な3つの“鉄の掟”とは何か。『仕事ができる人がキリの悪い時間にやっていること』を上梓した上梓した元PwCコンサルティング、Shikumu 代表取締役の本山裕輔氏が、身につけるべき能力を詳しく解説する。
執筆:Shikumu 代表取締役 本山 裕輔

Shikumu 代表取締役 本山 裕輔

1992年生まれ。佐賀県出身。福岡県在住。慶應義塾大学商学部卒。グロービス経営大学院MBA修了。2016年に新卒でPwCコンサルティングに入社し、大企業の業務改革や営業・マーケティング強化の支援、システム導入のプロジェクトマネジメントなどに従事。2019年にグロービスへ入社。業務改革やデータマネジメントをはじめとしたDXを主導。現在は論理思考のコンテンツ開発および講師を担っている。また、Shikumuの代表取締役として、幅広いクライアントに対して、マーケティング、データ活用、業務効率化に関するコンサルティングを行っている。マイペースに働くための仕事術やオススメ本を発信するXやnoteが人気を博す。著書に『投資としての読書』(フォレスト出版)がある。

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仕事を断るために必要な能力とは? 詳しく解説する
(Photo/Shutterstock.com)

仕事を「頼まれる側」が有利になれる条件とは?

 目の前に嫌な仕事があるとき、なぜ名著『エッセンシャル思考』(かんき出版)の著者であるグレッグ・マキューン氏は堂々と断ることができるのに、私にはそれができないのか。

 言い換えれば、「仕事を頼む側よりも、頼まれる側が有利になれる条件」とは一体何なのか。

 この疑問の答えを探すため、さまざまな書籍を読み漁った結果、マイケル・ポーター氏の名著『競争の戦略』(ダイヤモンド社)に辿り着きました。

 『競争の戦略』は企業戦略について書かれた本ですが、その中に「ファイブフォース分析」という興味深い分析手法が紹介されています。これは、自分の会社が属する業界が他の関係者からどのような影響を受けるのかを分析する手法です。

 分析の対象となる5つの力は以下の通り。

  1. 業界内の競争
  2. 売り手からの圧力
  3. 買い手からの圧力
  4. 新規参入業者からの圧力
  5. 代替品の圧力

 これら5つの力が大きいほど自社の利益は圧迫され、逆に小さいほど利益を確保しやすくなります。

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「ファイブフォース分析」の対象となる5つの力
(Photo/Shutterstock.com)

 私が特に注目したのは「売り手の力が強くなる条件」でした。ここに、「仕事を頼む側よりも頼まれる側のほうが強くなるには、どのような条件が必要なのか」の答えがあると思ったのです。これは「業界への売り手が強くなる条件は何か?」という問いに置き換えることができるでしょう。

 『競争の戦略』によると、売り手の脅威が強まる要因は次の6つです。私なりの解釈を加えて説明します。

最初は割り切って「来るもの拒まず」のスタンスで

  1. 売り手が集約化していること(代替となる売り手が見つかりにくい)
    • 売り手の数が少ないほど、価格や取引条件を売り手側で決めやすくなります。

  2. 売り手にとって他の取引相手が存在すること
    • 「私に依頼したい人は他にもたくさんいるので、わざわざあなたと取引する必要はありません」と強気に出ることができます。

  3. 代替品が存在しないか、差別化されていること
    • 「私の代わりとなる人材がなかなか見つからない」という状況であれば、有利に交渉を進められるでしょう。

  4. 売り手を変えるスイッチングコストが高いこと
    • 代わりの人に依頼するのに相応のコストと時間がかかる状況では、現在の売り手の交渉力が増します。

  5. 業界の製品品質にとって重要な仕入れ品であること
    • その人が作業しなければ後続の作業がまったく進まないほど重要な仕事を担っている場合、強気に出やすくなります。

  6. 売り手が川下統合に乗り出す姿勢を示すこと
    • 「偉そうに仕事を依頼してきているが、あなたの仕事をこちらで引き受けることもできますよ」と言えれば、脅威として機能するのです。

 たとえば、あなたがExcelを使った高度な分析スキルを持っていたとしましょう。この分析スキルを持つ人は周りにはおらず、あなたの分析のおかげで職場は好調な業績をキープできているとします。

 この条件が揃っているときに先輩社員から嫌な仕事を頼まれ、「申し訳ありませんが、その仕事はお引き受けできません。どうしてもやれとおっしゃるなら、転職を検討します」と主張したとします。

 おそらく仕事を頼んだ先輩社員は「生意気な」とイラッとするかもしれません。しかし、あなたに辞められると職場に必要不可欠な分析スキルを持つ人間がいなくなり、大いに困ることになります。だからこそ先輩社員も強気に出るわけにはいかず、あなたの言い分を受け入れる確率が高くなるのです。

 一方で、あなたが高度なスキルを持たない「代わりの利く人材」だったとします。この状態で嫌な仕事に対して「嫌です、辞めますよ」と脅したところで、相手にとっては痛くも痒くもありません。代わりの人材はいくらでもいるわけですから。

 何のスキルも持ち合わせていない新人時代が、まさにこの後者の条件に当てはまるでしょう。

 したがって、「嫌なら断る」を貫きたければ、最初のうちは修業期間と割り切って「どんな仕事でもお引き受けします。私を鍛えてください」というスタンスでいなければなりません。

 来るもの拒まずの姿勢で仕事をこなし、経験とスキルの幅を着実に広げていく。そうすることで少しずつ「代わりの利かない人材」となり、嫌な仕事も断れるようになります。

 話がかなり膨らみましたが、私の新卒時代の「金融機関のSalesforce開発プロジェクト」におけるプログラミングの仕事は、正直なところ非常に嫌でした。しかし、3カ月間我慢してやり遂げることにしたのです。

 その後の展開は以下の通りでした。 【次ページ】「嫌な仕事を断る力」とは、結局のところ……
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