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  • 2021/07/21 掲載

Windows Updateだけではない、多様化する更新元が迅速なトラブル解決を阻む

山市良のマイクロソフトEYE

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2021年3月にレガシーのMicrosoft Edgeのサポートが終了し、翌4月にWindows 10からアプリが削除され、まだ導入されていない場合はChromiumベースの新しいMicrosoft Edgeに置き換えられました。現在、Windows 10標準のモダンブラウザーはChromiumベースのMicrosoft Edgeです。個人のユーザーは、インターネットにアクセス可能な限り、Microsoft Edgeの更新をストップすることができないという事実にお気づきでしょうか。

執筆:フリーライター 山市 良

執筆:フリーライター 山市 良

IT 専門誌、Web 媒体を中心に執筆活動を行っているテクニカルライター。システムインテグレーター、IT 専門誌の編集者、地方の中堅企業のシステム管理者を経て、2008年にフリーランスに。雑誌やWebメディアに多数の記事を寄稿するほか、ITベンダー数社の技術文書 (ホワイトペーパー) の制作やユーザー事例取材なども行う。2008年10月よりMicrosoft MVP - Cloud and Datacenter Management(旧カテゴリ:Hyper-V)を毎年受賞。岩手県花巻市在住。
主な著書・訳書
『インサイドWindows 第7版 上』(訳書、日経BP社、2018年)
『Windows Sysinternals徹底解説 改定新版』(訳書、日経BP社、2017年)
『Windows Server 2016テクノロジ入門 完全版』(日経BP社、2016年)
『Windows Server 2012 R2テクノロジ入門』(日経BP社、2014年)
『Windows Server 2012テクノロジ入門』(日経BP社、2012年)
『Windows Server仮想化テクノロジ入門』(日経BP社、2011年)
『Windows Server 2008 R2テクノロジ入門』(日経BP社、2009年)
など

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Windows関連の更新元が多様化している
(Photo/Getty Images)

もしも安定版の最新バージョンで問題があったら・・・

 Microsoft Edgeの「安定版(Stable)」は、同じChromiumエンジンを採用するGoogle Chromeと同様、6週ごとに新機能を含むのメジャーバージョンがリリースされ、次のメジャーバージョンまでの間、セキュリティ問題への対応やバグ修正のためのマイナーバージョンが不定期にリリースされます。2021年9月後半からは4週ごとのサイクルに短縮され、新たに8週ごとの「拡張安定版(Extended Stable)」が用意される予定です。

 その安定版の最新バージョンに更新されたタイミングで、突然、以前は問題のなかったWebサイトやアプリでエラーが発生するようになり、使えなくなってしまったとしたら、どう対応すれば良いでしょうか。

 安定版の最新バージョンが原因で問題が発生した場合、根本的な問題を解決するためには、Microsoft Edgeの将来のバージョンで修正されるか、Webサイトやアプリ側で修正される必要があります。

 もし影響が業務アプリの動作に及ぶ場合、問題が解消されるまでの間、業務がストップしてしまうでしょう。そのようなトラブルに備えて、Webサイトやアプリに対応した複数のブラウザーをクライアントPCに常備しておくことが、最も手軽で確実な問題の軽減策になります。

 ただし、Microsoft EdgeとGoogle Chromeの組み合わせは役に立たないかもしれません。Google Chromeは同じエンジンなので、問題の原因がエンジンの更新にある場合、Microsoft Edgeで発生するようになった問題は、Google Chromeでも発生する可能性があります。

 Microsoft Edgeを1つ前のバージョンにロールバックすればいいじゃないかと思うかもしれません。しかし、問題に遭遇して初めて、バージョンのロールバックが簡単ではないことに気づくことになります。

 Microsoft Edgeはアンインストールオプションを提供しません(少なくとも、コントロールパネルの「プログラムのアンインストールまたは変更」ではできません)。また、古いバージョンを上書きインストールすることも、エラーが発生して失敗します。システムの復元やバックアップからのシステムのリストアでロールバックするくらいしかできないのです。

Edgeの自動更新ストップはドメイン環境限定

 もし、Microsoft Edgeを問題の起きない古いバージョンにロールバックできたとしても、すぐにMicrosoft Edgeが備える自動更新機能で最新バージョンに戻ってしまうでしょう。

 Microsoft Edgeのポリシー管理用テンプレートには自動更新を無効にするポリシー(Microsoft Edgeの更新\アプリケーション\更新ポリシーのオーバーライドの既定値:自動更新を無効にする)が用意されていますが、ポリシーのヘルプには「このポリシーは、Microsoft Active Directoryドメインに参加しているWindowsインスタンスでのみ利用できます」との注意書きがあります。

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画面1 Microsoft Edgeの「更新ポリシーのオーバーライドの既定値」ポリシーは、ドメインに参加していないPCでは無視される

 実際、Active Directoryドメインに参加していないPCでこのポリシーを設定しても、Microsoft Edgeの「バージョン情報」のページには「更新ポリシーは構成されていますが、このデバイスはドメインに参加していないため、無視されます。」と表示されます。ポリシーのヘルプには、Active Directoryドメインに参加という条件が書かれていますが、Azure Active Directory(Azure AD)に参加しているPCでもこのポリシーは機能しました。

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画面2 Active Directoryに参加しているPCでは、「更新ポリシーのオーバーライドの既定値」ポリシーで自動更新をストップ可能

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画面3 Active ADに参加しているPCでも、「更新ポリシーのオーバーライドの既定値」ポリシーで自動更新をストップ可能

 そもそも「更新ポリシーのオーバーライドの既定値」ポリシーは、Microsoft Edgeの更新機能を無効化するのが目的ではなく、管理者が「Windows Server Update Services(WSUS)」や「Microsoft Endpoint Manager(Microsoft Endpoint Configuration Managerまたは/およびIntune)」でMicrosoft Edgeの更新バージョンをクライアントPCに配布するのと組み合わせ、ユーザーがインターネットから直接に更新してしまうことを防止しながら、Microsoft Edgeのバージョン管理するためのものです。

 ドメイン環境でない場合に、Microsoft Edgeの自動更新をストップする“サポートされている方法”は存在しないのです。「Microsoft Edgeの更新サービス」の無効化、Microsoft Edge Update関連のタスクの無効化、Microsoft Edge Updateの実行ファイルの名称変更など、“サポートされない方法”は思いつきますが、決してお勧めできるものではありません。

【次ページ】似たような更新問題はOfficeアプリにも

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