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- 2025/06/03 掲載
AIエージェントでECが激変、「ハイパーパーソナライゼーション」の世界へようこそ
英大学院修了後、RPA企業に勤務。大手通信社シンガポール支局で経済・テクノロジーの取材・執筆を担当。その後、Livit Singaporeでクライアント企業のメディア戦略とコンテンツ制作を支援(主にドローン/AI領域)。2026年2月、シンガポールで「SimplyPNG」を設立し、AI画像編集のモデル運用とGPUコスト最適化を手がける。主にEC向け画像処理ワークフローの設計・運用自動化に注力。
消費者の代理で買い物をするOpenAIのAIエージェント
Eコマース市場は、大きな転換点を迎えている。ユーザーの代わりに、商品を探し、購入できるAIエージェントがあらわれたためだ。代表格の1つとなるのがChatGPTで知られるOpenAIが1月に発表したOperatorだろう。現在、リサーチプレビュー版として主に英語圏で提供されているが、Eコマース利用における可能性を示唆する報告が多数上がっている。
英ガーディアン紙が伝えたところでは、たとえばユーザーが食材リストを渡すと、Operatorは自動的にスーパーマーケットのサイトにアクセスし、商品を選び、注文までこなすことができるという。決済時には、セキュリティ上の配慮からユーザーの介入を求めるとされる。
人間のような柔軟な判断能力も注目ポイントの1つ。たとえば「スイーツを追加して」という曖昧な指示に対しても、商品を探し出し、ユーザーの好みに合わせて選択を行えるという。ただし、システムの判断が必ずしもユーザーの意図と一致するわけではないとも指摘されている。実際のケースでは、ユーザーが想定していた生鮭の代わりにスモークサーモンを注文するなど、誤った解釈による購入も報告されている。
アマゾンが2025年2月に発表したアレクサの新バージョン「Alexa+(アレクサプラス)」もブラウザ操作機能を持つAIエージェントだ。アレクサプラスでは、ユーザーのお気に入り作家の新刊が出た際の通知や、好きなアーティストのライブチケットの購入提案など、よりパーソナライズされた提案が可能となった。
AIエージェントの普及は、Eコマースの在り方を根本から変える可能性を秘める。ガーディアン紙のインタビューに応じたHugging Faceのチーフエシクスサイエンティスト、マーガレット・ミッチェル氏は、今後AIエージェント同士が相互に作用する世界の到来を予測。たとえば、ユーザーの予定調整の際には、双方のAIエージェントが協調して最適な時間を設定するといったシナリオを描く。
こうした変化は、オンラインショッピングにおける情報の在り方にも影響を及ぼすとミッチェル氏は指摘する。これまでウェブサイト上の情報は人間向けに最適化されてきたが、今後はAIエージェントによる理解・処理を前提とした情報設計が重要性を増す可能性があると述べている。 【次ページ】技術革新で「ハイパーパーソナライゼーション」を実現
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