• 会員限定
  • 2019/12/26 掲載

NetflixやAmazon Primeが「映像業界の頂点に立つ日」はいつになるのか?

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
記事をお気に入りリストに登録することができます。
NetflixやアマゾンのPrime VideoといったOTT(Over The Top)によるビデオストリーミング視聴が米国ではテレビを上回り、その勢いは今後も増すと予想されている。NetflixはじめとするOTTはいつ「映像業界の頂点に立つ」のだろうか。12月8~10日、ロサンゼルス近郊でParks Associates社主催の「Future of Video」というコンフェレンスが開催され、今後のトレンド、問題点などが話し合われた。

執筆:米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

執筆:米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住のジャーナリスト。同志社大学卒、ボストン大学コミュニケーション学科修士課程修了。テレビ番組制作を経て1990年代からさまざまな雑誌に寄稿。得意分野は自動車関連だが、米国の社会、経済、政治、文化、スポーツ芸能など幅広くカバー。フランス在住経験があり、欧州の社会、生活にも明るい。カーマニアで、大型バイクの免許も保有。愛車は1973年モデルのBMW2002。

画像
若年層ではテレビではなくスマホで動画を見るのが当たり前になってきている
(Photo/Getty Images)

ビデオストリーミング、トップ3と4位以下に大きな差

 米国におけるOTT(Over The Top)と呼ばれるビデオストリーミングサービスの中で、視聴者数上位は以下の通りだ。

画像
OTTの視聴者数

 しかし、数で比較するとNetflixの視聴者が6000万人以上、アマゾンのPrime Videoが5000万人弱、Huluが2700万人弱、HBO以下は1000万に届かない数字と大きな開きがある。

 つまりストリーミングビデオはスポーツなどの専門チャンネルを除いて、まさに3強による独占状態とも言える(ただし、2019年10月にサービスを開始したディズニーはわずか1週間で1000万視聴者数に到達し、第4の存在に浮上している。元々ディズニー・チャンネルなどで人気があったため、そちらから移行した顧客が多かったためと考えられる)。

 興味深いのはトップ3がそれぞれサービス開始から12年、13年、11年とストリーミングサービスでは初期から存在したものであるのに対し、4位以下はMLB. TVを除いては5年以下と比較的新しいサービスであること。

 つまりトップ3の成功により、ストリーミングサービスに乗り出す企業が増えたことを意味する。その中に大手テレビチャンネルが3社あり、テレビも続々とオンデマンドに乗り出している状況が浮かび上がる。



ケーブルテレビの利点は「ほとんどない」

 OTTの台頭により最も影響を受けているのはケーブルテレビだ。eMarketer社の調査によると、2013年には米国でDirecTVなどのケーブルテレビの視聴者は1億500万人だったが、2019年には8650万人に激減、2023年には7270万人まで減少する見込みだという。

 特に18~29歳までの年齢層では映像の視聴は主にストリーミングサービスで行うと答えた人が61%、30~49歳では37%、50~64歳では10%、と年代別に大きな開きがある。

 18~29歳の特徴はこの他、ビデオ視聴は主にスマホやタブレットなどのデバイスで行うと答えた人が最も多かったという点だ。米国の余暇の過ごし方がカウチポテトだったのは昔の話、今は片手スマホでビデオを楽しむ時代になりつつある。

 ケーブルテレビがストリーミングサービスに駆逐されつつあるもう一つの理由が価格だ。ケーブルテレビ料金は月額40ドル前後が中心で、契約チャンネル数に応じて100ドル程度までの価格帯になるが、ストリーミングサービスはほとんどが20ドル以下で、チャンネル数はケーブルテレビの最高サービスと同等だ。

 ハリウッド・レポーター誌が昨年行った調査では、有料テレビで最も決め手となる要素として90%の人がコストを挙げ、うちケーブルテレビに「満足」と答えたのが47%だったのに対し、ストリーミングでは79%だった。

 しかも「番組の質」「番組の数」という項目でもストリーミングがケーブルを上回り、ケーブルのほうが高い評価だったのは「ローカルニュースが視聴できる」「全国ニュースが視聴できる」「ライブでスポーツイベント視聴ができる」の3項目のみだった。

 しかし、この3項目は無料の地上波テレビでも可能なものであり、ケーブルテレビのストリーミングに対する利点はほとんどないと言っても過言ではない。

 番組の質という部分では、今年のアカデミー作品賞をNetflix制作映画が受賞したことが記憶に新しい。またエミー賞でも軒並みHBOなどストリーミングの独自コンテンツが受賞しており、ネットワークテレビもドラマコンテンツではストリーミングに及ばない。

 映画の世界であっても豊富な制作資金を投入できるストリーミングが今後ますますメジャーになる可能性もある。

【次ページ】Netflixはどこに今後の成長を見込んでいるのか?

関連タグ

関連コンテンツ

あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます