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  • 2021/08/17

日本マクドナルド 人事トップが語る、コロナ後の人事課題と施策をどのように設定したか

コロナ禍が企業にもたらした変化は、当然、人事部門にも影響を与える。だが、その変化はあまりに激烈だった。そのため、具体的にどのように施策を実行すればいいか、ポイントを絞り切れていない企業もあるのではないだろうか。日本マクドナルド 人事本部 上席執行委員/チーフ・ピープル・オフィサーを務める落合亨(おちあいとおる)氏が、同社がアフターコロナで行った人事施策について語った。


過去から紐解く、日本企業のHRが抱えてきた課題

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日本マクドナルド
人事本部
上席執行委員/チーフ・ピープル・オフィサー
落合亨氏
 落合氏は1983年から人事のキャリアをスタートさせ、日本ペプシコーラ社やウォルト・ディズニー・ジャパンなどさまざまな企業で人事責任者を務めてきた。長らくHR領域で第一線を走ってきた落合氏は、「経済の変化が人事制度を変革してきた」と指摘する。

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経済と人事制度の変遷

 1980年代には急激な経済成長が終身雇用や年功賃金制を生み出した。続く1990年代にはバブルの崩壊から就職氷河期が到来。人材市場は買い手有利になり、就職・転職競争が激化して、成果主義や年俸制の導入が始まった。

 2000年代には一時的な景気回復も起こったが、リーマンショックが起こると市場は再び買い手有利に。さらに成果主義が加速した。同時期には外国籍の人材登用が進められ、ダイバーシティの萌芽が生まれている。続く2010年代には通信技術の革新によりワークスタイルが変化。労働人口の減少から働き方改革が提唱され、雇用形態の多様化が進められた。

 こうした潮流のなかで、長らく変わらなかった仕組みもある。

「グローバルと比較した場合、日本型の正社員雇用システムには異質に進化している特徴があります。具体的には『勤務地と職務範囲が限定されていない』『長時間労働が前提になっている』『年功序列制の昇級制度』などが挙げられるでしょう。1980年代に確立された日本型の人事制度は時代を経て姿を変えていきましたが、いまだに根強く残るシステムもあります。(落合氏)」

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日本型雇用システムの課題

 日本の雇用システムの一部は改善を求められながら手付かずの状態にある。では、変革のタイミングはいつ訪れるのだろうか? 落合氏は「コロナ禍がパラダイムシフトの契機になる」可能性を指摘する。

コロナ禍は日本企業の人事をどう変えるのか

 落合氏が紹介したように、人事制度の変化はすべて外的要因によって引き起こされていた。新型コロナウイルスの感染拡大もまた、私たちの生活やビジネス環境も大きく変えている。

 具体的にはどのような変化が起きているのか? 落合氏は起業家である小林慎和氏が著した「アフターコロナ世界はどう変わるのか、9つの視点」を引用して、コロナ禍で起きた8つの変化を提示した。

  • ミーティング2.0:ミーティングはWebビデオ会議で行うことが当たり前になる
  • 対面2.0:ビデオ会議が標準的になり、リアルな場での対面価値が向上する
  • 時間2.0:ビデオ会議でミーティングが高頻度化。作業時間がより細切れになる
  • 人間関係2.0:直接会わなくても信頼関係を構築できる「リモートトラスト」が当たり前のビジネススキルになる
  • 企業2.0:リモート勤務を望む人材が増え、対応しなければ良い人材を確保できなくなる
  • オフィス2.0:リモート勤務の普及でオフィスの床面積が大きく縮小。シェア可能なコワーキングスペースが増加
  • ビジネスチャンス2.0:あらゆるビジネスのデジタル化が進み、アナログで行う必然性がないビジネスは市場から弾かれる
  • 街2.0:バイタル計測器や行動履歴ログなど、ウィルスに対応できるインフラが都市に配備される

「リモートワークやWeb会議が当たり前のものになれば、人材は過程ではなく成果で評価されるようになります。そのため、実力主義は加速していくはず。また、細かな指示がなくとも個々人が自律して働けるよう、職務内容を明確に定義する『ジョブ型雇用』も普及していくでしょう(落合氏)」

 落合氏は「仕事環境の変化に伴い、各職位に求められる働きも変わっていく」と話す。

 従来、役員や幹部は、年長者として意思決定の場にいることが重視されたが、ビデオ会議が普及すればアポイントが入れやすくなり、相対的に「場にいる価値」は低下する。「今後は役員クラスにも意見を求められる機会が増えていく」と落合氏は指摘する。

 管理職クラスにも変化が起きる。これまでは管理職に部下の仕事を見張る役割が求められていたが、リモートワーク下では顔を合わせる機会が減り「今、部下が何をしているか」「どのような状況なのか」を把握しづらくなる。今後はより積極的に部下とコミュニケーションを取り、部下の自律性を引き出すマネジメントが必要になる。

 若手社員も従来は職場のムードメイクや飲み会の盛り上げなど、仕事以外の行動が評価されていたが、対面接触が減っていけば過程よりパフォーマンスが重視されるはずだ。

 社会環境の変化はクリティカルに世の中を変えていく。今後、日本特有の雇用システムには大きな変革が求められるだろう。

【次ページ】コロナ禍での変化を受けて。日本マクドナルドは何を参考にしたか

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