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  • 2019/11/20

売上4兆円の企業も…「オフプライスストア」とは何か? アウトレットとの違いは?

さまざまなビジネスモデルが登場することで、多くの変貌を遂げてきた小売業。効率化や差別化が図られているが、同業界にとって宿命ともいえる課題がいまだに存在する。消費されない過度の在庫である「余剰在庫」だ。その廃棄については「SDGs」(持続可能な開発目標)の観点から社会問題にもなっている。そこで、余剰在庫の解決策として期待され、米国では売上4兆円を超す企業が登場するなど、注目を集める小売業の新業態「オフプライスストア」(OPS)について解説する。

ゴードン・ブラザーズ・ジャパン 堀内秀晃

ゴードン・ブラザーズ・ジャパン 堀内秀晃

1987年京都大学経済学部卒業後、住友銀行入行。1991年より2005年まで同行ニューヨークにて勤務。与信審査、シンジケーションを担当、部門長として、事業再生、問題債権処理ならびにDIPファイナンス等の再生ファイナンスを手掛ける。2005年に帰国後はプライベート・エクイティ・ファンドの投資を担当。2007年より2015年までGEキャピタルにて、ABLを用いた事業再生ファイナンスを担当、米国型ABLを日本に導入する。2015年より現職。動産の評価、融資、換価案件のソーシングを担当、マーケティングの責任者。

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米国では売上4兆円、1.6兆円といった企業が登場している「オフプライスストア」とは?
(Photo/Getty Images)

オフプライスストアとは何か?

 ここのところ日本でも急速に注目を集めている「オフプライスストア」。ごく簡単に説明すると、複数ブランドにまたがって新品の商品を定価より安く販売する店舗、またはビジネスモデルのことだ。ブランドの余剰在庫を安価に仕入れ、高い値引率で販売する。

 オフプライスストア発祥の地である米国では長い歴史を持つ業態だが、日本では流通の特殊さもあり、これまでほとんど例がなかった。ところが、2019年から出店が相次ぎ、日本の小売業界に新たな旋風を巻き起こしている。

オフプライスストアの背景にある永遠の課題「余剰在庫」

 ではなぜ、オフプライスストアが注目されるのか。その背景には、前回取り上げた「変遷の激しい小売業界」においてなお変わらず存在している永遠の課題、「余剰在庫」の存在がある。

 小売業にとって在庫は、毒にもなれば薬にもなる。仕入れた在庫に適正な利潤を上乗せして販売することができれば、在庫は当該小売業者にとって利益の源泉になる。しかし売れ残ってしまうと、これの保管料がかさみ、もし値引き販売を余儀なくされると、利益を圧迫したり、場合によっては損失の原因となったりする可能性もある。

 また、「春夏物のアパレル在庫を販売した代金で、秋冬物の在庫を仕入れる」という資金繰りに余裕のない小売業者の場合、春夏物が販売不振で売れ残ってしまうと秋冬物の在庫を仕入れる資金に事欠く事態となる。一方で、売れ残りを懸念するあまりに春夏物の在庫の仕入れを絞った場合、完売してしまうとその後の需要には対応できず、結果的に売り逃しになってしまい、逸失利益につながる。

 「売り逃しは回避したいが、売れ残りも回避したい」「ちょうど完売する量の在庫を仕入れたい」というのが小売業者の本音であろう。特に売り逃しを嫌う場合は、どうしても多めに仕入れて、結果的に余剰在庫を抱えることになってしまう。

 こういった余剰在庫は、アパレルのケースではセール販売を行い、それでも売れ残った在庫をアウトレットに持って行って販売し、さらに売れ残った在庫はファミリーセールで販売していた。また、ブランド品のケースでは、安売りによるブランド毀損を回避するために廃棄されてきた。

 しかし、現在はこれが環境問題として大きく取り上げられるようになっている。

 たとえば、英バーバリーは売れ残り商品を焼却処分していたことに対して猛烈な抗議を受けて、謝罪に追い込まれた。折しもSDGsが注目を浴びる中で、従来のような安易な廃棄はやりづらくなってきている。そういった状況下では、余剰在庫を積み上げないことに越したことはないが、余剰在庫の「出口を確保しておく」べきでもある。

オフプライスストアとアウトレットとはどう違う?

 そこで余剰在庫の販売チャネルとして、最近注目されているのがオフプライスストアである。これは、複数のブランドの商品を定価より安く販売する形態だ。日本ではアウトレットモール(アウトレット)が広く認知されており、歴史の浅いオフプライスストアは、アウトレットと混同されることもある。

 アウトレットは広大な土地に各ブランドが個別に店舗を開き、販売員は自社で手配し、自社ブランドの商品を販売する。対してオフプライスストアでは、1つの店舗でオフプライスストアの販売員が多数のブランドからセレクトされた商品を販売する。

 アウトレットには遠方からの来店が見込まれる。その来店頻度は年に1~2回であり、想定客単価は1万円以上といわれている。一方、オフプライスストアの商圏は「車で15分程度の近隣の消費者」をターゲットとしており、来店頻度は年に6~8回、客単価は5,000円程度である。

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表1:オフプライスストアとアウトレットモールの違い

 つまり、アウトレットは遠方からごくたまに来店する消費者がさまざまなブランドの店舗を周遊して、一度に相応の金額を落としていくことを想定している。オフプライスストアでは、一度の購入額はアウトレットより少額に止まるが、近隣の消費者が頻度高く来店し、店舗内でさまざまなブランドの商品を比較的短時間で見て回り、購入するということを想定している。

 また、オフプライスストアでは商品の回転が速く、品揃えは固定化されないため、「旬な商品を提供できる」という特徴もある。商品を供給する側としては、オフプライスストアは自社でアウトレットを持つほどの規模を有しない中規模の小売業者や、優良な商品を持っているが販売用の店舗のない卸売業者の受け皿となることも期待されている。

【次ページ】発祥の地・米国では毎年成長、4兆円以上の売上を誇る企業も

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