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  • 2019/07/26

宅配アプリの「Rappi(ラッピ)」はどんな企業? ソフトバンクが10億ドル投資した中南米企業の正体

ソフトバンクグループ(以下、ソフトバンク)は2019年3月、経済成長が続くラテンアメリカ市場に特化した50億ドル規模のファンド「ソフトバンク・イノベーション・ファンド」を設立した。その最初の投資先として選ばれたのが、2015年にコロンビアで創業された宅配アプリ「Rappi(ラッピ)」だ。投資金額は10億ドル(約1,080億円)。人口密度が高く交通インフラの整っていない中南米の大都市では、宅配サービスが輸送問題の解決策になり得る。ソフトバンクは、中南米の宅配アプリでも成功を収めることができるだろうか。

佐藤 隆之

佐藤 隆之

Mint Labs製品開発部長。1981年栃木県生まれ。2006年東京大学大学院工学系研究科修了。日本アイ・ビー・エムにてITコンサルタント及びソフトウェア開発者として勤務した後、ESADE Business SchoolにてMBA(経営学修士)を取得。現在は、スペイン・バルセロナにある医療系ベンチャー企業の経営管理・製品開発を行うと共に、IT・経営・社会貢献にまたがる課題に係るコンサルティング活動を実施。Twitterアカウントは@takayukisato624。ビジネスモデルや海外での働き方に関するブログ「CTO for good」http://ctoforgood.com/を運営。

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ソフトバンク・イノベーション・ファンド“投資第1号”のRappi(ラッピ)とはどんな企業か?
(Photo/Getty Images)

ラテンアメリカ市場で10億ドルを調達したRappiとは?

 ユニコーン企業はラテンアメリカ市場からも現れるようになってきた。2019年4月に10億ドルもの資金調達を行ったのは、宅配アプリを運営するRappiだ。その評価額が25億ドルとも言われる同社は、評価額が10億ドルを超える、いわゆるユニコーン企業になったコロンビアで2番目の企業となった。

 この大型資金調達をリードしたのがソフトバンク・イノベーション・ファンドだ。同ファンドは2019年3月にラテンアメリカ市場に特化したファンドとして設立された。同ファンドの規模は50億ドルで、2018年のラテンアメリカ市場への投資額19億8,300万ドルを大きく上回る。

 ラテンアメリカでは中流階級が急激に増加し、可処分所得が増えていると言われる。スマートフォンが普及し、モバイル・インターネットやEコマースが発展する一方で、「銀行口座を持たない人が多い」「交通インフラが整っていない」といった課題が指摘されている。解決すべき社会問題と新しく生まれるリソースが共存するラテンアメリカは、新規事業を立ち上げるのに適した環境にあるのだろう。

 中南米に特化したソフトバンク・イノベーション・ファンドが、前述の宅配アプリ「Rappi」を、その最初の投資先として選んだ。東京などの都市圏を中心に利用が増える「Uber Eats」と同様、アプリで注文すると、レストランの料理を自宅まで配送してくれるサービスだ。自転車やバイクを持った配達員がデリバリーを担当し、すきま時間で収入を得られる機会が得られる仕組みになっている。

現金まで宅配するラテンアメリカのお国柄事情

 Rappiの特徴は、レストランの料理以外にも、あらゆるものが注文できる点にある。スーパーにある食料品からドラッグストアの薬品、電気製品も対象となる。犬の散歩といったサービスも注文できるため、生活に必要な、かなりの活動が網羅されている。驚くべきことに、ATMに行かずとも現金を宅配してくれる「RappiCash」というサービスも導入されている。

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Rappiのビジネス概要

 多くの宅配アプリでは登録したクレジットカードからの支払いが主流であるが、Rappiの場合、銀行口座を持たないユーザーに配慮し、現金払いも認められる。また、「RappiPay」というサービスでは、QRコードを使ったモバイル決済や、送金といった機能が提供されている。

 Rappiのビジネスモデルはアプリを使用するユーザー、配達員、そして、商品を提供するレストランや小売店の3者から構成される。主な収益はユーザーから徴収する手数料であるが、小売店側からも共同プロモーションを通じて収益化している。ソニーと協業してゲーム用品を販売したり、コカコーラと飲料品を販売したりといった例が挙げられる。

 興味深く戦略的な提携に、フランスの製薬会社Sanofiとのパートナーシップがある。ラテンアメリカ市場において、薬局で処方箋を必要とせずに市販されるOTC(Over The Counter)薬品のデリバリーを進めるものだ。将来的には、処方薬販売や、医師の往診依頼といったメディカル・サービスへの進出が期待される。Rappiでファストフードばかり注文している人は健康リスクが高いというように、注文履歴から製薬会社の販促に使えるデータが取得できるのも強みだ。

【次ページ】社会インフラの未整備が宅配ビジネスに追い風に

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