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- 2025/06/03 掲載
AIエージェントでECが激変、「ハイパーパーソナライゼーション」の世界へようこそ
バークリー音大提携校で2年間ジャズ/音楽理論を学ぶ。その後、通訳・翻訳者を経て24歳で大学入学。学部では国際関係、修士では英大学院で経済・政治・哲学を専攻。国内コンサルティング会社、シンガポールの日系通信社を経てLivit参画。興味分野は、メディアテクノロジーの進化と社会変化。2014〜15年頃テックメディアの立ち上げにあたり、ドローンの可能性を模索。ドローンレース・ドバイ世界大会に選手として出場。現在、音楽制作ソフト、3Dソフト、ゲームエンジンを活用した「リアルタイム・プロダクション」の実験的取り組みでVRコンテンツを制作、英語圏の視聴者向けに配信。YouTubeではVR動画単体で再生150万回以上を達成。最近購入したSony a7s3を活用した映像制作も実施中。
http://livit.media/

消費者の代理で買い物をするOpenAIのAIエージェント
Eコマース市場は、大きな転換点を迎えている。ユーザーの代わりに、商品を探し、購入できるAIエージェントがあらわれたためだ。代表格の1つとなるのがChatGPTで知られるOpenAIが1月に発表したOperatorだろう。現在、リサーチプレビュー版として主に英語圏で提供されているが、Eコマース利用における可能性を示唆する報告が多数上がっている。
英ガーディアン紙が伝えたところでは、たとえばユーザーが食材リストを渡すと、Operatorは自動的にスーパーマーケットのサイトにアクセスし、商品を選び、注文までこなすことができるという。決済時には、セキュリティ上の配慮からユーザーの介入を求めるとされる。

人間のような柔軟な判断能力も注目ポイントの1つ。たとえば「スイーツを追加して」という曖昧な指示に対しても、商品を探し出し、ユーザーの好みに合わせて選択を行えるという。ただし、システムの判断が必ずしもユーザーの意図と一致するわけではないとも指摘されている。実際のケースでは、ユーザーが想定していた生鮭の代わりにスモークサーモンを注文するなど、誤った解釈による購入も報告されている。
アマゾンが2025年2月に発表したアレクサの新バージョン「Alexa+(アレクサプラス)」もブラウザ操作機能を持つAIエージェントだ。アレクサプラスでは、ユーザーのお気に入り作家の新刊が出た際の通知や、好きなアーティストのライブチケットの購入提案など、よりパーソナライズされた提案が可能となった。
AIエージェントの普及は、Eコマースの在り方を根本から変える可能性を秘める。ガーディアン紙のインタビューに応じたHugging Faceのチーフエシクスサイエンティスト、マーガレット・ミッチェル氏は、今後AIエージェント同士が相互に作用する世界の到来を予測。たとえば、ユーザーの予定調整の際には、双方のAIエージェントが協調して最適な時間を設定するといったシナリオを描く。
こうした変化は、オンラインショッピングにおける情報の在り方にも影響を及ぼすとミッチェル氏は指摘する。これまでウェブサイト上の情報は人間向けに最適化されてきたが、今後はAIエージェントによる理解・処理を前提とした情報設計が重要性を増す可能性があると述べている。 【次ページ】技術革新で「ハイパーパーソナライゼーション」を実現
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