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  • 2021/03/29 掲載

ホンダが「レベル3」自動運転車発売、“サイバー攻撃対策”は大丈夫?

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2021年3月、ホンダが世界初となるレベル3自動運転車の型式指定を受けた「レジェンド」の市販を開始した。道路交通法も整備され、型式指定を受けた車両なら、走行中のナビ操作やテレビ視聴が即違反とはならなくなった。いよいよ自動運転車両が普通に公道を走る時代に入ったわけだが、自動運転の制御技術の信頼性に加えて、サイバーセキュリティの課題や現状を振り返ってみたい。

執筆:フリーランスライター 中尾真二

執筆:フリーランスライター 中尾真二

フリーランスライター、エディター。アスキーの書籍編集から、オライリー・ジャパンを経て、翻訳や執筆、取材などを紙、Webを問わずこなす。IT系が多いが、たまに自動車関連の媒体で執筆することもある。インターネット(とは言わなかったが)はUUCPのころから使っている。

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自動運転「元年」、セキュリティ対策はどうなっているのか
(画像はホンダ プレスリリースより)

世界初の「レベル3」自動運転とは?

 自動運転のレベルはアメリカのSEAが定義したレベル0から5までの6段階のカテゴリが標準的に用いられている。細かい定義は省くが、レベル2と3の違いはシステムが運転の責任を負うかどうかになる。レベル2まではいかなる機能が運転操作、制御を行っていも運転の責任はドライバーが持つ。レベル3以上は、自動運転中の責任はシステムが負う。

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自動運転レベルの定義(J3016)の概要

 レベル3になると(レベルに応じた条件付きで)システムが運転の責任を負うため、ドライバーはその間「運転をしていなくてもよい」ことになる。具体的にはスマホを操作したりカーナビの画面でDVDを視聴したりといったことが可能になる。メーカー側は、車両から直接制御できないスマホの使用は推奨していない(ナビ画面なら緊急時に画面をOFFにできる)が、法律上は違反にはならない。

 ホンダが発表した新型「レジェンド」では、高速道路上で速度が30km/h以下になり、その他の条件(GPSなどで自車位置を把握し、センサー類が正常に動作している、など)が揃うとレベル3の自動運転機能が有効になる。速度が50km/h以上になるとシステムが運転制御の交代をドライバーに要請し、手動運転モード、もしくはレベル2の運転モードに入る。その間、ドライバーはハンドルを保持する必要はなく、視線をスマホやカーナビの画面に集中させることができる。

自動車セキュリティが現実の問題となった

 ホンダがレベル3自動運転の車両を市販できたのは、同社の技術力に加えて、レベル3自動運転の車両に対する法律が整備されたことも大きい。これまで各社は、ハンドル保持やドライバーの周辺監視などの条件をあえて外さず、レベル2の範囲で「自動運転」やADAS(先進運転支援システム)機能を強化してきた。レベル3自動運転の設計要件、機能要件が定義されたので「自動運転」を謳いやすくなった。

 整備された道路運送法・保安基準では、レベル3自動運転車両の開発、製造に関する開発プロセスの要件、車両に求められる機能、OTA(Over The Air:無線)で提供されるソフトウェアの暗号化や認証機構などが規定された。これらの規定を満たさなければ、自動運転やOTAの型式指定は受けられない。この動きは自動車基準調和世界フォーラム(WP29)のような国際的な枠組みでも同様である。これまでも、車両セキュリティの議論は行われてきたが、自動運転の法整備で、このようなセキュリティ要件が明文化された意味を考えたい。

【次ページ】クルマの差別化は「ソフトウェア」が担う時代に

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