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  • 2021/01/15

「2021年は水素元年になる」と言える、これだけの理由

トヨタも進める水素ステーション計画

水素が世界的なトレンドだ。次世代のグリーンエネルギーとして、以前から注目されていた水素だが、パリ協定の実現に向けて世界がいよいよ本格的に動き出した。水素の役割には発電、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの蓄電、自動車の動力、産業用燃料などさまざまなものがある。しかし安定して水素を供給するパイプラインはまだ発展途上にあり、水素インフラも十分ではない。各国政府、トヨタなどの大手企業がこの分野に多大な投資を始める2021年はある意味で水素元年となるだろう。

米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住のジャーナリスト。同志社大学卒、ボストン大学コミュニケーション学科修士課程修了。テレビ番組制作を経て1990年代からさまざまな雑誌に寄稿。得意分野は自動車関連だが、米国の社会、経済、政治、文化、スポーツ芸能など幅広くカバー。フランス在住経験があり、欧州の社会、生活にも明るい。カーマニアで、大型バイクの免許も保有。愛車は1973年モデルのBMW2002。

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グリーンエネルギーとして「水素」への注目が高まっている
(Photo/Getty Images)

水素利用の2つのアプローチ

 水素利用へのアプローチには2種類あると言われている。ひとつは家庭用、商業用の燃料、主に天然ガスに置き換わるもの、そして車のガソリンに置き換わる燃料、という形で広く一般的に使用されることを目指すもの。

 もう一つは集約的利用、たとえば工業地帯の中心、港湾などに大きなハブを設け、そこから工業用燃料、発電所、コンテナ輸送用燃料を一気にデリバリーするというものだ。

 前者が再生可能エネルギーによる電力、天然ガスなどと競合し、インフラ整備にコストと時間がかかるのに対し、後者は天然ガスなどの化石燃料から水素を抽出するという「ブルー水素」から始まるとしても、産業クラスターを構成することでスケールメリットがあると考えられる。

 まずはこの産業クラスター用のハブから始めるというのが一般的な考え方だ。


産業クラスターへの導入で「グリーン水素」への移行も

 IRENA(International Renewable Energy Agency)が発表した報告書でも、産業クラスターに水素を導入することで生産する側、使用する側共にシナジーが上がり相乗的な効果をもたらすとしている。

 また集中的に生産することで水素のコストも下がることが期待されている。クラスターに再生可能エネルギーによる発電を組み込むことで、そこから水素を抽出する「グリーン水素」への移行も可能となる。

 IEA(International Energy Agency)も同様に、水素の供給と需要をスケールアップさせるためには4つのカギとなる経済的セクターまたはバリューチェーンが必要となるとしているが、その1つが産業クラスターであるとしている。

 IEAの産業クラスターの定義はより具体的で、「沿岸部の港湾近くに位置し」「すでに水素燃料への需要が存在し」「既存のさまざまな産業とパイプラインネットワークがあり」「CO2の保管場所が確保できる(ブルー水素を用いる場合、副産物としてCO2が発生するため)」ことが必要である、としている。

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産業クラスター用のハブから水素は普及していく可能性がある
(Photo/Getty Images)

 現在、このハブ建設が最も進んでいるのは英国で、HyNetノースウエストと呼ばれる計画では2030年までに低カーボンクラスターの設立を目指している。さらに2040年までにはネットゼロ・カーボンの産業クラスターとする予定だ。

 各地に産業クラスターができることにより、次第に内陸部の水素製造を行うプラントとの連携が起き、クラスター同士をつなぐスポークスが生まれ、ネットワークが広がる。それにより家庭用、商業用エネルギー供給、車への燃料供給インフラも広がり、本格的な水素社会が到来する。ただし実現にはまだまだ時間がかかる。

【次ページ】街全体で水素導入に取り組む事例も

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