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  • 2020/10/22

利益ゼロのECがなぜ生まれてしまうのか?プロがEC導入の罠をステップごとに解説

コロナ禍を背景とする巣ごもり需要を受け、EC市場は高い注目を浴びている。企業によっては、このコロナ禍を奇貨として新たにECを導入しようと考えるケースも少なくないだろう。だが、EC導入で必ずしも売上や利益が上がるわけではないことを忘れてはならない。国内外の名だたるブランド/百貨店のEC支援を行ってきたマガシーク ECソリューション事業部に、「EC導入で陥りがちなワナ」を聞いた。

執筆:福田さや香、編集:ビジネス+IT編集部 渡邉聡一郎

執筆:福田さや香、編集:ビジネス+IT編集部 渡邉聡一郎

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マガシーク
ECソリューション事業本部
プロジェクトマネジメント部 部長
杉山 達也氏


市場は拡大傾向、コロナ禍で多くのメーカーがECに注力

──まず、ここ数年のBtoC-EC市場の傾向を教えてください。

マガシーク 杉山達也氏(以下、杉山氏):市場は右肩上がりに拡大しており、経済産業省の調査によると、2019年の国内BtoC-EC市場は19兆3,609億円規模(前年比7.65%の伸び)となっています。

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日本のBtoC-EC市場規模の推移(単位:億円)
(出典:経産省)

 トレンドとしてはD2C(Direct to Consumer。流通業者を介さず直接消費者へ販売すること)の流行のほか、実店舗との連携に力を入れる企業が増えていますね。たとえば実店舗とオンライン店舗の会員情報を連携させたり、オンラインから実店舗に商品の取り寄せができるようにしたり、実店舗とオンライン店舗で在庫を一元管理したりといった、オンラインとオフラインを融合する流れ(Online Merges with Offline:OMO)が生まれています。

 OMOの動きとしては、アパレル店舗のスタッフがコーディネートをECサイトに投稿できるようなライブツールも使われ始めています。店舗とECの分け隔てなく、会社全体として事業を拡大していこうという流れがより強まっている印象があります。

──コロナ禍の影響は市場にどのように表れていますか。

杉山氏:4月、5月は店舗を閉めざるを得なかった企業が多く、ほとんどのメーカーが売上をECで獲得していこうと軸足をシフトさせていました。在庫をECに集約したり、ECサイトの販促も例年に増して強化したりして売り上げを伸ばしてきたというのが各社の状況です。

──緊急事態宣言発令から半年がたちました。その後、さらなるトレンドの変化はありましたか。

 工場の生産遅延によって納期の遅れが生じたため、アパレルでは秋冬シーズンの商品展開が少ないという事象が起きています。生産が縮小傾向にあるだけでなく、グローバルブランドの場合は本国の会社が倒産してしまうケースもあり、経営そのものが危ぶまれるなど新型コロナによるマイナスの影響が出てきています。

 一方で、当社EC部門への新規の引き合いは増えており、今年に入ってからECサイトの新規立ち上げ、リニューアルのご要望が増えている実感があります。やはり店舗の売上が厳しいのでなんとかECで売上を伸ばそうと、すでにEC導入済みの企業も例年8月までだったセールを9月まで伸ばしたり、アウトレット商品の販売やファミリーセールをEC上で行うなど、各社工夫をしています。

EC立ち上げの際に陥りやすいワナ

──貴社は構築・運営・フルフィルメントまでワンストップで支援しているとのことですが、新規でECサイトを立ち上げる場合、導入までにどのようなステップがあるか教えてください。

杉山氏:まず、事業計画を策定します。サイトのコンセプト、全体的なスケジュール、想定する売上規模、予算を決めた上で、マイルストーンを引きながら要件定義、サービス設計、デザイン設計を行っていきます。次に、設計に基づいて開発を進め、平行して物流や商品登録などの運用設計を行います。サイトが動くところまで仕上がったらテストを行い、問題なければリリースするというのが全体の段取りです。

──事業計画、設計、リリースという順序ですね。事業計画段階で陥りやすいワナはありますか。

杉山氏:よくあるのが、“立ち上げ”ばかりに意識が向いてしまうパターンですね。サイトだけ作っても、商品がなかったり、集客ができていなかったりすれば売上は立ちません。事業計画からしっかり“どのようなECにしていくのか”ビジョンを明確にしておく必要があります。

 また、アパレルブランドの場合はどの企業様もブランディングの意識が強いのですが、ECサイトは「ものを売る場所」ですから、ブランドイメージとのバランスが課題に挙がることが多いです。

──ブランドイメージとの両立ですか。具体的に教えてください。

杉山氏:たとえば、メニューを英語表記ではなく日本語表記にするなど、見栄えだけでなくお客さまが商品を探しやすいようなUI(ユーザーインターフェース)設計をブランドイメージと両立させながら進めていく必要があります。ブランドイメージにこだわりすぎると、結果的に商品の売上を損ねてしまう可能性があります。

 それから、直接的な購買訴求をしたくないということで、シナリオメールNGというスタンスの企業様も中にはいらっしゃいますね。ですがシナリオメールは通常のメルマガのお買い上げ率が1%か2%だとすれば、10%くらいはとれる有用なツールですから、積極的に使っていくべきです。

 ほかにも、せっかくリッチなコンテンツをつくったにもかかわらず、決済までの動線設計がなく、コンテンツを見せて終わってしまっているケースもあります。ブランドイメージの訴求だけに満足せず、きちんとお客さまを商品ページまで誘導してあげないと、せっかくのチャンスを逃してしまいます。

【次ページ】出店後も要注意。売上が伸びても利益が出ないパターンも

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