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  • 2021/02/09

米ロボットベンチャーOSAROが語る、「ロボットが苦手なもの」をピッキングできるワケ

森山和道の「ロボット」基礎講座

ピースピッキングや工場自動化を対象に、産業用ロボット向けの機械学習ソフトウェアを中心とした技術開発を行う米国のスタートアップOSARO(オサロ)。深層学習を使って従来は難しかったピースピッキングの自動化を可能にしようとしている会社だ。ばら積み、透明、光を反射する、変形しやすい物体はロボットが苦手としている。OSAROはこれらの物体のピッキングを安価なセンサーで実現可能にすることから、知る人ぞ知る会社である。そのCEOであるデリック・プリッドモア氏に話を聞いた。

サイエンスライター 森山 和道

サイエンスライター 森山 和道

フリーランスのサイエンスライター。1970年生。愛媛県宇和島市出身。1993年に広島大学理学部地質学科卒業。同年、NHKにディレクターとして入局。教育番組、芸能系生放送番組、ポップな科学番組等の制作に従事する。1997年8月末日退職。フリーライターになる。現在、科学技術分野全般を対象に取材執筆を行う。特に脳科学、ロボティクス、インターフェースデザイン分野。研究者インタビューを得意とする。

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透明なボトルや反射する銀色の袋も自動ピッキング

 現在のロボットは人間のように器用ではない。ロボットが物体を扱うためには通常はグリッパーで挟んだり、バキュームによる吸引で1箇所を吸ったりする必要がある。そのためには、ロボットが持つべき点「把持点」を計算する必要がある。想像してもらいたいのだが、把持点は物体によって異なる。

 しかも対象の物体はたいていはバラバラに箱に入っている。把持点をどこに設定するべきなのかもノウハウが必要であり、システム立ち上げに時間がかかってしまう原因の1つである。これは極めて単純だが、いまだにたいへん難しい問題として立ちはだかっている。

 こういう現状のなか、物流や三品(食品・化粧品・医療品)関連の展示会で、ひそかに存在感を発揮しているスタートアップがある。サンフランシスコに拠点を置くOSAROである。独自のAIビジョンとモーションプランニング技術を使ったピッキングソリューションを提供している。

 透明・反射物のほか、不定形・多品種柄パターンなど、従来の認識技術では認識が難しいワークの認識と、自動のロボット動作軌道生成に強みを持っている。把持点の計算とモーションプランニングを自動かつシームレスに行うことで、これまでよりも高速にピッキングシステムを立ち上げることができるという。


 OSAROは2018年に物流向け製品の販売を開始した。日本でも事業を行っており、2018年9月には東京オフィスを開設している。2019年末にはFA向け製品を販売開始。2020年1月には日本法人を設立した。展示会では代表的な不定形物である唐揚げのピッキングなどをデモして人目を集めていた。安価なセンサーを使っても認識ができることと、さまざまな産業用ロボットに対応することができるところが同社のソフトウェアの売りである。


 2020年11月に幕張メッセで開催された「インターフェックスジャパン」では、半導体関連製品や電子部品の開発・販売を主な事業としており、OSAROの技術の倉庫・工場自動化プロジェクトへの提案、導入サポートをしているイノテックのブースで、ロボットを使った透明なボトルや反射する袋の取り出し・整列のデモンストレーションを行っていた。

 透明なボトルは反射式などの方法では光が透過してしまうので認識できない。銀色に反射する袋に至っては、RGB画像だけでは、人間の目でも認識が難しい。だが機械学習を用いるOSAROの認識技術を使えば、透明ボトルや反射する袋の把持位置を高速で見出し、正確にピッキングすることができる。


 イノテックでは2020年9月にOSAROと「AIピッキングラボ」を共同開設した(こちら「ロボットオートメーションサービス」を参照 )。OSAROのシステムを汎用AIロボットユニット『ピースピッキングステーション』として販売している。

 バラ積みピッキングのエントリーモデルとして使うこともできるが、主にユーザー候補企業での社内実機検証を想定したシステムで、屋台のようにコンパクトかつ移動が容易なようになっている。OSAROの売りである追加学習やオンラインアップデートも可能だ。このほかブースではOSAROのビジョンシステムAPIをSDK(ソフトウェア開発キット)とした「OSARO software API」をアピールしていた。


認識と制御に深層学習を活用

 OSAROは2015年創業の機械学習スタートアップだ。主に物流プロセスのロボット化を推進しており、特にピッキングのような人手中心でロボット化が進んでいない領域の自動化を対象としている。創業者はCEOのデリック・プリッドモア(Derik Pridmore)氏とCTOのマイケル・カハネ(Michael Kahane)氏の二人だ。

 繰り返しになるが、OSAROの技術は2つに大別できる。認識と制御の技術だ。認識技術では多様なアイテムをマスターレスで認識して、どこをつかむべきかを高速で提示できる。制御のほうはモーションプランニングでロボットをティーチレスで制御することができる。つまり、ロボット自らが軌道を生成するのだ。この2つの技術でピッキングの自動化に取り組んでいる。

 対象の業界はさまざまだが、特に従来技術では難しかったピッキングに挑戦している。薬剤、製造分野、食品・飲料、そして消費財などだ。これらのアイテムが、たとえば透明なパッケージに包まれていると、それだけで従来の3次元カメラでは認識が大幅に難しくなってしまうのである。

 また、既存のビジョン技術ではピッキング対象のアイテムを計測して事前に登録する「マスター登録」が必須である。そして3次元カメラで撮像して点群データを取得し、マスターデータと突き合わせることで物体を認識している。

 しかしながら点群がきれいに取れなかったり、マッチングの計算が遅いといった課題がある。また先ほどから繰り返し述べているように透明なアイテムやキラキラしたアイテムだと点群がきれいに取得できない。これがピッキングが今ひとつ普及していない理由である。ある程度は成功するが、三品産業で使えるまでに達していないのである。

 OSAROでは機械学習の技術でこれらの課題を解決した。収集データを使って学習を行い、過去のピッキングデータにもとづいてピッキングができるので多種多様なピッキングができるという。

【次ページ】OSARO CEOにインタビュー。キーワードとなる「レトロフィット」とは?

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