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  • 2017/10/27 掲載

味の素も取り組む国連発「SDGs」、ゴール2とゴール12のポイントと事例を解説

誰でもわかるSDGs解説

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2015年9月、国連で採択された『持続可能な開発のための2030アジェンダ(以下、2030アジェンダ)』に記載された行動目標「SDGs」(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)。SDGs解説の第2回目は、17あるゴールのうち、「ゴール2(飢餓)」「ゴール12(持続可能な生産と消費)」を取り上げます。途上国における飢餓問題や、大量消費社会における生産と消費の関係は、企業としても、消費者としても今日から“自分ごと”として行動できる問題です。2つの目標が持つ意味や日本の状況、各目標に関連する味の素と日本フードエコロジーセンターの取り組みを紹介します。
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SDGsの「ゴール2(飢餓)」と「ゴール12(持続可能な生産と消費)」
(出典:国連広報センター)



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飢餓の原因は武力紛争の拡大と気候変動

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 飢餓は、先進国と開発途上国の格差の象徴として、何十年にわたって世界が取り組んできた問題です。水とともに人間活動の根幹である食料や栄養が得られない状況は、人々の尊厳を失わせ、略奪や搾取を生み出します。

 飽食とも言われる日本では、あまりピンとこない問題であるのも事実。しかし、国連食糧農業機関(FAO)による『世界の食料安全保障と栄養の現状 2017』によれば、世界の飢餓人口は一転して増加しており、世界人口の11%、約8億人に達しています。

 SDG2(ゴール2)の開発目標は、「飢餓を終わらせ、食料安全保障および栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」ことにあります。注目すべきは、飢餓や栄養状態の改善に加えて、持続可能な農業がセットで掲げられていることです。

 飢餓の解消は、先進国による人道支援はもちろんですが、自国や地域における食料生産力や供給力を強化していくことが不可欠。そのため、ゴール2のターゲット(SDGsの各ゴールの下には、ゴールを達成するための「ターゲット」が複数設定されている)には「生産資源への平等なアクセス」「生産者の所得向上」「レジリエントな(柔軟で、回復力のある)農業システムの確立」などがあります。これらは、世界資本による途上国での生産活動にも当てはまるため「現地の遺伝資源や伝統的知識で生じた利益に対する公平な配分」も明記されています。

 では、なぜ21世紀に入っても飢餓人口が増えているのでしょうか。

 先述の国連報告書は、武力紛争の拡大と気候変動による影響を要因に挙げています。直近でも2017年9月、紛争が激化するアフリカ・南スーダンなど4カ国での世界同時多発飢饉の発生を、国連世界食糧計画(WFP)が警告したばかりです。世界の飢餓人口約8億のうち、紛争の影響下で暮らす人々は約4億9千万人。この数字だけを見ても、飢餓はその国や地域だけの問題ではなく、紛争の政治的解決など国際社会の協調が不可欠なことがわかります。

 また、栄養改善の分野では、戦後の栄養不良を乗り越えてきた日本の経験や知恵による貢献が期待されています。2016年9月には、官民連携による栄養改善事業の国際展開のための「栄養改善事業推進プラットフォーム(NJPPP)」が発足、民間主導によるSDGsに対応した栄養改善ビジネスモデルの共同開発が期待されています。

味の素のSDGs事例:サプリでガーナの栄養改善

 では、ゴール2における企業の取り組みを見てみましょう。

 2009年、味の素グループ創業100周年記念事業として『ガーナ栄養改善プロジェクト』が始まりました(事業は2017年4月より公益財団法人味の素ファンデーションに移管)。

 味の素は「おいしく食べて健康づくり」という創業理念のもと、1909年にうま味調味料「味の素」を開発、現在は130カ国・地域で事業展開するほか、うまみ成分の元であるアミノ酸の研究・開発における世界的企業です。この独自技術を途上国の栄養改善に役立てるために開発されたのが『KOKO Plus(ココプラス)』です。

 アフリカ・ガーナ共和国では、1歳未満の乳児の死亡率は1000人あたり51人と高く、乳幼児や幼児期に成長に必要な栄養が不十分な場合、免疫機能や知能の発達に影響が出ることが懸念されていました。

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ガーナにおける離乳食KOKOと
「KOKO Plus」

 「koko(ココ)」は発酵とうもろこしの白い粥のこと。ガーナでは、生後6カ月の乳児に与える貴重な栄養源ですが、炭水化物以外の栄養素が不足しがちです。そこで、味の素は、この伝統食に加えるだけで、簡単に栄養バランスを改善・強化するサプリメントを開発、ガーナの現地大学や保健省、国際協力機構(JICA)などの協力を得て事業化に成功しました。

 味の素が自ら現地の食品会社にて生産の技術指導を行う一方、すべての取り組みを自社で担うのではなく、プラン・ジャパン(製品の栄養効果の調査)やケア・インターナショナル(現地での販売モデルの構築)といった個々の特技を生かした国際NGOとの協働体制を敷き、これが成功の鍵になりました。



 とりわけ、販売モデルの構築では、現地の女性スタッフを教育・雇用することで、所得機会の創出や女性の自立支援にもつながっているとのこと。味の素にCSR部門が立ち上がったのが2005年、そのわずか10年後の2015年には、日経ソーシャルイニシアチブ大賞を受賞するまでの取り組みに発展し、途上国などへの国際的な事業活動であるBOPビジネスのお手本ともいえる事例になりました。

【次ページ】元世界銀行チーフエコノミストが説いた「持続可能な生産消費形態」
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