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  • 2020/09/10 掲載

CRM市場調査の結果とは?中小企業の導入状況から見えてきた製品選びの注意点

連載:中堅・中小企業市場の解体新書

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新型コロナウイルスの影響によって、多くの企業では顧客と対面で向き合う機会が減ってきている。そこで重要となるのが、顧客との関係構築を担うシステムである「CRM(顧客関係管理)」の活用だ。日本の中堅・中小企業のCRMの導入実態を調査したデータとともに、CRM活用における課題とポイントを探る。

ノークリサーチ 岩上由高

ノークリサーチ 岩上由高

ノークリサーチ シニアアナリスト 博士(工学)
早稲田大学大学院理工学研究科数理科学専攻卒業後、ジャストシステム、ソニーグローバルソリューションズ、ベンチャー企業などでIT製品及びビジネスの企画/開発/マネジメントに携わる。ノークリサーチでは多方面で培った経験を生かし、リサーチ/コンサル/執筆・講演など幅広い分野を担当。著書は「AdobeAIRの基本と実践」「クラウド大全(共著)」(日経BP刊)など。

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日本の中堅・中小企業が最も導入しているCRM製品タイプとは
(Photo/Getty Images)
 

CRMとは何か?

 すでに多くの読者がCRM(顧客関係管理)という言葉を耳にしたことがあるはずだ。しかし、「具体的な中身は何か?」と訊かれると、答えに迷うかも知れない。なぜなら、「会計管理」や「販売管理」などのほかの業務システムと異なり、CRMは顧客との関係構築を担う複数の業務システムをまとめて指す言葉だからだ。

 CRMに該当する業務システムとしては以下のようなものが挙げられる。

  1. (1)営業支援システム(SFA、Salesforce Automation)
    社内の営業担当が顧客や案件を管理するために利用するシステム

  2. (2)マーケティングオートメーション(MA、Marketing Automation)
    メールやWebサイトなどを横断的に連携させて、顧客の購買活動を把握/促進するシステム

  3. (3)メール配信/共有
    顧客に対するメール配信や受信メールの管理を効率化するシステム

  4. (4)コールセンタ/CTI(Computer Telephony Integration)
    電話を中心とした顧客からの問い合わせ対応業務を支援するシステム

 したがって、「コロナ時代に向けた顧客接点の強化/維持のため、CRMの導入を検討する」 といった場合は、まず上記のどのシステムを指しているのかを明確にすることが大切だ。

 また、「CRMが何を指すか」の定義はベンダーやメディアによって異なってくる。CRM関連の情報収集を行う場合は、上記に列挙されたシステムのどこまでを含めてCRMと呼んでいるのかをまず確認することが大切だ。

 なお、筆者の所属するノークリサーチでは、上記のうち(1)~(3)までをCRMに含めている。(4)は中堅・中小企業が自らシステムを構築することが容易ではなく、業務アウトソーシングとして利用するケースが多い。そのため、中堅・中小企業が自社で導入できる業務システムとしてのCRMという観点で(1)~(3)を対象としているわけだ。

中堅・中小企業が最も導入しているCRM製品タイプ

 以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業に対して、導入済みの最も主要なCRM製品/サービスを尋ねた結果を整理し、分野別に集計したものだ。

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ノークリサーチは年商500億円未満の中堅・中小企業に対し「導入済みの最も主要なCRM製品/サービス」を調査した

 グラフの選択肢にはすでに説明した3つの分野に加えて、以下のようなケースも設けている。

■そのほかの製品/サービス
CRMには該当するが、先に触れた(1)~(3)の分野に含まれないもの

■ERP/基幹系システムの一機能として利用
ERP(統合基幹業務システム)および販売管理などの基幹系システムをCRMの用途として利用しているもの

■コラボレーションの一機能として利用
グループウェアやビジネスチャットなどのコラボレーション関連システムをCRMの用途として利用しているもの

■独自開発システム
CRMの用途を目的としたシステムを独自に構築している場合


 また、(1)~(3)の分野における具体的な製品/サービスとしては、以下のようなものが挙げられる。

画像
具体的な製品/サービスの事例

 このようにCRMにはすでに多くの製品/サービスが存在しており、選択肢も多様化している。だが、中堅・中小企業においては「営業支援(SFA)」が主体」という回答が過半数を占めていることが分かる。

 SFAはCRMに該当する業務システムの中で最も歴史が長い。また、どんなに顧客との関係構築を強化/改善したとしても、営業担当の活動が非効率なままでは機会損失を生んでしまう。そのため、SFAは中堅・中小企業がCRMに取り組む上で最も適した第一歩であり、実際に導入社数シェアでもそうした結果となっているわけだ。



 CRMの検討する際、どの分野を選ぶべきかで悩む場合は、まずSFAを出発点として検討してみると良いだろう。

【次ページ】データセンター設置か? ASP/SaaS形態か? 日本企業の運用実態とは

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