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  • 2019/09/10

神田昌典氏は「令和時代のマーケターの仕事」をどう規定する?

少子高齢化に伴う労働人口の減少、自然災害対策、長引くデフレ──令和に突入した日本は、世界でも屈指の「課題先進国」だ。こうした時代の舵取りにマーケターの力が必要だと力説するのが、マーケティングの第一人者で経営コンサルタントの神田昌典氏である。令和時代のマーケターの仕事は、単に「商品を売る」ことから、どのように変化するのか。神田氏が語った言葉とは?

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アルマ・クリエイション代表取締役兼作家の神田昌典氏

30年ぶりの教育大変革が日本に与えるインパクト

 ビジネスのデジタル化が進み、データが重要性を増す中、マーケティングが扱う領域はますます広くなり、必要とされるスキルも変化している。神田氏は、CMO(Chief Marketing Officer)に求められる資質について、以下の一文を紹介した。

急激な少子高齢化が進む中で成熟社会を迎えた我が国にあっては、1人ひとりが持続可能な社会の担い手として、その多様性を原動力とし、質的な豊かさを伴った個人と社会の成長につながる新たな価値を生み出していくことが期待される。また、情報化やグローバル化が進展する社会においては、多様な事象が複雑さを増し、変化の先行きを見通すことが一層難しくなってきている。このような時代にあって、CMOはさまざまな変化に積極的に向き合い、他者と協働して課題を解決していくことや、さまざまな情報を見極め、知識の概念的な理解を実現し、情報を再構成するなどして新たな価値につなげていくこと、複雑な状況変化の中で目的を再構築することができるようにすることが求められている。

 この一文は、「高等学校学習指導要領」(平成30年告示)を参考にしたものだ。原文の主語である「高校生」の箇所を「CMO」に置き換えた。神田氏は、「皆さんの会社で、ここに書かれた教育を受けた高校生が入社してきたらどうなると思いますか?」と会場に語りかける。

 高校の学習カリキュラムに「探究学習」が本格的に導入される。神田氏は「センター試験が廃止され、これまでのように知識を問う教育から、主体性、多様性、協働性、思考力、判断力、表現力が総合的に問われるようになる」と話す。何を目的に、どんな研究をし、どんな価値を社会に提供するのかを自発的に考えられる人材が、これから社会に輩出されるのだ。

 一方、彼らを迎える社会はどうか。政府は閉塞感を打破するために、国際競争力を高める以下のよう取り組みを後押ししている。

・硬直的な労働慣行の転換
・徹底的なデジタル・トランスフォーメーション
・新規事業創出を後押し
・中長期的な投資や企業の成長を後押し
・イノベーションの担い手として新たなプレーヤーの創出

 
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新たな成長モデルを生み出すための政策の方向性は示されたが……

 では、こうした取り組みを「実のある」ものにしていくにはどうすれば良いのか。その突破口はどこにあるのか。神田氏は「新紙幣の肖像画に予定された渋沢栄一、津田梅子、北里柴三郎が現代に存命していたら、彼らがどんな事業に取り組み、日本の突破口を見出していくか考えてください」と会場に促した。

渋沢栄一が現代に生きていたら…

 新一万円札の「顔」となる渋沢栄一は、日本近代資本主義の父といわれ、480以上の企業の創設にかかわった。そして、そのうちの約300社が今も続いている。いわゆる「道徳経済合一説」を唱え、利潤の追求だけでなく、道徳が必要だと訴えた人物だ。

 神田氏は「今風に言えば、渋沢はシリアルアントレプレナー(連続起業家)だ」と指摘する。平成の顔であった福沢諭吉が、探究学習を軸とする日本の教育の礎を再興した人物だとするなら、渋沢によってその成果が花開くのだ。

「これから社会に出る学生たちは、内的な動機に基づくテーマを見つけ、課題を分析、仮説を検証し実践によって解決策を提示していきます。そんなプロジェクトをけん引することが彼らにとっての学びであり、そうした学びの変革が、日本にも徐々に起きているのです。渋沢が現代に生きていたら、探究学習を突破口とした成長事業の創出に取り組むでしょう」(神田氏)

 「突破口とした成長事業の創出」とは、探究学習によるプロジェクトを立案できる学生を対象にビジネスコンテストやアイデアソンを実施したり、地方へのインバウンド誘致などの社会課題解決するアイデアを募集したりといったことだ。

 たとえば、データに基づく現状分析や解決策の提示、今後のアクションプランといったビジネスアイデアを審査するのは、事業承継者がいない課題を持つ、地域の中堅、中小企業の経営者である。

 選ばれたビジネスアイデアは、彼らの出資のもとプロトタイプ化され、さらにクラウドファンディングなどを用い資金調達を行う。少額出資者が経営支援者(サポーター)となり、相乗効果を持ってビジネスをローンチ、スケールさせていくのだ。神田氏は「地域の少額出資者がサポーターになれば、タンス預金が循環する機運が高まっていく効果も期待できる」と述べる。

 
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地方創生のビジネスアイデアの突破口を探究学習に求める

【次ページ】大阪万博は成長の「突破口」となるか?

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