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- 2019/04/25 掲載
タイムリミットは2025?「第3次ロボットブーム」が終わる前に何をするべきか
サイエンスライター 森山和道氏×アスラテック 羽田卓生氏×業界有識者
コミュニケーションロボットの小バブルははじけた
現在は第三次ロボットブームだと言われている。第一次は産業用ロボットが注目された1980年代前半、第二次がAIBOやASIMOが話題をさらった2000年前後とされるが、第一次/第二次と現在との違いは何か。森山氏は「ネット環境の違い、世界的な潮流であること、投資マネーが流れ込んでいること」と説明し、このブームはしばらく続くだろうと予想した。
その理由を問うた羽田氏に対し、森山氏の回答は次のとおりだ。
「何も変わっていないからです。第二次ブームのときからいろいろな知見が蓄積されているのに、それがまったく生かされず、同じことを繰り返している。第二次ロボットブームで痛い目を見た人達はそれがわかっていたから、最初から手を出さなかったのです。個人的には、はじけるべくしてはじけたと思っています」(森山氏)
一方の羽田氏も現在のコミュニケーションロボットの問題点として、その立ち位置の曖昧さを指摘した。
「コミュニケーションロボットに関しては、おもちゃ業界の研究が足りないと思います。おもちゃとロボットの中間的なモノがもっとあっていい。現在のコミュニケーションロボットは、おもちゃとしては高すぎ、道具としては不便で、中途半端なポジションになっていると感じます」(羽田氏)
物流業界は「ロボットで無人化」まっしぐら
では、産業用ロボットの分野では、具体的にどのようなロボットが注目されているのか。「1つは物流でしょう。無人化まっしぐらで非常に手堅い分野だと思います。また、個人的に面白いと思っているのは農業、料理です」(森山氏)
ただ、この数値について、森山氏、羽田氏ともに「あまり当てにならない」とし、「数字は当てになりませんが、2015年あたりから人手不足が肌感覚で実感されるようになり、『省人化』と『安全』をニーズとしたロボットへの期待が高まっていると感じます」(森山氏)と述べた。
そして森山氏は、省人化・安全以外で、「タッチポイント(顧客接点)」としてのロボットの可能性について、次のように説明した。
そこで話を振られたパナソニック ロボティクス推進室 課長の安藤 健氏は「ほかのIoT機器と比べ、動けるロボットにしか取れない情報がある。それがどんな価値につながるかは模索中」だと語った。
「我々は、ニッチなピッキングの世界でやっていますが、工場現場の人手不足は深刻で自動化が“待ったなし”になりつつあると感じます。その中で我々は、人々の問題解決のためのソリューションを提供し、ロボットが『役に立つ』ことを、しっかり証明していかなければならないと感じています。世の中のロボットの期待値は高いですが、ロボットは何でもできるわけではありません。このあいだ展示会で『養鶏場で働いているのだが、動いているニワトリをピッキングできないか』と聞かれ、驚きました。世の中の期待値とロボットが実際にできることに乖離がある点は、ロボット業界の難しいところだと感じています」(山内氏)
【次ページ】日本のロボット業界の課題とは?タイムリミットは大阪万博か
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